あの人が… きた。
さてさて、ノクターンノベルの「ユウシャ・アイウエオン@」ユーザーの「してみた。」にて前話を公開しています。
18歳以上の人は先にそっちを読んでね?
18歳未満の人は…… あきらめろ。(涙
~前回までのあらすじ~
シノと恵太はもう大人の階段を上ってしまいました。
シノはもう何と言うか脳みそお花畑状態で幸せになっちゃって、正気を取り戻しました。
なんやかんや結婚の約束までしちゃって爆発すればいいのにって感じです。
おわり。
「うにゃ……」
にゃー…
お布団あったかぃなぁ。
「おい…… シノ?」
「うにゃ?」
どおしたの、恵太?
「いや… もうそろそろ起きて仕事行かないと」
恵太が苦笑しながら僕の頭を撫でる。
あぅ… そこ… 耳の後ろのあたりが気持ちいいの。
「にゃぁ…」
「ぅ………… だからさぁ、毎朝そんな顔すんのやめろよ、マジで仕事行きたくなくなるからさぁ」
だって、せっかく暖かいお布団なのに…… 恵太が居なくなるの嫌なんだもん。
それに、こうやって恵太が毎回困った顔をしてくれるのが嬉しくて…… つい……ね?
「……ん!」
「はいはい…… だっこな? 最近本当に甘えん坊になったなぁ… お前は」
恵太が悪いんだよ…… だって僕と付き合う様になってから、恵太が凄く優しいんだもん。
「……………甘えんぼ、いや?」
「……………大好物だな」
恵太が苦笑をしながら、僕のことをぎゅっと抱きしめてくれる。
押し付けられた恵太の胸元から、寝起きの甘くてふわふわした匂いが広がってくる。
「けいた……」
「ん?」
「すきです…… ぼくとつきあってくださぃ……」
「はいはい…… よろこんで」
呆れながらもちゃんと僕に付き合ってくれる恵太。
僕を包む恵太の腕が、逞しくて温かい。
僕は……
「けいた?」
「ん?」
「ぼく…… しあわせです」
「よかったな……」
本当にしあわせだ。
――――
「はい、これハンカチと今日のお弁当ね?」
「ああ、いつもありがと」
僕は、仕事に行く恵太を見送る。
最近、恵太は冒険者の仕事は余りせず、大規模魔法陣建設の仕事を専門に請け負う専門家として仕事を始めている。
なんでも僕のためなのだとか……
遠くに出かける仕事を受けないようにするために、固定の収入を得るために始めた仕事なのだとか。
大規模魔法陣の修復修繕、新規大型魔法陣の建設、法人向け新型大規模魔法陣の提案をするお仕事。
毎朝スーツをビシっとキメて出かける恵太は本当にかっこいい。
今日も営業に行くらしい。
…………えへへ、僕の為なんだよ?
「あ、けいた!」
「ん?」
「ネクタイまがってる」
「ん、ありがと」
あ…… なんか新婚っぽい。
にゃはは… て、照れる。
「シノ?」
「え?」
「なんで赤くなってんの?」
「にゃ…!? なんでもないし!」
僕は手をパタパタ振って誤魔化す。
もぅ… なんで直ぐ赤くなるんだ僕は!!
「じゃ… 行ってくる」
「あ……」
「ん? どうした?」
「ぇ…… う… なんでも… ない」
言ってきますのちゅー…
してとかいえなぃ……
にゃぁ… いつもはしてくれるのに。
「じゃあ行ってくるからな?」
「う…… うん」
パタン
恵太はそう言って行ってしまった。
「にゃぅ…」
むぅ… 朝からテンションさがる。
はぁ…… 早く恵太帰ってこないかなぁ。
コンコン
「にゃ?」
え?
恵太が窓をから声をかけてる…… なんだろ?
忘れ物かな?
「どうしての恵太?」
「ああ、机の上の書類とって来てくれるか? 忘れちまった」
「うん、分かった、取ってくる!」
えっと… 恵太の机の…… これかな?
この紙かな?
がさり…
「……え?」
紙の下になにか…… ある?
「これ…… 首輪?」
そこには小さなベルがついた可愛いデザインの黒いチョーカーがあった。
チリン…
その小さなベルから、心地いい綺麗な音が響く。
「こ、これ……」
僕はそれを握って恵太の下へ向かう、
胸が…… ど、どきどきしてきた。
「恵太!! こ、これ」
僕は恵太の前顔にそのチョーカーを突き出す。
「ああ… そうだよ、プレゼントだ」
恵太はそんな僕を見て、優しく微笑んでくれる。
「にゃ…… にゃぁぁぁぁ……!!」
僕はそんな恵太を見て…… 何もいえなくなってしまう。
「その鈴には沈静効果の魔法もかかってあるからさ… お前にぴったりだろ?」
「にゃ! にゃぁ! ぅ… にゃああ!!」
「はいはい… 嬉しいんだな? さ… つけてやるから後ろ向け」
「はい!」
僕は恵太にチョーカーを渡して後ろを向く。
恵太はそんな僕の首に優しく触れて、手際よくチョーカーを巻きつけた。
「にゃ…!」
僕はすぐさま鏡のところに向かい、自分の姿を見る。
そこには黒いリボンと銀の鈴をつけた、白猫の少女が映っていた。
白い肌と、白い髪の中で、黒くて可愛らしいデザインのリボンが良く栄えている。
「にゃぁ……!!」
「気にいったか?」
「うん!! ありがとう!! ありがとうぉ!! けいたぁ!!」
「そんな喜んでくれるなら…… プレゼントしたかいがあるな」
僕は恵太の下に戻って、恵太の手を取って恵太の瞳を見つめる。
「けいたぁ…」
「ん?」
「恵太ってなんでそんなイケメンなの?」
「……へ?」
「恵太かっこよすぎるよぉ…… 浮気しない?」
「…………あほか」
恵太がまた苦笑しながら僕の頭を撫でる。
「浮気なんてしないよ」
「ホント?」
「ああ…… 誓って」
恵太はそう言って微笑むと、僕の顎を持ち上げてゆっくりと僕に……
「ぁ………」
口付けを落とした。
「じゃ…… 行ってくるな?」
そう言って振り向こうとする恵太。
僕はそんな恵太を腕をそっと掴んでそれを止める。
「ん? ……どうした?」
「けいたぁ…」
「なんだ?」
「ぼく…… 恵太が好きすぎる……」
僕は顔が真赤になっているのを自覚しながら、目線を少し逸らして小さくそう呟いた。
「……………ほんと可愛いな」
「……………ぇ?」
恵太は小さく何かを呟いて、僕の頭をぽんぽんと撫でる。
「何でもないよ…… 今日も早く帰るからな?」
「うん…… 行ってらっしゃい」
僕はそう言って恵太を見送ったのだった。
恵太の姿が見えなくなるまで、窓から見送ったのであった。
――――
「よし!! 掃除、洗濯、晩御飯の下ごしらえ、デザートの準備、お風呂の準備…… 全部良し!!」
うむ! 我ながら完璧な仕事だよ。
後は恵太が帰ってくるのを待つだけだね……
「あと…… 二時間くらいかなぁ」
僕は首もとの鈴を弾きながらそう呟く。
チリンと綺麗に鳴る鈴の音が、心地よくてそして嬉しい。
僕はにまにましながら恵太のベットに座って恵太を待つ。
本当に、僕は最近…… 本当に、幸せだ。
もう…… これでもかと言うほど、怖いくらいに幸せだ。
このまま…… 恵太と二人で、ずっと仲良くやっていけたらいいなぁ。
いや…… 絶対仲良くやって見せる。
だって、僕は恵太が大好きだもん。
本当に大好きだもん。
恵太が僕を嫌わないで居てくれる限り…… 絶対に大丈夫だ。
何が、あっても……
コンコン
え?
けい……た?
こんなに早く帰ってきたの?
「シノさん? いらっしゃいますか? 私です…… シャリアです」
「………っ!?」
僕は、その名前に、その声に…… 戦慄をする。
「お話があります…… ここを開けてください」
その声は、少し冷たくて抑揚のない…… シャリアさんの冷徹な声であった。
ついにラスボスの登場!!
色ボケたシノは果たして奴に勝てるのか!?
次回…… 最終話!!
乞うご期待!!