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ちび悪魔とゆるふわ異世界生活  作者: 櫻木サヱ
チビ悪魔、街で大騒動!

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消えたピコ!? ちび悪魔の捜索作戦

朝、町の広場に小鳥の声が響いていた。

いつもなら、その中に混ざってピコの「おはよう〜!」という明るい声が聞こえるはずだった。


けれど――その日だけは、どこからも返事がなかった。


「……ピコ?」

ルシフェルは寝ぼけ眼をこすりながらあたりを見回す。

机の上にも、窓の外にも、いつもの浮かんで笑う姿がない。


「まさか……」

小さな胸の奥に、冷たいざわめきが走る。


森の入り口、広場、魔法学校――どこを探してもピコの姿は見当たらなかった。

町の子どもたちが心配そうに集まってくる。

「ピコちゃん、どこ行っちゃったの!?」

「昨日、魔法学校の帰りに森のほうに飛んでたよ!」


その言葉に、ルシフェルは立ち上がる。

「……森か。行くぞ!」

短い足で駆け出す姿に、子どもたちは驚いたように声をあげる。


小さな体で、葉をかき分け、木の根を乗り越える。

転びそうになっても、諦めずに進む。

「ピコ…どこにいる…!」


森の奥は薄暗く、朝の光が届かない。

幼児化したルシフェルの魔力は微弱で、あたりを照らす光も小さな明かり程度。

それでも、彼は一歩ずつ奥へと進む。


途中、森の魔物がうろついていた。

「チッ…こんなときに限って!」

ルシフェルは咄嗟に手をかざし、残った魔力を絞り出す。

ぱちん、と小さな光が弾け、魔物の足元に閃光が走った。

「がぅっ!」

その隙にルシフェルは草むらに飛び込み、息を殺す。

「……ふぅ……俺としたことが、幼児の体で無茶をしたな…」


だが、その瞬間――

かすかな声が風に混じって聞こえた。

「ルシフェルさ〜ん……こっち……」


ルシフェルの目が一気に光を取り戻す。

「ピコ!」

声の方へ走る。

小川のほとりで、ピコが小枝に羽を引っかけて動けなくなっていた。

羽が傷つき、いつものように飛べなくなっていたのだ。


「バカもの! ひとりで飛び回るからだ!」

ルシフェルは思わず叱るように言うが、その手は震えていた。

「……ごめんなさい。でも……お花を摘んで、ルシフェルさんに渡したくて……」


小さな妖精の手の中には、淡い光を放つ青い花があった。

「これは……“夜明け草”か……」

魔界でも滅多に見ない、癒しの力を持つ花。


ルシフェルは黙ってそれを受け取る。

そして、ピコの羽に手をかざし、残り少ない魔力を流し込んだ。

「……俺の力は、もうあまり残っていない。だが……お前を治すくらいはできる」

淡い光が広がり、ピコの羽がゆっくりと再生していく。


「ルシフェルさん……ありがとう……」

「……礼などいらん。勝手に消えるな」

そう言いつつも、ルシフェルの声はどこか震えていた。


帰り道、ピコはいつものようにルシフェルの肩に乗る。

「ねぇルシフェルさん、やっぱり優しい悪魔だね」

「ふん、悪魔は恩を売るのが仕事だ」

そう答えながらも、ルシフェルの口元には小さな笑みが浮かんでいた。


夕暮れの森を抜け、町の灯りが見える。

ルシフェルは空を見上げた。

その瞳に、ほんの少しだけ、勇者と戦ったときの冷たい光が戻っていた。

「……守りたいもの、か。面倒な感情だな……」


けれど――

その“面倒”が、確かに彼を変え始めていた。


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