87 初めてのお使い ~蘭丸編~
ほのぼのした話にしたかったのですがやはり後半が…駄目ですね。
同じ頃
~信長視点~
さて、どうやって忠次を呼びつけるか。孫四郎…は三木城で頑張っているんだったな。久太郎も一緒に行っちゃったし…。
「信長様?」
この声は蘭丸か。三左の子で勝三の兄。どこか孫四郎さも感じる可愛い小姓だ。
「ちょっと浜松に人を遣わせたいんだが…。」
「徳川に何かあったのですか?」
痛いところを突いてくる。どうしようか。孫四郎のように育てるのもありだし久太郎のようにするのもありだな。…そういえば孫四郎には昔、隆景の下にお使いに行かせたことがあったな。蘭丸も行かせてみるか。
「いや、ちょっと手紙を出しに行ってもらうだけだ。…そうだ、蘭丸。勝三と一緒にお使いに行ってきてくれるか?」
「え、わ、私が⁉」
「良いな?」
「…はい。兄上と一緒ならきっと大丈夫だと思います。」
「決まりだな。」
~蘭丸視点~
何で私が行かなくちゃいけないんだろう。まだ織田家の中でも新入りですよ。
「ここにいたのか、蘭丸。さて、行くぞ。」
「兄上、信忠様へのご奉公は?」
「大丈夫だ。しばらくは信澄様が代わりに見てくれるって言ってくれた。」
信澄様も大変ですね。…初めての遠出。しかも隣国ではなく遠い遠い浜松。果たして蘭丸は無事たどり着くことが出来るでしょうか…。
「ねえ、兄上。何で兄上はいつも父上の十文字槍を背中にかけているの?」
「これか?前田の利家殿が槍使いは既に体と一体化させるべしって言ってたからそれを真似しているだけだ。」
「利家様は孫四郎様のお父上様でしたよね?」
「そうだな。…多分孫四郎殿が戦に駆られなければお前ではなく孫四郎殿が浜松に向かわされただろうな。」
そういうことか。今の私は孫四郎様の仕事を代わりにやらせてもらっているんだ。なんだか嬉しいです。
「蘭丸は今年でいくつだっけ?」
「15ですね。兄上は22?」
「多分そうだな。…お前の年の時に父上が討死したんだったな。」
「あの時は坊丸と力丸、それから仙千代は小さくて何が起こったのかわかっていませんでしたね。」
「母上とお前は訃報を聞いた途端に泣き始めたが俺はすぐには泣けなかった。それを察した孫四郎殿は本当に優しい対応をしてくれたなって思ってる。」
「孫四郎様は格好いいし可愛いし優しくて好きです。」
「可愛い?俺には恐怖にしか見えないんだが。」
「兄上の方が皆怖がってますよ。」
「わからない奴には言わせとけばいいんだよ。」
私は知ってるよ。兄上はああ言ってるけど本当は寂しがってるんだ。この間、信忠様に友だと認められた時は感動して泣いていたって聞いたもん。もっと皆と仲良くした方がいいと思うけど…。
岐阜城まで来た。兄上は帰ってきた感じなのかな?
「ここが孫四郎様と初めて会った茶屋ですね。」
「懐かしいな。…あの時の俺はもうちょっと丸かったかな。」
「今の兄上も好きですよ。多分孫四郎様は嫌がるかもしれないですけど。」
「ウッ。何でわかった?」
「え⁉私は適当に言っただけですよ?」
ああ、兄上。そんなに落ち込まないでください。どうしよう。そこのお煎餅屋さんのお煎餅あげたら機嫌を取ってくれるかな?
それから数日後
やっと浜松に着いた。
「おや、これは長可殿。随分久しぶりじゃのう。」
「ご無沙汰しております、家康様。」
この方が徳川家康様か。孫四郎様に前に聞いた通り随分心も体も広そうな御方だ。
「それと、この子は?」
「森勝三長可の弟、蘭丸と申します。…何ですか?」
怪しい。急に体を触り始めてきた。
「家康様!駄目です!」
次の瞬間、家康様は美少年の男の方によって弾き飛ばされた。
「危なかった。殿は男色にはまってまして。…あ、私は井伊万千代と申します。」
万千代?…もしかして。
「森蘭丸です。もしかして、一度孫四郎様にお会いしたことがありますか?」
「ええ。孫四郎様はかつての私の悩みを解決してくれた恩人です。」
「悩み?」
「あなたも気をつけなさい。殿は一度でも隙を見せた男を襲う癖がありますから。」
怖いです。信長様でさえそんなことはしてきません。
「…痛たたた。おや、ここで某は一体?」
「そうだ、家康様。こちら、信長様からの書状です。私はこの手紙を届けに浜松までやってきたのです。」
「何と、それはありがたい。では後でゆっくり読ませて頂く。」
「お二方はこの後…。」
「はい、すぐに帰ります。信忠様をこれ以上待たせるわけにはいきませんので。」
「同じく私も信長様に早くお使い完了の報告をしたいので。」
「「今日は帰ります!」」
「え、あ、そうですか。…ありがとうございました。今度はゆっくりお越しくださいね。」
万千代様、お許しください。私たちは信長様に何も聞いてなくてもその書状の内容は大体わかります。もしかしたら皆様とは再び会えるかもわからないですし…。
~万千代視点~
2人が帰った後、殿は書状を開いた。
「こ、これは…。」
な、何があったのだろうか…。
ここから先の築山事件(仮名)は万千代視点が多くなります。
もしかしたら史実の信康事件通りの結果にはならないかもしれませんがこれは私の作品です。なので多少理解し難い部分があるかもしれませんがご理解とご協力をお願いします。




