91 徳川が生き残るためなら手段は問わない
少し短いです。
もしかしたら今日もう1本投稿できるかもしれません。
~半蔵視点~
高天神城まで来た。まずは敵にばれないように入るところから、だな。
さて、誰にもばれずに侵入できたな。
「…おい、何をしている。」
嘘だろ…。壁越しなのに先にばれてしまった。でも小声で話しているということは敵意はないということか?
「…岡部元信殿、この声に聞き覚えがないか。」
「…やはり半蔵か。今の我らは敵同士のはずだ。だが、今来ると言うことは何かあったということか?」
「…瀬名様の命が危ない。武田と内通した疑惑があるのだが…何か知っているか?」
「…それはない。もし、勝頼様が瀬名様を策に使おうとするようなことがあれば事前に我ら旧今川家臣団に効果があるか聞くはずだ。」
「…貴殿は勝頼に信用されているのか?」
「…そうでなければ遠江・三河方面の指揮権をこの元信に任せないだろう。」
確かにそうだ。信頼していなければそんな大役は任されないはずだ。
「…とすると此度の黒幕は―」
「そこから先は言わない方がいいのではないか?我と君は敵同士。今言った情報を我は勝頼様に伝えることも可能なのだぞ?」
「…危ない。…あれから19年、か。」
「そうだな。…行け。そろそろ皆が集まって来るぞ。」
「…情報提供感謝する。」
もう可能性がある人物が絞れたな。…よし、一旦戻ろう。
~万千代視点~
「つまり、犯人は武田ではないと。」
「はい。某以外にも甲斐・信濃に忍びを回しましたが武田からは全く寝返ったなどの情報は出ておりませぬ。」
「…なるほど。つまりこの話は何者かの虚報であると。」
「そうなるか…。」
何者かの虚報?自分で言った後に気づいたがだったらまず徳姫様に聞けばいいではないか。この手紙を本当に貴方が書きましたか?と。いや、それは女性にやるべき行為ではないな。
「と、殿⁉の、信長様から書状が⁉」
「…康政。見なくてもわかる。早く報告せよと書いてあるのだろう?」
「…それだけではございません。信長様は奥方様が寝返った証拠を見つけた。よって即刻処刑するようにと…書いて…あります…。」
何故こんなに早く自体が進む?こんな時、孫四郎様ならどうやって事を解決しようとする?考えろ、考えろ…。ん?
「ちょっと待ってください。この字は信長様の字ではございません。以前、酒井様が招集された書状の字と比べればわかるはずです。」
「…あの手紙は捨ててしまったぞ。」
何故大事な手紙を捨ててしまう。この大事な時に…。
「…殿。佐久間信盛殿が…。」
「佐久間だと。奴を近づけるな。…あの者が一番怪しい。」
「何ですと?聞き捨てなりませぬな?」
何故もう勝手に城内に入っている。許可を出すまでは入れぬはずだ。
「あ、佐久間殿。…それは?」
「上様から預かりました太刀でございます。…もう何も言わなくてもわかりますよね?」
確かにその刀は以前信長様が持っていた太刀だった。…本当に信長様は怒っているのか。
「では、後は全て徳川殿の判断にお任せいたす。」
そう言って佐久間信盛は帰っていった。
「…。」
「殿―」
「黙れ!」
無理もない。罪がない人を殺さなくてはならないのだから。
「殿、今、命令に逆らっても信長様には敵いませぬ。」
「だから黙れと言うておる!」
「…どうい―」
「石川数正に任せる…。手段は問わぬ。」
「しかし―」
「徳川が生き残るためじゃ!わしと信康が無事ならばまだ家は残る。」
嘘だろ。この人は自分の正妻が死んでも構わないと思っているのか?いや、確かにこの2人は仲良さそうに見えて裏ではいつも喧嘩しているという噂があったけれども、そんなことで殺して本当にいいのか?
それから数か月後
天正七年八月二十四日
築山殿、石川数正によって暗殺
この事件が数週間後、徳川を真っ二つに分けることになるとは少なくとも徳川の者で誰も想像している者はいなかった…。
真っ二つ。とは書きましたが状況によっては後々表現を変える場合がございます。
次回、いよいよこの事件に終止符が打たれます。
予想以上の悲しい結果になって書きながら涙が出てきそうになりました。
あまりネタバレは出来ませんが自分が家康の立場だったら、信康の立場だったらと考えると本当に書いているだけで辛かったです。




