47 本当の孫四郎
「やあ。ようやく会えたね。孫四郎君。」
誰だ?おそるおそる目を開けてみると白い空間の中に子供がいた。年は3つぐらい。あれ?もしかして?
「僕は前田犬千代。そう。君が生まれ変わる前にこの体を支配していた魂さ。」
内容は理解できる。僕が来る前の孫四郎の正体だ。でも何で今出てくるんだ?とりあえず自己紹介をするべきかな?いや、なんて言えばいいかがわからない。
「ええと何て名乗ればいいのかな?」
「名乗らなくていいよ。君のことはいつも見ているから。」
どこから?天から?それともこの体の中から?
「でね。まずこの体について話そうと思うんだけど、今この体は君が動かしているんだけどね。時々君が焦ったり困ったりした時に僕の魂が君の体を乗っ取ることができるんだ。」
「もしかして刀根坂の一騎討ちの時は君がやってくれたの?」
「そう!でも今の状態じゃ30秒しか乗っ取れないんだけどね。」
ちょっと待って。秒?
「何で僕が生きていた時代の単位を知っているの?」
「これはね。君の体の情報と僕が持っている情報は常に共有されているからなんだよ。」
だからたまによくわからない人の情報も勝手に脳内に入ってくるのか。ということは英語を言っても多少はわかるわけね。了解。
「じゃあこの白い空間は?」
「ここは君の脳内。つまり今、外では君は失神している状態ってことだよ。」
え?それは困るんだけど。
「何で倒れたか知ってる?」
わからない。でもおかしくなったのは刀根坂の一騎討ちの後だ。…まさか。
「僕の体を乗っ取ったから?」
「そう。僕が乗っ取った後は3日間の休養を取らないと体が壊れちゃうんだよ。そうなると必然的にこの空間に呼ばれちゃうから気を付けて。」
いや、乗っ取られたら3日間の休息なんて戦場でできるわけないじゃん。
「でもね。そんな頻繁に来させなくする方法があるよ。」
「それって一体?」
「僕と君が一体化するんだよ。」
どういうこと?
「今はたまにしか乗っ取れないけどこれからは君は思考を続けながら僕が君に情報を与えたり君が乗っ取ってほしいと強く望んだら一定時間乗っ取ったりすることも出来るよ。」
「デメリットは?」
「ないよ。いつでも君の判断で乗っ取れるようになるんだよ。」
めちゃくちゃいいじゃん。恐らくその間の様子はこの間の時みたいにただ眺めることしかできないのだろうけど。
「一応いうけど僕は内政とか政策を考えるのとかは無理だからね。」
「つまり君は敵を倒すときに役立つのと知っている情報を常に僕に教えてくれるようになるってことだね?」
「そういうこと~。」
理解した。目元からして嘘は言っていなさそうだ。信用できる。もう1人の自分だから当たり前か。
「今ならすたみなが4割も付くって。」
スタミナね。つまり疲れにくい体になるのか。…本当か?
でもデメリットは本当に感じられない。よし、決めた。
「いいよ。どうやって一体化できるの?」
「簡単だよ。僕の右手と君の右手を握り合う…つまり握手すれば一体化して元の世界に戻れるよ。」
「またこの空間に戻りたいときは?」
「多分無理。体が消滅する時ぐらいかな。」
消滅?何のことかわからないけどまあいいか。
「じゃあお願いします。」
目の前が渦巻き状態になった。孫四郎が僕。犬千代があの子か。よくわかった。さて早く目覚めたい。
「…ろう!孫四郎!」
目が覚めた。目の前に父上がいる。
「目が覚めたか。ったく、心配させやがって。」
荒子城だ。横を見るとスヤスヤと万福丸も眠っている。良かった、気絶する前に道を全部教え切れて。
「ごめんなさい。最近戦が多くて疲れてしまったようです。」
「ん?目の色が変わってるぞ。」
本当に?と思いながら鏡を見たら、本当だ。茶色と黒の境目の色をしている。今までは黒色だったのに。
【驚いた?どうやら僕らは一体化に成功したみたいだよ?】
この声はもう1人の自分だ。
【これからは君が呼んだ時だけ出て来れるようにしておいたよ。じゃ、お休み~。】
【ちょ、ちょっと~。】
全く。あの感じじゃ仕草は3歳児のままだね。まあいいけど。
「おーい。孫四郎~。」
「何でございましょう。」
「何かあったろ?」
「あ、はい。とりあえず僕がやってくる前の孫四郎とお話ができました。」
「ふーん。…え?」
この後この状態を説明するのに3時間かかった。父上の理解力がないのか僕が理解するのが早かったのか…。出来れば夜遅くなんだから寝させてほしい。
ここから先前田孫四郎利長は転生する前の犬千代と転生後の孫四郎が協力して信長を助けるようになります。
ですがまだ説明していないデメリットがあります。またお話が進んで来たら犬千代に語ってもらいますがとんでもないデメリットです。皆さんも話が進むにつれわかっていくと思います。
短い話なので今日はもう1本投稿しますね。




