手紙
第九話です。
宜しくお願いします。
結局――
夏実のお父さんからは
何も聞けなかった。
だけど
大体は
察しがついた。
そして後日――
俺の元へ届いた
一通の手紙で、
夏実の身に起こった
真実の全てを知った。
夏実のお母さんからだった。
俺が家へ来たことを
彼女のお父さんから聞いたらしく、
その冒頭を挟んで
こう綴られていた。
“夏実はあなたと付き合っていた時から
ずっと病気でした。
白血病という病気です。
和也さん、
貴方もこの病気のことを
知っているかもしれません。
余命半年。
そう、医師からは告げられていました。
でも、和也さん。
貴方と付き合い初めてから、
夏実はいつも笑っていたの。
多分、貴方や私達に……
心配をかけまいと……
命を削って、
必死で笑っていたに
違いありません。
和也さん。
貴方には本当に感謝しています。
こんな手紙でごめんなさいね。
夏実もきっと……
こういってると思います……”
『ありがとうって』
「あぁ……あぁ…………」
「うっ……ぐっ……ぅ………」
「あああぁぁああぁぁあああ!!!」
「ごめんなぁ……夏実……!!!
何で………俺………俺………!!」
俺は声をからし――
持てる力の限り
謝り
泣いた――。
頬を伝う涙で
手紙がぐちゃぐちゃになるまで……。
滲む視界に
夏実の優しい笑顔が映る。
そして最後には
こう書かれていた。




