84 両兵衛を手にした秀吉は最早チートとしか言えない
タイトル長すぎる…。
話は有岡城落城前まで少し遡る。
~官兵衛視点~
信長様についてこいと言われて私は陣裏まできた。…その手に持っているのは南蛮の酒か?半兵衛殿や父上はやめた方がいいと言っていた物をこの方は飲もうとしている。
「で、話は何だ?」
「はっ、某を―」
「秀吉の家臣になりたいんだろ?別に良いぞ。」
なぜ言う前に分かった?やはりこの男は油断ならぬ。
「…はっ。」
「用はそれだけか?…余からも頼みがある。それは、
半兵衛の兵法を今のうちに身につけておいてほしい。」
どういうことだ。半兵衛殿の兵法を受け継ぐ?確かに私はあの方に比べたら全然敵わないことは承知しているが…まさか。
荒木氏滅亡後
~孫四郎視点~
「先生、定期健診の時間ですよ。」
「あ、もう1か月たったのか。…なつ先生、よろしくお願いします。」
半兵衛先生の最近の様子は以前に比べたら弱っているのは確かだけど今にも死にそうな状況ではなさそうだ。なつの医術はこの時代でも通用するということがよくわかる。
「…前回より悪化しているのは確かだけど思ったよりは悪化していない。久太郎様、袋から事前に包んでおいた小包を出してくれる?」
「あ、うん。わかったよ。」
久太郎さんもなつのおかげで簡単な薬の特徴については覚えたらしい。なつの教え方は桜に似て優しいからきっとすぐに覚えられるのだろう。
「この薬を1日3回、朝昼晩でこれまで通り服用してください。」
「ありがとうございました。またお願いします。」
「じゃあ僕はなつさんを家まで送ってくるね。」
「お願いします。…先生、少し話をしましょう。」
「いいよ。…花隈まで落ちたか。」
「はい。荒木殿は最後まで何を考えているかわからずに毛利家に逃げていきました。嫡男だけは上様に降伏したそうですが。」
「官兵衛殿は無事かな?」
「信長様からの書状によると荒木殿がなぜかはわかりませんが落城前に開放したそうです。」
「よかった。これでいつあの世に行っても慶松のことは任せられるね。」
え?
「…私のことを忘れてませんか?」
「孫四郎は大丈夫。もうすぐ18でしょ?そろそろ一部隊を任されてもおかしくない年頃だし。」
「多分ないですよ。…当分はこの城攻めに集中できますね。」
「勝手に話題変えたね?まあいいけど。…私の予感が正しければこの城と本願寺は同時に降伏すると思う。」
なんでだろう?別所家と顕如って仲良かったっけ?
「わかりませんよ?武田が動いたら顕如は同時に立ち上がりまた一揆を扇動するかもしれませんし。」
「そうだね…。」
「御免!秀吉様は…半兵衛殿!ご迷惑をおかけしました!」
ビックリした。官兵衛殿か。髪が白髪になっちゃってるけど後は前に会った時と変わらない様子だ。良かったですね。
「官兵衛!無事だったか!」
「秀吉様!本当にご迷惑をおかけしました。」
「よかった。お前がいなくなったら松寿丸が悲しむからな。」
「…まさか、松寿丸は。」
「生きているぞ。半兵衛殿と孫四郎のおかげでな。」
「…本当に何から何まで。いつかこの恩は返させて頂く!」
「急がなくて大丈夫ですよ。…これで羽柴家は全員集合かな?」
「私たちを忘れてないか?孫四郎。」
「おいおいおい!俺抜きで官兵衛お帰りなさいの宴をするのはどうかと思うぞ?」
秀長様と小六殿が近づいてきた。小六殿、貴方飲みましたよね?もう顔が真っ赤ですよ?
「そうだな。久しぶりに宴をするか!…あ、でも半兵衛のことを考えると酒は抜きな。」
秀吉様は相手のことを考えて行動できるからやっぱり好きだな。
「では始めるぞ!」
何が酒抜きですか。結局みんな飲んでるじゃん。流石に先生に酒を飲ませるのは危険だから僕と先生の分は成政様から作り方を聞いた甘酒を作って出したけど。
「やい!孫四郎。お前もそろそろ飲まないといけないんじゃないか?」
「小六殿、今は戦の最中ですよ。戦が終わった後ならともかく合戦中に飲むのはちょっと…。」
「それに、孫四郎は酒を飲めませんよ。小六殿。」
「そういう小一郎も飲んでないじゃないか。ほれ、飲め飲め。」
これがアルハラってやつですね。秀長様が本当に可哀想に見える。
「よ、孫四郎。…荒木攻めが終わったな。後は別所の長治だけだが…何か面白い策はあるか?」
「ないですよ。大人しく城の周りを囲んで兵糧攻めをしましょう。…秀吉様は幸せ者ですね。半兵衛先生と官兵衛殿。2人も優秀な軍師がついてくれていて。」
「…なんだよ急に。でも確かにそうだな。半兵衛に官兵衛。両兵衛を手に入れたおいらに怖いものはもう何もないと言えるな。」
「本当ですか?上様やねね様にも?」
「うっ。痛いところを突いてくるじゃないか。久太郎に似てきたな。」
久太郎さんは痛いところをついてこないですよ。あなた、酔いすぎて誰が誰だかわからなくなっているでしょ。
「ハ、ハハッ。」
「…今年は大変だったが失う者はいつもより少なかった。来年も皆で笑って過ごせるといいな。」
「はい、そうですね…。」
秀吉様に同感だ。僕も戦がなかった時ほど誇らしかったことはない。…ってこれは前世の警察官の言葉をパクっただけだけどね。
来年には三木城を落としきりたいな…。多分この城の硬さ的にあと2年はかかるだろうけど。それまで先生も生きられるかな?今、こうして皆でいられることが僕らにとって一番の幸せだ。この幸せが崩れないようにこれかも一日一日生き残らないとね。
これにて1578年はおしまいとなります。
次回からは1579年に入ります。
久しぶりに孫四郎が出てきましたが次回はまた信長か信忠視点で書く予定です。




