58 佐久間信盛の乱-壱 水野信元謀反?
何とか推敲を終えました。
天正四年1月、また本願寺が挙兵した。
それ以外の場所でも丹波の波多野とか紀伊の雑賀衆も立ち上がった。重秀殿…とうとう立ち上がりましたか。
岐阜城
久しぶりに岐阜城へ報告しに来た。最近は義昭が今どこにいるかとか本願寺の動きについて藤孝殿や毛利の隆景殿に書状を出して聞いていて今日は本願寺に新たな動きがあったからそのことを報告しにやってきた。
「お、孫四郎。調子はどうだ?」
この声は佐久間様だ。
「こんにちは佐久間様。この間風邪をひいてしまいましたがそれ以降は無事何事もなく過ごせています。佐久間様も今日は調子が良さそうですね。」
「今日はってなんじゃ!…まあそうなのだけどな。」
え、まさかいつものお馬鹿キャラは演じてたんですか?嘘でしょ?
「…っといけない。お前も上様に報告しに行くのか?」
「はい。佐久間様も報告しに今日は来たのですよね?こちらも大事なことですけどその感じだと佐久間様の方が優先だと思うのでどうぞ、お先に向かってください。」
不思議だね。昔は佐久間様とは話をするたびに腹を立っていたけど今ではそんなことがないからね。
「ああ。じゃあ行ってくる。」
そういって佐久間様は信長様がいる部屋に向かって行った。…あれ?あの人紙を落としていったよ。全く。ドジだなあ。届けてあげる―何だこれ。
「水野信元殿、長篠直前に武田家臣秋山信友に食糧を送った疑いあり。」
これは誰かが佐久間様に送った書状か?…水野殿は確かに昔は松平家と同盟を結んでいて織田家がやがて優位になると寝返った過去があるけど何で武田に寝返ったんだ?…違う。これは敵の罠だ。アホっぷりを見せてる佐久間様なら信長様にこの書状を見せて水野殿が寝返った問風に…。大変だ。止めに行かないと!
「信盛、それは本当なんだな?」
「はい。…あれ書状がない。」
もう話が進んでいるようだ。…入ってみるか。
「お話中すみません。佐久間様、先程この書状を落とされましたが―」
「それじゃ!…取り乱してすみません。孫四郎、その書状を信長様に見せなさい。」
まあ見せるまではいいか。その後どんな話をするかが問題だけど。
「わかりました。…失礼します。」
信長様が珍しく真面目に読んでいる。佐久間様の持ってくる書状なんかいつも破り捨てるのにね。
「珍しく信盛の言うとおりだな。」
「某も疑いましたがやはり水野殿は…。」
ちょ、ちょっと待ってよ!何でそんな書状で決めつけるの⁉
「上様、それは―」
「待て孫四郎。お前が言いたいのはこんな書状で信元が裏切ったと決めるな。そういうことだろう?」
「…はい。ですが―」
「安心しろ。余も佐久間も信元を疑ってなどおらぬ。」
「我らが今話していたのはこれを書いたのは誰か?という話でわしは武田が仕掛けた罠じゃないかと思って信長様に報告したところよ。」
…え?佐久間様が本当に頭が良い人に見えてきたよ。何で?何でそんなことがわかったの?
「この紙は甲斐で作られる和紙だ。余もまだ武田と同盟を結んでいた頃に何枚か書状を貰っておるから瞬時に分かった。」
どう見ても美濃和紙と変わらないように見えるんだが。今度見分け方を教えてもらうか。
「さて孫四郎。お前の言いたいこともわかるぞ。顕如が―」
もうこの流れも慣れた。信長様はなぜか人の言いたいことがわかる能力を持っている。
「わかっているなら先にこの書状の件について深堀するべきだと思います。今後同じようなことが起きる可能性も十分あり得ますから。」
「…流石だ。じゃあ孫四郎。浜松に行ってこい!」
え、ええ?何でですか⁉
浜松城
何となく行く理由が分かった。家康様は水野殿の甥なんだよね。もしかしたら徳川にも似たような書状が届いているかもしれないんだよね。
「ごめんください。織田家臣の前田孫四郎です。家康様にお話したいことがあって―」
「孫四郎様?」
お、いい所に万千代さん。
「万千代さん、お久しぶりです。今、家康様はどこにいますか?」
「城でしゅ―」
言わなくていいよ。何となく察した。
「あれ以来やられていない?」
「まあ以前よりはやられなくなりましたけど。」
あ、後ろ後ろ。
「万千代、やられなくだと?」
怖っ。いつも温厚な家康様がキレてる。
「あ、いえ、あ、…孫四郎様~⁉」
僕に頼ってどうするわけ?…しょうがない。
「まあまあ家康様。本人が嫌がることをやったら将来痛い目に遭いますよ。」
「…孫四郎殿がいたか。其方に言われては何も言えんわ。して今日は何用じゃ?」
「先日佐久間信盛様の下に水野信元殿が寝返ったという内容が書かれた書状が届きました。信長様によると紙が甲斐でしか作らない種類のものだったらしく送り主は武田家かと断定できたのですがまだ紙だけでは証拠が不十分です。そこでもしかしたら家康様の下に似たような書状が届いていないかなって思い来たのですが…。」
「残念だが叔父上関連の報告はここには来ていないですぞ。」
うーん。そう言われるか。僕は何で浜松に来たんだろう。
「じゃがやれることはありますぞ。」
ほ、本当ですか?
「半蔵、出てきてくれるか?」
「…御意。」
半蔵?
「この者は服部半蔵と言ってな。桶狭間の頃からずっとわしを助けてくれる影武者みたいな者じゃ。」
「忍びではないのですがね。」
あれ?半蔵殿は喋らないの?
【ねえ犬千代。僕はこの人の名前を聞いたことがあると思うんだけどどんな人かが思い出せないんだ。何か脳内に情報ない?】
【まああるにはあるけど。鬼半蔵という異名が付けられたこの人はさっき万千代殿が説明した通り忍びと勘違いされやすいんだけど実際は伊賀出身ではあるんだけど身分的には旗本だったと書いてあるよ。】
多分僕は服部忍軍で聞いたことがあったんだね。何となく思い出した。
「半蔵、其方甲斐に行ってくれるか?」
「甲斐ですか。…承知。」
え、消えた?やっぱり忍びなんじゃないの?いや、前にも似たような人がいたから決して違うんだろうね。ここは半蔵殿に任せて一旦岐阜に戻りますか。
数日後
岐阜城
鉄砲隊の練習に久しぶりに参加していた時だった。
「ご無沙汰しております。服部半蔵でございます。」
ビックリした!
「あ、はい…。もしかして何かわかったことが?」
「はい。寝返った者は水野様ではなく
佐久間信盛殿
であることがわかりました。」
…なんとなくわかってたよ。佐久間様、こんな大事な時に貴方なんで寝返ったの?
「どういたしましょうか?」
「…最近妙な感じがしていたんですよ。急に賢くなったり自分から危険な目に遭いに行ったり。これも全てあの男の計算の内だったのでしょうね。わかりました。とりあえず信長様には水野殿に謀反の疑いなしとの情報を伝えに行きましょうか。佐久間様の件は後でも構いません。今は水野殿の命を助けね―」
「孫四郎!大変だ!」
この声は一益様だ。
「どうかしましたか?」
「佐久間様が…佐久間様が水野殿を―」
この事件の結末は年末につくことになる。
この話の続きは明日の20時に投稿される予定です。
佐久間信盛は一体何をやったのかはそこで説明する予定です。




