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疑心暗鬼
第二話です。
宜しくお願いします。
当時俺は21歳。
俺と夏実とは
付き合い始めて半年が経つが、
まだSEXはしていなかった。
この時俺は恥ずかしながら
まだ童貞で、
付き合ったのも
夏実が初めての相手だ。
夏実は――
芯の座っている強い女性だった。
それでいて
どこか女性としての気品もあり
優しくて、明るくて。
童貞の俺にはもったいない人だ。
前にその事を彼女に言うと、彼女は
「そう想ってくれるのが良いのっ。」
と、言ってくれた。
しかし
半年もしていないのには訳がある。
前に一度誘ったことがあるのだ。
その時は彼女に拒まれてしまい、
出来ずじまい。
“本当は俺のこと好きじゃないのか?”
などと、自信暗記に陥ってしまい、
それからずっとトラウマ。
誘えないでいる。
だけど
俺のことを嫌いだとか
鵜沢らしいとか言う素振りは
一切見せない。
どうしてあの時拒まれたのか。
彼女の真相を
その時の俺には
まだ知るよしもなかった。