プロローグ
ピキィィィィィィィイイイインンンッッ!!!!!!!!!!!!!!
乾いた音を響かせながら、俺の親友であるシノが持つ魔石が輝いて弾ける。
「シノッ!?」
俺はそんな親友に向かって焦りながら手を伸ばす。
あの馬鹿!! まだ鑑定もしてないアイテムを使うなんて!!
いくら酔っていたからって言っても馬鹿すぎる!!
「んにゃ…?」
「し、しの!! 大丈夫か!!」
音と光が収まった瞬間に現れたシェルエットに俺は手を伸ばし、ソレをつかむ。
ふにゅ。
「………………………………へ?」
掴んだ先で感じた、とても柔らかい感触。
まるで筋肉がなさそうな女の子の二の腕のような感触。
「にゃ?」
俺が掴んだ事に反応して、ソレが俺の方に顔を向けてゆっくりと見上げる。
「は………… ぇ……へ………? え えええええええ!!??」
俺の顔を見上げるていたのは……
シノを… 俺の幼馴染の顔を少しだけ丸っこくして、少しだけ小さくしたような顔をしていて。
シノを… 俺の親友の髪型を少しだけ長くしたようなセミロングの髪型で。
シノを… 俺と一緒に異世界に来てしまった相棒を…… そのまま猫耳の女の子にしたような…… 美少女だった。
「にゃ…… けいたぁ!」
その美少女が… 俺と目を合わせると、途端にふにゃりと微笑む。
「な…… や、っぱり、おまえシノ…… なのか?」
信じ…… られん…… い、いや… 異世界にトリップしたくらいなんだから、そんなんがあっても不思議じゃないんだが…
いや… ないけど… でも… え… あれ…ぇ…これマジで?
「にゃふぅ…!」
そんな事をしている間に、シノが俺に近寄ってくる。
シノは俺の事をまじまじと見つめると、にゃははと楽しそうにわらって、俺の胸板をぺしぺし叩く。
「にゃふふ…… に!」
シノは… 嬉しそうにして俺の膝の上に座る。
ここまでの一連の流れに俺は何となく呆然としてしまう。
「にゅう…」
俺の膝の上でなんとなく満足そうにして、ごろごろと頭を摺り寄せるシノ。
まだ酒が残っているのだろう。
ぽわぽわしながら幸せそうにしている。
「けいたぁ… おやすみぃ」
俺にもたれたまま、手足をだらんとさせて寝息を立て始めるシノ。
「え……… まじ……ぇ なんなのこれ……」
何が… いや… まぁ分かってるけど…
アイテムのせいでシノがこうなっちゃったってのはわかるけど……
でも…
「なんでったってこんな…… マジかよ」
シノが…… 女の子になっちゃうなんて…… ありえんだろう。
多分5話くらいで終わる。