学園への入学式と小さな悪魔
朝日が学園の門を黄金色に染める。
小さな悪魔・ルシフェルは、ピコと一緒に門をくぐる。
制服は少し大きく、袖が手の先まで垂れ下がっている。
「……ふむ。異世界学園か。なかなか楽しそうではあるが、油断はできぬな」
ピコはルシフェルの肩にふわりと飛び乗り、目を輝かせる。
「ルシくん、ここってすごく大きいね! 人もいっぱい!」
「……うむ、だが観察すれば、この中での立ち回り方も分かる」
校庭には色とりどりの制服を着た生徒たちが集まり、楽しげに話している。
ルシフェルはその間を小走りで歩きながら、誰が情報通か、誰が力を持っているかを頭の中で分析する。
「……なるほど。力だけではなく、交渉や知恵も重要か」
入学式が始まり、教師たちの紹介が続く。
壇上で堂々と話す教師の声が響く中、ルシフェルは小さな足でそっと席につく。
周囲の生徒たちは、幼児の姿の悪魔に興味津々だ。
「ちっちゃ! でもなんだか威圧感がある…」
「かわいいけど、目が……怖い?」
ルシフェルは小さな耳を赤くしながら、ピコに小さく囁く。
「……くっ、油断せんぞ」
式が終わり、校庭では生徒たちが小さなグループに分かれて話し始める。
ルシフェルも自然と近くの子どもたちに混ざろうとするが、まだ言葉のタイミングがつかめず、ピコがフォローする。
「ルシくん、こんにちはって言ってみよ!」
ルシフェルは小さく咳払いして、ぎこちなく挨拶する。
「こ、こんにちは……」
生徒たちはにっこり笑い、すぐに打ち解ける。
「へぇ、悪魔なのにかわいいね!」
ルシフェルは小さく眉をひそめるが、心の中では少し嬉しい。
その後、校内ツアーが始まる。
図書館や実験室、魔法の練習場――見慣れないものばかりだ。
ルシフェルは小さな目で観察し、ピコと一緒にメモを取る。
「ふむ、ここなら情報収集も容易だな」
「ルシくん、さすがだね!」
ピコが感心すると、ルシフェルは少し得意そうに胸を張る。
昼になり、昼食の時間。
小さな机に座ってサンドイッチを食べるルシフェルに、生徒たちが興味津々で寄ってくる。
「ちっちゃいけど、食べっぷりがすごい!」
「悪魔って、ほんとに強いの?」
「……ふふ、そう見えるか?」
ルシフェルは少し誇張して手を振る。
パンくずが舞って、ピコに頭を叩かれ、二人でちょっと笑う。
午後、入学式の締めくくりに教師が告げる。
「次はチームで迷宮攻略の課題です」
小さな悪魔にとって、これは力を使わず知恵で挑戦できる絶好の試練。
ルシフェルはニヤリと笑い、ピコと手をつなぐ。
「ふふ、これくらいなら楽しめる」
夕方、学園の門を出ると、遠くに赤い夕陽が輝く。
ルシフェルは小さな体でピコと肩を並べ、心の中で思う。
「……学園生活か。面倒そうだが、楽しめそうではあるな」
まだ予想もしていない。
この学園には、これから小さな悪魔に試練とチルな日常を同時に与える、たくさんの騒動が待ち受けていることを。




