68 お二方、化学実験の時間ですよ~
投稿する直前に使用する化学物質が間違っていることに気づいたので修正していたら3時間遅れました。申し訳ありません。
それでは本編どうぞ。
去年の年末
信長様に作成を命じられた翌日に僕たち3人は岐阜城の近くを流れている長良川周辺に集まっていた。
「孫四郎殿、其方が最初に承知したのだから策はあるのだろう?」
「はい。今回使う材料は砂と火薬…ではなく空気と炭で行います。」
「「く、くうき⁉何じゃそれは?」」
え、空気さえ知らないんですか?
「空気は今、僕らが吸っている息とかのことですよ。僕らは空気という物を吸わないと生きていけないんです。」
「あ、いつも吸ったり吐いたりしている奴のことか。…そんなのでできるのか?」
「はい。…空気のことについてまずは説明した方が良さそうですね。」
ということで空気とは何かについて珍しく真面目に説明した。酸素と窒素と二酸化炭素あたりまでは何とか理解してもらったけど水素についてはなぜか理解してもらえなかった。
「ちょっと待て。水素と水は何が違うんだ?」
「水素は目に見えない気体で水はその水素と酸素が混じった―」
「なぜ水素は爆発するのじゃ?」
「水素と酸素が合成すると―」
こんな風に質問と答えを繰り返している間に気づいた。これ戦国時代の人に説明してもきりがないなって。だったら指定した材料だけ集めてもらってやりながらどうなるか説明した方が早いなと思った。
「先に材料を用意しましょう。先ほど言った気体は全て用意してあるので炭だけ市で買ってきてもらっていいですか?」
「了解。」「では某も。」
酸素と二酸化炭素は比較的簡単に採取できる。水素も簡単ではないけど慣れれば簡単に入手できる。窒素だけは亜硝酸ナトリウムと塩化アンモニウムを合わせなくちゃいけないからまず材料を集めるところから面倒くさかった。…あれ?これ科学実験でしたっけ?
さて炭も持ってきてもらったし早速出火させますか。
「…あれ?ショボい爆発…。」
「先程の説明を聞く感じですと比率?とかも関係ありそうですね。」
そうだ、比率だ。…変えるか、やり方。
「爆弾じゃあ駄目か?」
「駄目です。爆弾は僕にとって敵でしかないですから。」
だったら爆薬は何なんだよ。というツッコミはやめてほしい。
「…比率関係なしにやるなら投げるだけで爆発する粉を作りますか。」
「そんなの作れるのか?」
「多分。材料自体はさっきより簡単ですが作り方がめちゃくちゃ難しいです。」
「…久太郎や賦秀があいつ危険と言っていた理由がよく分かった。」
「孫四郎殿…。少しは私の年を考えてくだされ。」
久秀殿は年齢より身体が若いからいいでしょ?
「材料は砂と炭素と水と―」
完成した。化学の先生に教えてもらった魔法の粉。まさか僕が危険物を作る日が来るなんて夢にも思わなかった。
「…これどうやって爆発するんですか?」
「簡単です。この粉を軽く掴んで投げれば…。」
パパパパン!パンパパン!
音が鳴った1秒後には出火した。冬だったので枯れ草が多くあっという間に燃え広がってしまった。急いで水をかけて消火してから2人に感想を聞いた。
「…恐ろしい子だ。あの魔王のせいで…。」
「孫四郎、お前…。」
でしょうね。久しぶりに作ったけどこんな威力だったっけ?と疑うぐらいやばかった。原理的に言えばカイロが温かくなる仕組みを活かして爆発させるというまあ恐ろしいものだ。取扱注意と書いておこう。
雑賀城
「ということを3人でやったわけです。材料はまずい物が入っているので言いませんが。」
「…その粉に衝撃を与えるだけで出火するってやばすぎるだろ。」
「孫四郎、よくやってくれた!」
「…其方に無理をさせすぎたのかもしれぬ。許してくれ。」
何でこんなに反応バラバラなの?とりあえずこの危険物は僕と一益様と久秀殿のみが所有できるようにしておこう。
~秀吉視点~
「なあ藤吉郎。孫四郎は一体何者なんだ?」
丹羽様にいきなり聞かれた。
「私に聞かれても…。ただ1つ言えるのは孫四郎は利家殿や上様の才を受け継いだのではない。ということしかわかりません。」
「…最初はただのいい子だと思ったけど上様並みに闇が深いな。」
「まだいい方だと思いますよ。菊や賦秀、勝三が止めてくれているから。」
「闇が解放されると2年前の状態になるんだろうな。…久太郎はよくやってくれたよ。」
「何ですか?僕の話題が聞こえましたけど。」
き、菊⁉
「何でここにいるんだ?」
「孫四郎さんは今、半兵衛様と話しているので。」
半兵衛殿と孫四郎の師弟関係は本当に理想的だよな。
「菊は孫四郎をどうやって制御しているんだ?」
「制御って…。いや、あの日はたまたま孫四郎さんが弱っていてその時に優しく接したら勝手に戻っていたから…。」
「弱る?そういえば珍しく2年前の年末は風邪を引いたんだよな。」
「はい。しんどそうだったので風邪薬をあげたら急に性格が戻っていました。その時に一人称も『俺』から『僕』に戻ってました。」
俺?あの孫四郎が?
「藤吉郎は聞いたことなかったのか?」
「はい。ということは丹羽様は―」
「聞いたことがある。2年前は上様のような感じだった。」
「いい例えですね。あの状態は確かに上様の性格を全て受け継いだ感じでしたからね。」
「でも久太郎も孫四郎には影響されただろう?」
「はい。…あの頃の孫四郎さんのままが良かったな…。」
その通りなんだよな。あの時の純粋な孫四郎がおいらたちは好きだった。金ヶ崎から長島の間に性格が変わっちゃったんだよな。…もしも利家殿や俺が育ててたらと考えると何かやるせなくなる。孫四郎、ごめんよ。あんな魔王の下に送っちゃって。
~孫四郎視点~
…どうすればいいんだ?もう後には引けぬところまで来ちゃった。
「はい、これ。」
「先生…。ありがとうございます。…いつもの大好きなお饅頭ですね。」
「ねえ孫四郎。もう16になったよね。そろそろ好きな子出来た?」
え、いきなり?
「唐突ですね。はい。告白して今は同居してますよ。」
「…私は君の性格がよくわからないよ。」
ですよね。自分でもわからないもん。
「…1つだけ言えるとすれば。」
「…すれば?」
「僕は先生や久太郎さんの前では素の状態でいられるなって…。」
「…うん。それはわかるかも。慶松も言っていた。久太郎殿の前と自分の前では対応が違うって。」
「そんなつもりじゃないんですけどね。まあ対応に差をつけている人もいますけど。」
「佐久間様のこと?」
「いや、佐久間様は最近見直したから違いますよ。…例えば佐吉とか市松とかは。」
「よ、呼び捨て?」
年上だけどあの2人は好きじゃない。
「あの2人はあまり馴染めないです。…そういえば先生は黒田官兵衛殿とはお会いしましたか?」
「何で知ってるの?まあ会ってるけど。」
時期的にそろそろかなって思ったから聞いてみた。
「先生的には官兵衛殿はどういう人だと思いますか?」
「嘘がない人。そこにおいては孫四郎と同じかな。」
嘘がないねえ。確かに僕は先生には嘘をついていないね。…正体を除いて。
「官兵衛殿にも会ってみたいです。」
「今度会わせてあげるね。きっと相性は合うと思うよ。」
そうかな?
「じゃ、帰りましょう。」
ゴホッ!ゴホッ!
この咳尋常じゃないね。
「先生?」
「大丈夫。帰ろう。」
爆薬の作り方をここで載せると私、冗談抜きで逮捕されるかもしれないのでほとんど濁しました。
半兵衛の嫌な咳は後々に影響します。…できれば死んでほしくないけど無理だろうな。




