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前田利長に転生したので織田・豊臣の世で無事生き残れるように尽力します!  作者: Nagamasa N
第四章 天下布武編

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52 貞昌の粘り 強右衛門の命懸けの忠義 焦る勝頼

今回は長篠『城』の戦いです。

過去一手を入れた回です。是非是非見てほしいです。

※孫四郎視点はありません。

4月12日

~勝頼視点~

父上が亡くなって早三年。去年は高天神城しかとることができなかった。今年はいよいよ長篠であの戦が起こる年だ。何とかあの戦だけは阻止しなければならぬ。

「勝頼様?もう皆お焼香を終えましたよ。」

土屋昌次。昌幸同様父上に気に入られて奥近習六人衆の1人になった優秀な家臣だ。そんな彼が俺を現実世界に戻してくれた。

「すまない。少し思い悩んでいたようだ。」

「勝頼様。悩むことなど何もありませぬ。我らがいる限り武田は安泰です。」

最後に裏切る予定の信茂に言われても納得できない。

「なあ、皆。俺らはこれからどうするべきだと思う?」

「勝頼様、それは。」

昌景が止めようとしてくる。でも俺はあえて聞いたのだ。父上だったらどこを攻めるか明白に言う。でも今の俺にはどこを攻めるか決められなかった。

「頼む。俺は独断では決められない。上杉とは父上が何かあったら頼れって言われてるか攻めないのは当たり前だし北条も同盟を結んでいるから攻めない。だが織田・徳川に攻めるのはあまり気乗りがしない。信長はほぼ畿内を制圧した。あと残っているのは本願寺と紀伊ぐらいだ。とすると今は大半を取ってある遠江・駿河・信濃に攻めてくるのも時間の問題だと思うんだ。だからあまり他家を攻めるのはあまり得策じゃないと思う。」

「確かに。信長は常に理解不能な行動をしていますからね。ですがここで踏みとどまっても武田にとって何もいいことはありませぬ。」

「まさゆ…喜兵衛の言うとおりだ。攻めるなら飛騨ぐらいしかないが攻めてもあまり意味は得まい。」

危ない。まだ昌幸は武藤喜兵衛のままだ。毎回間違えそうになる。

「とすると上野を…いや北条とは仲良くしなければならない。遠江だと信長か来たら厄介だし…。」

「勝頼様、でしたら長篠を取り返しませんぬか?お嫌かもしれませんがあそこはかつては武田領だったのですぞ。ですがお館様が亡くなったという理由だけで城主の奥平は徳川に寝返った。某は許せませぬ。お館様と勝頼様を馬鹿にしている気が…。」

信房…。それは一番駄目なんだ。

「勝頼様、高天神城での采配は見事でございました。きっと長篠でも同じように行えば―」

「信房、昌豊。それは危険だ。長篠はもう落とせぬ。家康は貞昌に何かがあったらすぐに援軍に来ると伝えてあった。」

「ですが高天神城では―」

「話を最後まで聞け。高天神城の際にも同じような約束をしたが来なかったと言いたいのだろう?それは罠なのだ。あそこで来なかったのは俺らに油断をさせるため。もう徳川の大将は味方を捨てることしかできないと見せかけるためだとしたらどうだ?」

「見せかけるため…まさか!」

ようやく2人とも気づいてくれたか。

「家康も苦渋の決断だっただろう。元々あいつは馬鹿ではない。織田・今川という2つの大きな家に学んできた人質が今では三河の太守になった。そんな奴が簡単に味方を捨てると思うか?俺だったら思えぬ。それを確かめるために去年は高天神城を落としに向かった。あの場で家康が来たら早々に帰る予定だったし。」

「でも我らはもう織田・徳川とは敵対化してしまっているので流石に和解は出来ませぬぞ。」

「昌信の言うことも一理ある。でもいつか我らが勝てる時が来るはずだ。それまでは大人しくするべきだが…どうだ?」

「反対です。逆に我らに―」

信茂、諦めろ。

「悪評が付くというのだろう?家康は耐えられるのにお前は耐えられないのか?」

「耐えられません!大体方々もなぜこの程度のわかぞ―失礼。勝頼様の言うことを全て聞くのか。某にはわかりませぬ。」

「其方失礼であろうが!」「勝頼様を舐めておるのか!」「お前なんかに勝頼様の何がわかる!」

すまない。皆、すまない。

「…勝頼様。小山田殿が言うことは確かに間違っています。でもそれでも聞きたい。いつから我らは織田よりも弱いと決めつけられたのだ?我らは戦国最強の騎馬隊を誇る名門、武田家ぞ!我らの絆が固い限り、決して武田は負けぬ。そうであろう?」

「信龍叔父上…。」

「信龍の言う通りじゃ。我ら武田家臣団は決してお館様を決して見限ったりはせぬ。」

信廉叔父上も続く。

「信長にわからせましょう。奴らも連戦連勝をしていて気を緩めているはず。勝頼様、どうか長篠攻めの下知を。」

「ならぬ!」

「勝頼様!」

「ならぬと言っておる!」

駄目なんだ。ここで攻めても負けるとわかっている。

「方々、一旦落ち着かれよ。勝頼様が反対するということは何かあるということだ。」

信綱…。お前は俺の考えをわかってくれるのか。

「ですが勝頼様。私も1人の武者です。目の前に獲物がいるのに攻められないのは悔しくて、悔しくて。」

どうすればいい?なぜか信綱の気持ちもわかってしまう。昔は俺も荒武者だったからな。それを改善してくれたのは昌幸と昌次だった。あの2人はいつも俺の悪い癖を直すために協力してくれたのだ。

「最終警告をするぞ。この長篠攻めは犠牲を出すために行くようなものだ。それでも行きたい奴はいるか?いない―」

「負けませぬ!我らがおる限り武田は負けませぬ!」

そう言われたら頭が使える組の昌景や昌豊も反論できないじゃないか。どうしてくれるんだ…。

「…長篠城を取ったら帰る。それでいいか?」

苦渋の決断だった。全軍で長篠を攻めれば負けないか?頭が使える組に目を向けると。

「…やってみせましょう。但し出来ないと判断したら即急に撤退を促します。喜兵衛、昌世。其方たちも協力してくれるか?」

「はっ。」「お任せくださいませ。」

「では、勝頼様下知を。」

もう決まってしまったな。どうして俺は史実を変えられなかったんだ?でもそんなことを考えている場合じゃない。

「父、信玄の遺志を継ぎ、織田信長・徳川家康を撃破するぞ!」

「応!」

すまない。でももう止められないのだ。本当にすまない。皆。


~奥平貞昌視点~

今日もいい天気だ。こんな日には川の辺りをゆっくり散歩でもするか。


そういえばだいぶ城内の修築も終わってきたな。これも皆の頑張りのおかげだ。後で礼を言わねばな。


バシャン!


何だ何だ?と思いながら川を見てみたら1人の男が泳いでいた。何をやっているんだと思いながら見ていた直後、彼は川から飛び出した。あ、この者は…。

「強右衛門か。それは今日の晩飯か?」

「はい。今日は大漁でございます。」

鳥居強右衛門。私より15歳年上で父、定能の頃から仕えている足軽だ。水練では多分家中で勝てる者はいない。

「そうか。…いつもありがとな。皆のために働いてくれて。」

「いえ、貞昌様の人柄や態度が皆のやる気を見出してくれてるのです。こちらこそいつもありがとうございます。」

本当に皆いい人だな。私も彼らを見習いたい。

「貞昌様!大変です!」

「どうしたのだ?そんなに慌てて。」

「たった今―」


武田勝頼挙兵。いつか来ることはわかっていた。でも今来るとは思えなかった。来るならなぜ去年までに攻めて来なかったのか…そんなこと考えている場合じゃない!まずは皆を集めて作戦を練るか。


「武田軍は2万5千で進軍中とのこと。」

「なるほど。…家康様の援軍が来るまで14日ほどかかるだろう。それまで何とか生き残る策を考えねばならぬ。誰ぞいい考えはあるか?」

「我らの城には鉄砲が200丁あります。食糧も2か月分は溜めてあるので早々は落ちませぬ。」

「なるほど。ところで兵糧はどこにある?」

「蔵に置いてありますが…。」

「あの分かりづらい場所にある蔵か。よし、では皆守備位置につけ。絶対にこの城を奪われてはならぬぞ。」

勝頼には恨みしかない。家族を殺された恨み。決して忘れていないからな。


5月14日

籠城を始めて14日目。まだ家康様からの援軍は来ていない。早く来てくれないかな。と思っていたその時だった。


ポンパンボン!ボボボボボン!


何の音だ?と思いながら外を見たら何と兵糧蔵が燃えていた。まずい!我らの兵糧が無くなってしまう。

「貞昌様!すぐに消火しましょう!」

「待て!今向かっても焼け死にするだけだ。それより皆を集めてくれ。最後の話し合いをしよう。」

何とか冷静に指示できたが最後に余計なことを言ったな。でももう覚悟を決めるしかない。高天神城のような生半可な態度を我らは絶対に取らないぞ。


「兵糧蔵が無くなった。あと4日もすれば我らの兵糧は切れるだろう。」

「そ、そんな…。」「嘘だろ…。」

私だって疑いたい。なぜ兵糧蔵は爆発したんだ?近くに武田軍はいなかったはず。自然に火が点いてしまったか火矢が飛んできたかのどちらかだろう。

「誰か家康様に現状を伝えられるものはいないか?私はこの城と共に最期を迎える予定だ。だが皆には生きてもらいたい。」

「殿、まだ死ぬとは決まっておりませんぞ。伝えるのではなく援軍を再度要請するのです。きっと家康様は援軍とともにやってくるでしょう。」

「…そうだな。私が死ぬと言ったら皆の士気が下がるだけだ。ところで誰かいける者はいないか?」

「…死にに行くようなものですぞ。」

確かにな。目の前に武田の兵が2万5千もいるんだ。誰だって行きたくないよな。

「…私が。私が行きまする!」

この声は。

「強右衛門!本当にいいのか?死ぬかもしれんぞ?」

「構いません。某の命は貞昌様に既に預けてあります。それに某は死ぬつもりなどありません。絶対にいい報告を持って帰ってきます。」

強右衛門…!私は本当にいい家臣を持っている…。

「わかった。気を付けて行ってこい、強右衛門!」

「はっ!」

頼むぞ強右衛門。


~強右衛門視点~

某は本来、ここにいてはいけない立場。だが殿は身分など関係ない、実力がある者がこれから先は重要視されると常に言い聞かせてくれた。その恩義に報わねばならぬ。まずは水に入り川の下流を目指すか。岡崎城までの道は先代の貞能様から以前聞いていた。多分迷わずに行けるはずだ。


15日

ようやく岡崎城に着いた。誰か知っている人はいないだろうか。

「む?そこにいるのは強右衛門じゃないか!久しぶりだな!」

この声は先代様だ。

「貞能様!お会いできて嬉しゅうございます。」

「うむうむ。…ところでなぜ其方がここに来ておる?まさか。」

「はい。長篠の兵糧が焼かれてもう後数日しか持ちませぬ。どうか、徳川様から援軍を頂けないかと―」

「よう頑張った。よう頑張ったな。よし、わしが其方を家康様に会わせてやろう。」

先代様…!お優しい。そして某は徳川様にお会いできるのか。生きていてよかった…。


とある広めの部屋に通された。ここは何の部屋なんだろうと思いながら頭を下げていたらやがて2つの足跡が聞こえた。

「顔を上げよ。其方が鳥居強右衛門か。私が徳川家康だ。定能から聞いたぞ。1日で長篠から来たのだろう?きっと疲れていよう。ささ、もっと姿勢を楽にせよ。」

この人が徳川様か。…隣にもう1人偉い位にいそうな人がいるな?誰だ?

「余は織田信長じゃ。鳥居とやら遠慮せずに姿勢を楽にせよ。」

の、信長⁉あの織田信長様か。某は足軽だ。自分が普段会えない身分の人に顔を合わせられしかも姿勢を楽にしてもいいと言われる。こんなことがあっていいのだろうか。

「全て貞能から聞いた。もう長篠もやばいのだろう?」

「はっ。あと3日…2日持つかもわかりませぬ。どうか、どうか皆を助けてください…。」

言い切った。頼みます。援軍を出してください。

「わかった。2日以内に向かおう。」

…!よかった。本当に良かった。あ、某の目から涙が…。

「強右衛門、手拭を出す。どうか拭いておくれ。」

家康様は本当に優しいお方だ。貞昌様と同じぐらい優しい。

「ありがとうございます。大事に使わせて頂きます…。」

「誰ぞある。長篠に使者を―」

「いえ、某が伝えます。某が一番長篠周辺の近道を知っています。この知らせを早く皆に届けてやりたいのです。」

「其方の言い分、わかった。…死ぬなよ。」

死ぬか。確かに死んだら知らせられない。

「大丈夫でございます。では失礼いたします。」

貞昌様、皆、待っていてください。


16日朝

ようやく長篠まで来た。だけど城の周りは武田兵でいっぱいだ。どうすればいいのだ?

「おい!お前、何をしている!」

しまった。ばれてしまった。でもここで逃げたら逆に怪しまれる。どうすればいい?…決めた。大人しく捕まろう。


手を縄で縛られた。これで自由の身にはなれない。でもこの方がまだ生きる道がある。きっと。


某は敵陣に連行された。こいつが武田勝頼か。見た目は優しそうだがこいつのせいで殿は3人の家族を亡くされたのだ。常時睨んでおこう。

「其方、名はなんという。」

「鳥居強右衛門と申す。」

絶対に相手に丁寧な言葉は使わない。

「なぜあの場にいた?」

「徳川様に援軍を要請するため。」

「で、来るのか?」

正直に話そう。

「ああ。2日後には来ると言ってくださった。」

「…なぜ逃げなかった?」

「逃げたら殺されるだけだからだ。だとしたら捕まった方がまだ生き残れるかもしれないと思った。」

さあどう出る?武田勝頼。

「気に入った。これから其方を家臣に加えよう。但し条件がある。長篠城兵に援軍は来ないと言え!そうすれば縄から解放してやろう。」

武田家臣になるために皆に嘘をついてまでなるのか。…決めた。そうさせてもらおうか。

「わかった。」


城の前に着いた。武田兵に連行されているからここでは逃げ出せない。…覚悟を決めた。

「強右衛門!其方なぜ捕まって居る…!」

「今から某は最後の報告をいたす!方々は静かに聞いてくだされ!」

貞昌様は驚いている。…よし、言うぞ。


徳川様は信長様と共に3万8千の兵で2日後に援軍として来て下さる!方々、それまでの間辛抱なされよ!


言い切った。その瞬間武田兵に再び連行された。

「2日か!」「やったぞ!」「絶対に耐えて見せるぞ!」

「この大馬鹿者!なぜ俺が其方を生かしたのかわかって居らぬのか!磔にせよ!」

ふっ。そんなのわかりきっていたよ。こんな真実を言ったら殺されることなんて誰だってわかる。

「強右衛門!」「死ぬな!」「逃げろ!」

いいえ。某は逃げませぬ。貞昌様、ごめんなさい。でもこれで何とかなるはずだ。今までありが―


天正三年五月十六日 鳥居強右衛門刑死 享年36


~勝頼視点~

まずいまずい。こんなつもりじゃなかったのに。おのれ強右衛門!こうなったら長篠を落としきって見せようぞ。もう手は抜かぬ。


~貞昌視点~

強右衛門…。なぜだ、なぜ死んでしまったのだ…。いや、ここでくよくよしてはならぬ!

「強右衛門の死を無駄にするな!何としても2日耐えるぞ!」

「はっ!」

見ておれ強右衛門。絶対に私は其方の無念を忘れぬからな。


五月十八日、とうとう長篠城は落ちなかった。

本当は大岡事件も載せる予定でした。ですがデータがぶっ飛んだりこの話が長すぎるのもあって入れることができませんでした。


強右衛門の死と貞昌の粘りは設楽原決戦にもつながります。是非明日以降の投稿も見てください。

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