60 孫四郎、君は生きるんだ
超絶短いので今日はもう1本投稿します。
「孫四郎君!孫四郎君!」
目が覚めた。ここは…あの時の白い間だ。ということは…。
「犬千代?」
「うん。僕だよ。…単刀直入に言うね。僕はもうすぐこの体から消えるよ。」
え?何だって?
「さっきの戦で君、無茶しまくったでしょ?」
「うん。そうじゃないと重秀を討ち取れなかったと思うよ。」
「そのせいで僕はこの体にいられなくなったといってもそれが正しいと思える?」
う、嘘でしょ。
「これってさ。僕が抜けて犬千代がこの魂を取るとかは―」
「出来ないことはないよ。でも君じゃなければ駄目なんだ。」
何で?僕よりも…そうか。僕が抜けると犬千代はこの体をまた取り返せるけど僕の知識は消えるってこと?
「これから困ったときは―」
「そんなに君、困ってないでしょ。」
ギクッ。言われてみればね。
「…それでも―」
「孫四郎君、君は生きるんだ。例え僕の命が消えようと君は自分で生きていける。それに僕には出来なかった友達もいるしね。」
…友達か。確かにこの世界に僕はたくさんの友達がいる。皆と別れるのも嫌だね。
「やっぱり死にたくないでしょ?」
「まあそう言われちゃったらね。」
「じゃあ、逝くよ。…後は任せたよ。」
「え、急に?…ちょっと!犬千代!」
まだ別れの挨拶さえしてないじゃん。…全く。最後までよくわからない子だったね。…さて目を覚ますか。
ここは?
「上様!孫四郎殿が目覚めましたよ!」
十兵衛様?何で僕は今、目の前に十兵衛様がいるんだ?
「…そうか。」
そして信長様冷たっ!心配してくれってわけじゃないけど流石にひどすぎる。
「大丈夫か?孫四郎殿。」
「…ええ。何とか戻ってきました。十兵衛様って医者だったんですか?」
「いや、完璧な医者ではない。簡単な止血法などを知っていただけだ。」
「信長様は大丈夫なんですか?足を撃たれてましたけど。」
「あんなの全然大したことない。余のことより自分のことを心配しろ。」
確かにね。包帯を見た感じあと一歩遅かったら死んでいたような巻き方をされている。
「上様、孫四郎殿。無事でしたか?」
この声は久秀殿の声だ。
「久秀殿、無事で良かったです。あの時はありがとうございました。おかげさまで鈴木重秀の首を取らせて頂くことができました。」
「若造は無理してはいけませぬぞ。孫四郎殿にはまだ未来があるのです。少なくともわしよりは。」
若造って…。でもありがとう、久秀殿。
「さて、孫四郎を担架に載せて帰るか。」
「私は歩けま…無理ですね。また血がにじんで来ちゃった…。」
「今は無理するな。後で無理をしろ。」
それもどうかと思いますけどね。まあ今は楽にさせてもらうよ。痛いし辛いし楽しくないから。
この時の孫四郎は気づいていなかった。もうダーク要素が無くなっていたことに。
今日は幕間的な話のみです。次は安土に引っ越すだけですから。




