61 安土へ ~引っ越し編~
先程の投稿から数話は幕間的な話が続きます。
帰り道に信長様と話した内容として「今、五郎左が作っている安土城の城下に引っ越さないか?五郎左が先にお前の家は作ってやったらしいぞ」と言われた。いや、それ拒否権ないじゃん!だって作ってくれたんでしょ?雰囲気からして信長様が僕たちのために家を建てるように言ってくれたんだと思う。ありがとうございます。
ようやく京の家に着いた。
「只今帰りました。…誰かいない?」
おかしい。担架を背負ってる人も辛そうだから誰か出てきてほしいんだけど?
「ま、孫四郎様⁉どうしたんですか?そんな恰好―」
万福丸と慶松が慌てて出てきた。
「久太郎さんは?」
「安土の家に視察に行ってしまって。」
「…ごめんなさい2人とも。子供たちには運べないと思うから部屋の中まで僕の体を持って行ってもらっていいですか?」
「あ、いいですけど…。」
どうした?…あ、わかった。家が立派なのにまた引っ越すのかってことでしょ?
「2人とも案内を頼んでいいかな?」
「「お任せください。」」
ようやく自分の部屋に着いた。久しぶりの自分の部屋だ。万福丸に2人を見送ってもらい僕は慶松と話をする。
「…久太郎さんが安土に向かったってことは2人とも引っ越すことを知っている感じ?」
「はい。久太郎様がそう言っていましたから。」
「そうか…。」
「若様の怪我の具合は―」
「ごろごろ転がるぐらいはできるけど立つと血が滲み出始めてしまうぐらい大怪我をしちゃったよ。しばらくは戦には出れないかな。」
「時には休むことも大切ですからね。」
「うん。」
どうしようかな。寝ころんだ状態だと将棋も出来ないんだよね。だったら銃の手入れとかするか。
「タオル…じゃない。濡れた手ぬぐいを持ってきてくれる?」
「はい。」
早速磨き始めますか。まずは単発銃。だいぶ錆びてきちゃったね。たわしでやれば落ちるんだろうけどそこまでやらなくてもいいかな。…うん。綺麗になった。
次に連射式。これもさっきと同じように拭けば綺麗になる。最後は可成様から受け継いだ銃。これだけは本当に慎重に扱わなくちゃいけない。…僕はあの時の可成様と同じことをしたんだね。助けを求めずに独断行動をするなんて…。
「孫四郎さん!…死んでる?」
ボケですか?…そうじゃなさそうだね。
「死んでないよ!ひどいよ、久太郎さん!何とか十兵衛様のおかげで生きているよ。1か月は動けないかな。」
「…無茶したんでしょ?」
「あの時は無茶だと思っていなかったんだけどなぁ。あ、安土の家はどうだった?」
「…なーいしょ。」
意地悪!こういう時だけ隠すのってなんかずるくない?
「まあ早く治してよ。僕も慶松も万福丸も暇じゃないんだから。」
「わかってますよ。名人久太郎さん。」
「め、名人久太郎?」
よし、今のうちに寝ちゃおう。恥ずかしがってる久太郎さんを見るよりは寝た方が調子は安定する。
「ちょ、孫四郎さん?」
「寝させてあげましょうよ。若様は疲れているのですから。」
本当にそうなんだよね。…明日からは久太郎さんにご飯を作ってもらうのか。楽しみに待ってま―。
1か月後
今日も朝起きてまずは包帯を外してみる。…傷口がふさがっている。やった!ようやく外出できる!生きていてよかった!いや、それは言いすぎか。とりあえず立ってみるか。…異常なし。歩行は…おっと!
「若様!」
危ない。慶松が支えてくれなかったら僕、頭から倒れてたよ。
「もう朝から何事?」
「久太郎さん、僕は歩き方を忘れちゃったみたいです。」
「…練習するしかないでしょ。」
冷たっ。もしもし久太郎さん?リハビリって知ってます?人間は長い間立てなかったりするとすぐに歩き方とか忘れちゃうんだよ。せめて、せめて僕のリハビリを手伝ってもらいたいんだけど…。
開始して30分後。まさかこんなに早くに歩けるとは思えなかった。
「やっぱり嘘だったんでしょ?」
「違いますよ。疑うんだったら久太郎さんの腰を撃って1ヶ月間働けなくしますよ?」
「それは嫌だな。…いや、いいかもしれない。」
そこは駄目だというべきところでしょ?とにかく元通りの生活を送れるね。
3日後、いよいよ引っ越すことにした。馬に子供2人を乗せて僕は歩いていくことにした。体がすごく軽くなってる。犬千代があの世に行ったからかな?
「孫四郎さん!そんなに早く走るとこけるよ~!」
「大丈夫ですよ。僕の今の体は軽い、軽い!ですから。」
「ま、孫四郎殿。そこに石が―」
「え、あ、うん。大丈夫だった。」
本当に軽すぎる。跳躍力も前より2倍近く飛べるようになってる。
ちなみに今回は引っ越しの手伝いに堀家の直政殿にも来てもらった。2人は昔からの仲らしい。僕も2人のような幼馴染みたいな関係を作りたいな。
「さて、着いたよ。」
す、すごい…。丹羽様の建築力えぐすぎる。
「あの久太郎さん?何で驚かないの?」
「僕はもう2度目だから。」
そうなんだね、うんうん。…ってならないよ!
「若様?信長様がこの家を建てると決めたのは年初めでしたよね?」
「うん。まさか5カ月でこんな家が建てられるなんて。しかも僕が木造建築を嫌っているのを知っているから全て石で建てられているし。」
僕は木でできた建物は苦手だ。比叡山のあの炎のせいで。
「実際、石の方が建築は楽なんだよ。僕も二条城を建てた時に知ったんだけど木は虫食いがすごい場合もあるから選ぶのが大変でね。」
そうなんだ。建築は石の方がいい。うん。覚えた。
「中もすごいよ。」
まあ外観がこれなんだから中もすごいはずだよ。
「い、池?鯉まで住んでるし。」
玄関入ってまっすぐ進んだら左側に池が見えた。何だこれ?僕、こんなすごい家に住めるの?
「丹羽様曰く、『本当は庭園でもいいかと思ったけど2人は忙しいから手入れできないだろうと思って子供でも餌をやるだけで済む池にしたぞ。』だって。」
当たりです。僕たちの労働時間は恐ろしいですから。
「生活部屋は1,2,3…10個もあるよ。僕が部屋の場所を決めていい?」
「どうぞ。この家を貰えたのは孫四郎さんのおかげだもんね。」
では遠慮なく。
「一番手前が万福丸の部屋。その次が久太郎さんの部屋で間に2部屋挟む。そして僕の部屋でまた1部屋挟む。で、慶松ね。」
「…私のこと嫌ってます?」
慶松…違うよ!
「将来ね、久太郎さんも僕もお嫁様を貰うでしょ?その時のために開けておいたんだよ。」
「若様だけ2部屋ありますが。」
「多分最低2人は受け入れなくちゃいけないから…。」
久太郎さんはすぐに察したね。この時代では2人以上と結婚するのは悪いことではないのです。むしろするべきなのです。
「これでいい?」
「了解。」「それならば…。」「賛成です。」
急いで荷物を部屋に入れましょう。
これでよし。明日はどうしようかな。
「孫四郎様、木下秀長様です。」
秀長様か。何で今来たんだ?
「お待たせしてごめんなさい、秀長様。今日はどうしましたか?」
「引っ越しおめでとう、孫四郎。これはお祝い金な。今、安土の視察をしているんだが…明日一緒に安土を巡らないか?」
明日以降の日程を思い出すと5日間は休みだったことを思い出した。
「いいですよ。集合場所は僕の家の前でいいですか?」
「わかった。じゃあまた明日の朝な。」
久しぶりに秀長様とお出かけだ。楽しみだな~。まずは久太郎さんにお留守にすること伝えないと。
明日は久しぶりにあの人が出てきます。
お楽しみにです。
あ、明日も2話投稿です!




