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前田利長に転生したので織田・豊臣の世で無事生き残れるように尽力します!  作者: Nagamasa N
第四章 天下布武編

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86 平井山

例の事件との間にもう1話あったのを忘れてました。

前回のあとがきの続きは次回書きます。


今日の話はちょっと長いです。

~別所長治視点~


着々と兵糧が減っている。そろそろ民のためにも降伏した方が良いのではないか?


「何を考えておるのじゃ?」


「叔父上、そろそろ降伏しましょう。皆はもう疲弊しています。」


「馬鹿を言うな!それはお主がずっと大人しくしておるからではないか!」


「無理に突撃したところで秀吉殿は我らを逃がしますまい。周りを見ればわかるでしょう?あれから1年経とうとしているが彼らは全く帰ろうとしない。むしろ荒木殿が逃走してから人数が増えたようにも感じる。そんな状況の中、敵陣突破など―」


「いいか。荒木は臆病だからすぐ逃げたのだ。だが本願寺はどうだ?織田と争い始めて10年目だというのにまだ和解をしようとしない。だったら我らも第二の本願寺になればよいのだ。」


さっきと言っていることが変わってる。叔父上さえいなければ俺は今頃…。


「わかったな?」


そろそろ、か。もう我慢が出来ない。これ以上民を犠牲にしないために動き出そう。


「…某は叔父上の言うことを聞く。だが、戦い方は別だ。役立たずの叔父上は城に残っておれ。これは命令だ。」


「…!何を言うて―」


「小八郎と共に本陣を落としに行く。…ご武運を。」


さあ秀吉殿。最後の野戦と参ろうか。



~孫四郎視点~


「丹生山は焼かずに放置。ということでいいのか?」


「はい。今更、山を焼いても既に相手の戦意は落ちているでしょうから命令に背いても良いかと。」


「反対です。孫四郎殿、そのような甘さは捨てるべきです。相手に情けをかけて、もし丹生山の僧兵が我らの陣に襲って来たらどうするのです?」


くっ。官兵衛殿が言っていることは間違ってはいないんだけど何だろう、思いやりが足りない気がする。


「半兵衛先生だったら絶対に燃やそうなんて言わないはずです。」


「半兵衛殿と俺では考えが違う。今、半兵衛殿は裏で休んでいる。だから代わりに私が秀吉様の―」


「だったら先生に聞きに行きましょうよ!秀吉様、駄目ですか?」


「おいらに聞かれても、な?」


あなた大将でしょ?もうちょっと判断をしっかりしましょうよ。


「秀吉様!し、城から別所勢が向かってきています!」


何だと。


「…数は?」


「2500ほどかと。」


「ならば大丈夫でしょう。そこらの―」


「どこに突っ込んできているのですか?」


官兵衛殿は情報を最後まで聞かずに判断しようとしている。大丈夫か?今は僕が情報をまとめないといけないようだね。


「この本陣に向かってです!」


皆ゾワッとした。まさか包囲を潜り抜けるとは思わなかった。


「孫四郎、お前の鉄砲隊は―」


「すぐに動けます。久太郎さんの部隊もこのような状況に備え常時動けるようにしてあるので同時に動かせます。ですよね?久太郎さん。」


「あ、はい!なのでしばらくは食い止められるかと。」


「この戦は上を取っている我らが有利です。ですが相手が突撃してくるということは兵糧が切れそう、もしくは疫病などが流行って城兵が減り始めていることが原因かと思われます。つまり相手は死に物狂いで来る可能性が高いかと。」


「長島の状況と似ているということか?」


長島で共に戦った秀長様がそう言った。


「はい。なので油断など断じて許されません。…先に迎え撃ちに行ってきます。」


「気を付けろよ。とはいってもいつも孫四郎は油断していないから大丈夫―」


最後まで秀吉様の言っていたことを聞けなかったけど…今は目の前のことに集中しよう。



~別所長治視点~


思った通りだった。包囲していた兵は1年間動いていなかったから油断していた。これで後は本陣に向かうのみ。


「兄上、油断は大敵です。」


「わかってるよ、又八郎。秀吉殿は侮れない相手だ。気合い入れてけよ!」


又八郎こと弟の治定を鼓舞する。


「…あれは鉄砲隊か。」



~孫四郎視点~


本当に来た。大体2年ぐらい敵に向かって撃つなんてことをしてこなかったから腕がなまってないか心配だ。


「…鉄砲隊、構え!」


まだ引き付けられる。…今だ。


「撃て!」


ダダダダダダダダン!


あれ?弾が出ていない銃もある。


「どうしました?」


「先の方が錆びすぎて詰まってます!」


そんなことあるか?…しばらく使ってないから手入れをしていなくて中が詰まっているのか。つまりさっきの音からして僕のを含め30個ぐらいしか使えないということか。


「孫四郎さん!危なくなったら後ろに下がりなよ!」


「了解です!さっき弾が出なかった人は秀吉様がいるほうに下がってください!弾が出た人はまだ残ってください!」


まずいぞ。このままだとまずい。



~別所長治視点~


何とか一回目は誰も撃たれずに済んだな。だが今のはたまたまだ。事前に察知していなかったら一気に壊滅していたかもしれない。


「…下がってください!…」


下がる?何故だ?…何かしら思いもよらぬ出来事があったということか。


「今が好機では?兄上。」


「…行くぞ!この戦に勝って民の平和を守るのだ!」


「「「応!」」」


この戦に勝てれば織田と和議を結ぶ時有利になる。絶対に勝たねばならぬ。


「孫四郎さん、退こう!敵の勢いはさっきよりも増しているよ!」


「いいや、退かないよ。絶対に秀吉様が助けに来てくれるはずだから。」


孫四郎…。あの孫四郎か。ということは近くにいるのは堀久太郎じゃないか?


「…其方らが前田孫四郎と堀久太郎だな。」


「…何故それを?」


「忘れたか、孫四郎。紀州で道がわからず迷子になっていた兵士を。」


「…ああ思い出した。あの時は播磨の城でこの間城主になったばかりの男って名乗ってたあの方ですよね?」


「そうだ。あの時は世話になった。改めて礼を…なぜ銃口を向ける?」


「何で信長様に逆らったのです?信長様に逆らっても敵わないことは浅井家や松永家が教えてくれたではありませんか。」


「ちょっと孫四郎さん。今は戦闘中だよ。躊躇わずに―」


「答えてくださいよ。あなたが織田家を裏切ってから僕は家族で過ごす時間が全く取れなくなった。1年前からずっと帰っていないんですよ?」


家族、か。…昔は叔父上のことが好きだった。困ったときはいつでも頼りになったし何でも優しく教えてくれた。でも、今は…。


「兄上?」


「…そうだな。俺が逆らい続けた理由。それは自分の意思が周りに上手く伝わらなかったからかもしれないな―」


ダン!


見たら孫四郎の銃から煙が出ていた。だが誰にも当たらずその弾は近くの木に当たった。


「あなたの意思のせいじゃないでしょう?全てはあなたの叔父のせいですよね?何でごまかすんですか?」


「な、なんでそれを。」


「浅井家は父の久政が織田に付くことに納得しなかった結果、長政殿は父上様の言うことを嫌ながら聞いて最後まで抗い続けました。その状況が別所家も似ているのでは?と思っただけですよ。」


「…俺は―」


「自分の意思が伝わらないじゃない。あなたは自分の意思を伝えないのがいけないんだ!」


「おのれ!兄上を馬鹿にしやがって!」


「又八郎!やめ―」


次の瞬間、又八郎は何者かによって射られた矢に首を刺されていた。


「…羽柴秀吉。」


「長治、お前は何も気づかなかったか。孫四郎がなぜお前の首を撃たなかったのかと。それは時間稼ぎだよ。」


嘘、だろ。


「又八郎、しっかりしろ!…クソっ!クソっ!」


「治定様!…おのれ!」


「皆、退け!これ以上ここにいてはならぬ!」


「待て!まだ話は―」


秀吉の話を最後まで聞かずに我らは逃げていった。


~孫四郎視点~


危なかった。危うく死にかけるところだった。


「孫四郎、大手柄だぞ。」


「いや、もう話すぐらいしかこの状況ではできることがなかったのでただ話してただけですよ。」


「そこはうんと言っておけ。これで別所はうかつに攻撃してこない。」


「ですが降伏もしづらくなった。つまり、まだまだ戦は続きますよ。」


「…そう、だな。」


今回は犠牲者が1人で済んだ。だがそれは戦が今後も続くということだ。さて、まずは鉄砲の手入れをしますか。


「此度のことでわかったであろう?さて、丹生山を燃やしに行くぞ…。」

平井山合戦は実際にもありました。(多分被害はこんなものの訳がない)


孫四郎、うっかり本音を言っていますね。誰も触れていませんけど…。


最後の秀吉の一言の後にあえて何も書かなかった理由。それは孫四郎君の気持ちを表しています。いつもなら「え?」とか「ちょっと!」とか最後に乗ってますがあの時の孫四郎はきっと秀吉と同感だったと思いあえて何も書かないスタイルにしました。(語彙力が壊滅的でごめんなさい)

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