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<嫌われ者>
それからというもの私はずっと独りぼっちになってしまった。周囲から避けられ、「正式な処置」に苦しんだ。殺人犯扱いされ、私は次第に衰弱して行くのを感じた。
砂沙の言葉が断片的に蘇って、それを反すうする日々が続いた。夢は以前ほど見なくなり、能力の薄れも感じ始めていた。
だが私の心は晴れなかった。このまま本当に能力がなくなったら、いよいよ人の役に立つこともできなくなる。能力が消えても、砂沙のことが無くなることはない。私はそれを一生背負って生きなければならないのだろうか。そう考えると、私は慄然とするのだった。
そして砂沙がいなくなってから約半年後、私はまた悪夢を見てしまった。
「地震がくる……。みんな津波にもってかれちゃう……私の街がなくなっちゃう!!」
ベッドから起きた私はまず母にそのことを伝えた。母はどんなときも私を見捨てないでいてくれた。
そして今回もそうだった。母は私の話を聞くなり外へ飛び出して、私の手を引き警察署へ向かった。