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機動要塞の聖女さま~魔力暴走で廃棄された私、魔導工学の天才に「電池」として再就職しました。~  作者: 朔夜
第2章 深海、時々ブラック企業

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新入社員は、凶悪なメイドロボです


物理ハッキングによって開放されたエアロックから、アルト商会の「制圧部隊」がネフィリム号内部へと雪崩れ込んだ。

先頭を行くのは、3体のSDシスターズ(メイド型)。

それに続くのは、要塞のファクトリーで急造された数十機の「自律戦闘球キル・ボール」だ。

迎え撃つのは、神殿の精鋭たる聖騎士団。

重厚な鎧に身を包み、魔導剣を構えた彼らは、侵入者を見て唖然とした。


「なんだあれは……?人形……?」

「メイド服だと?舐めているのか!」


騎士の一人が、シスターズの一体に向かって剣を振り下ろした。

鉄塊を両断する剛剣。だが、その刃が届くよりも早く、メイドロボは「消失」した。


「なっ――!?」


騎士が驚愕する間もなく、視界の死角から小さな影が飛び出す。

メイドロボは騎士の懐に潜り込むと、ガチンッ!という音と共に、踵から鋭利な「固定用スパイク」を床に打ち込んだ。

小さな体で巨体を吹き飛ばすための、強固な足場の確保。


『失礼シマス』


ドゴォッ!!


「がはっ!?」


内臓を突き上げるような衝撃。騎士は数メートル吹き飛び、壁に激突して沈黙した。

ただの体術ではない。床に固定された土台から放たれる、インパクトの瞬間にパイルバンカーを打ち込む「破砕掌打」。


「て、敵襲!見た目に騙されるな!こいつら、速いぞ!」


艦内に警報が響き渡る。

だが、その時にはもう、一方的な蹂躙が始まっていた。


・ ・ ・


その頃。

要塞内の義眼サーバー――「電脳リゾート」には、激変が起きていた。

空は青から赤へ。お菓子の家はデータグリッドへ分解され、花畑はホログラフィックな戦況マップへと書き換わる。


『戦闘モード、移行シフト!』

『お姉ちゃん(セレス)を守れ!』

『敵影多数!座標データ、共有します!』


彼女たちは「量産型聖女」。

生まれながらにして脳を改造され、並列処理に特化させられた生体CPUだ。

その呪われた才能が今、アルトの技術とリンクし、最強の「火器管制システム(FCS)」として覚醒していた。

現実世界。

ドローンに「憑依リモート・ログイン」した姉妹の一人が、魔法のような機動で銃弾を回避し、スタンロッドで敵を無力化する。

タイムラグはゼロ。


「量子もつれ通信ソウル・リンク」による超光速同期が、彼女たちの思考をダイレクトに機体へ反映させているのだ。

「道は開いた!……社長、お願いします!」

「おうよ!」


セレスの後ろから、アルトが飛び出した。

彼はドリルではなく、腰のホルダーから大型の「スタン・グレネード」を引き抜いた。


「お前ら、よくやった!……ボーナス査定に入れておくぞ!」


その時、先頭で戦っていたシスター・ワン(長女格)が、血濡れ(オイル塗れ)のスカートを翻してアルトの元へ滑り込んできた。

彼女のカメラアイが、うっとりと点滅している。


『マスター!敵性個体の排除、完了シマシタ!エリア・クリアです!』

「よし、ご苦労。……で、なんでお前はそんなに嬉しそうなんだ?」

『はい!戦闘のドサクサに紛れて、素晴らしいデータを収集できたからです!』


ワンは胸部ハッチを開き、ホログラムウィンドウをアルトの目の前に展開した。

そこに表示されていたのは、敵の機密情報でも、宝の地図でもない。


「成分分析表:アルト・ローグの入浴排水(残り湯)」という文字列だった。

『先日、マスターが入浴された際の排水データを、分子レベルで解析・保存シマシタ!これぞまさしく「聖水」!疲労回復効果アリと認定シマス!』

「……は?」


アルトが固まる。

緊迫した戦場、敵の本拠地、これから艦橋へ突入しようという最高潮の場面で、突きつけられたのは「自分の残り湯」のデータ。


「てめぇ……!何してんだバカ!んなもん解析してる暇があったら索敵しろ!」

『索敵は並列処理で行っておりますので問題アリマセン!』

「そうじゃねえ!データ容量の無駄だ!クラウドのストレージ代だって安くねえんだぞ!今すぐ捨てろ!!」


アルトが怒鳴る。

義眼のサーバー容量は有限だ。そんな汚いデータで圧迫されてはたまったものではない。

だが、ワンは首をブンブンと横に振った。


『嫌です!捨てません!』

「あぁ!?」

『このデータは、クラウド(義眼)の最深部、「システム隠しフォルダ」に格納シマス!』


ピロン♪

ウィンドウに【PasswordRequired】の文字が表示される。


『セキュリティは万全デス!パスワードは……「マスター大好き(I_LOVE_MASTER)」!!』

「やめろォォォッ!!俺の目(義眼)の中に変なもん仕込むな!恥ずかしいだろッ!!」

『ロック完了。……うふふ、これでいつでもマスターと一緒デス♪』


ワンは満足げにくるりと回り、再び戦闘態勢に戻った。

その背中からは、今まで以上に殺る気が溢れ出ている。


「……社長。なんか、シスターズの皆さん、個性が強くなってませんか?」


セレスがジト目でアルトを見る。


「知るか!……くそっ、あとでフォーマットしてやる!」


アルトは顔を赤くして叫び、スタン・グレネードのピンを抜いた。

これ以上、変な会話を続けたら調子が狂う。


「目と耳を塞げ!閃光弾だ!」

「はいっ!」


アルトはピンを抜き、こじ開けられた隔壁の向こう――艦橋ブリッジへと放り込んだ。


カッ――――!!!!

強烈な閃光と衝撃音が、閉鎖空間で炸裂する。

中にいた枢機卿と取り巻きたちが、防護もなく直撃を食らい、白目を剥いて倒れる。


制圧完了クリアだ」


アルトが艦橋に踏み込む。

その背後で、ボロボロになった数機のドローンが、それでも誇らしげに電子音を鳴らした。


『任務完了デス、マスター(残り湯データ、バックアップ完了)』

「……チッ」


アルトは舌打ちしながらも、彼女たちの働きを認めざるを得なかった。

変態だが、有能だ。

それがアルト商会の採用基準クオリティなのかもしれない。

※20251130全体の整合性を踏まえて修正しました。

マスター大好きシスターズ覚醒!

セレスさんもマスターに近づくライバルの影にはジト目で威嚇!


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