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前田利長に転生したので織田・豊臣の世で無事生き残れるように尽力します!  作者: Nagamasa N
第三章 孫四郎危機編

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38 燃える延暦寺 僕らの願い

8月の末に篠原勢は和田惟政殿、茨木重朝殿を討ち取って四国に撤退した。奴らは一体何をしたかったんだ?確かに討ち取った相手が義昭の重臣であることには変わりないがそんなことをしても城は茨木城しか落とせないししかも飛び地なので撤退したらすぐに信長様に取り返されるだけだ。僕だったら時を待っていたと思うけどな。


9月4日 織田軍議


「比叡山を焼くぞ。」

言われるとは思っていた。そろそろ時が来るはずだと。

「お待ち下さい。いくら言うことを聞かない勢力だからとはいえ焼き討ちをしてしまえば信長様には汚名が付きましょう。」

光秀…今は信用できるから十兵衛殿が止めてくれた。でもそんな止め方じゃあの人には効かないよ。

「構わぬ。…女子供構わず焼き討ちにせよ。」

ぞっとした。何で?女はともかく子供たちにはまだ未来がある。きっと心も変わるはず。そんな子供たちの未来まで信長様は奪ってしまうの?

「では皆、戦の準備をせよ。解散!」


帰ろうとしていたら賦秀さんに肩を叩かれた。

「こんなことがあっていいのか!何で関係ない者まで焼かねばならないんだ!」

それ僕に言わないでよ。僕も反対派なんだ。でもこうなったら止められない。

「落ち着いてください、賦秀さん。これで信長様は他の仏教勢力にわからせるつもりなんです。俺に逆らったらこうなると。」

「孫四郎は賛成なのか?」

「…本当はこんなことに納得したくないです。でも、でも!御坊様が武器を持っていることって普通はありえないことなんですよ。しかもそれで人を殺めるって。それを許していた結果が今の加賀や長島のような状態ですよね?それが将軍様が住む京に近い比叡山でも起こったらどうします?義昭殿も毎日安心して過ごすことができないでしょう。そんなことがないようにするために早めに対応しようとしているわけだと私は考えました。」

「…俺だったら戦に持ち込みたくない。なあ孫四郎。お前もそうだろ?」

いつもだったら「そうですね」と言って考え始めていたかもしれない。でも今の僕にはそれを言うことは出来なかった。

「信長様は延暦寺の方と話し合って和睦するように何度もお願いしたけど駄目でした。…それに私にはどうしてもあの方たちを許せない理由があるのです。もしあの方たちが挙兵しなければ目の前で仲間を失わなくて済んだはずなのにあの坊主のせいで、あの坊主のせいで坂井様は戦死したのですよ!簡単に許せると思いますか⁉」

「…そうか。お前もそんな奴だったんだな。」

そう言って賦秀さんは自陣に帰っていった。何でこうなっちゃったんだろう…。ごめんなさい。賦秀さん。


9月11日

いよいよ明日が焼き討ちの日だ。何か心がもやもやする。本当に信長様と一緒にいていいのだろうか。きっと信長様は焼き討ちの時にニコニコしながらただ燃えているのを見ているだけな気がする。そんな人の側には今の気分的にいたくない。誰かほかの人の与力とかになれないかな。賦秀さんみたいに。

「お、孫四郎。信長様の側にいなくていいのか?」

この声は。

「秀吉様。…そうだ!秀吉様、明日の戦なんですけど木下隊に交じって参戦してもいいですか?」

「え、おいらと?」

この人は皆が笑って暮らせる世を作ると某戦国ゲームで言っていた。きっと秀吉様の側にいたらもっといい戦い方を学べるはずだ。

「お願いします。たまには他の皆さんの戦い方を学びたいんです。」

「それで俺か。でもいいのか?利家殿や賦秀と同じ柴田殿じゃなくて。」

「柴田様の戦い方よりも民のことを思って戦っている秀吉様の方がたくさん学べると思ったんです。お願いします!」

「…俺はいいけど信長様に相談だな。勝手に連れ去ったら首が刎ねられるかもしれないからな。」

「わかりました。では許可を取りに向かいましょう。」


織田本陣

「信長様、今回の戦なんですけど秀吉様の側で学んできてもいいでしょうか?」

「ほう。賦秀とは違う道を行くのか。」

「はい。将来のことを考えると柴田様ではなく秀吉様に学んだ方がいいと思いまして。」

「殿、某からもお願いします。」

「…わかった。秀吉、孫四郎を討死させたら許さないからな。」

「ははっ!絶対に守って見せまする。」

これでよし。あの悪魔みたいな顔を近くで見なくて済む。


12日

僕たちは信じられない戦を見ている。信長様は志賀の陣の時にも戦場となった坂本と堅田をまず放火した。僧兵たちは頭を燃やしながら山を登っている。すごく心が痛い。あの場で散った坂井様もきっとこんな戦いを望んでいないと思う。秀吉様や秀長様たちも目に涙を溜めながら様子を見ている。僧兵たちが逃げた山には木がたくさん生えているし寺は木造だったはず。何でわざわざ死にに行ったのだろうね。


山を登り根本中堂までやってきた。信長様の火攻めは止まない。どんどん木々に火を点けていく。僧兵たちは「やめろ、やめろ」と言っているがそんなのでやめるぐらいだったら何で中立を保たなかったんだと信長様は思っているはずだ。あっ、また出火した。

「山を下りよう!このままじゃ焼け死んでしまうぞ!」

前の方でそんな声が聞こえた。無駄だよ。だってそのお堂の前には僕たちが待機しているのだから。

「弓隊構え!」

次の瞬間、矢は僧兵や子供たちの首に刺さった。

「あ、あああ!」

「あつい、あついよ…。」

「ぎゃあああ!」

地獄だ。何で子供たちも殺さなくてはいけないんだ。これが天下泰平のための戦い?絶対に違うよね。何で止められなかったんだろう。信長様にもう一度忠告するべきだった。こんなことをしても何の得にもならないと。仮に僧兵を全滅させても今回この戦いに参加した兵士はこの映像が頭の中に一生残るだろう。そうなったらしばらくは戦に参加できない人も多く出て今後の事業に大幅な遅れが出るだろう。あの人はそこまで考えているのか?少し信長様への信頼が減った出来事となった。


~秀吉視点~

隣で孫四郎が信じられないような恐怖に怯えている。きっとおいらも同じだろう。これは戦じゃない。何なら火事場泥棒よりもひどい。


俺が望んでいる世の中はこんなんじゃない。皆が笑って暮らせる世を作る。それが目標だ。だが今の状況はどうだ。笑っている者など1人しかいない。織田信長、あの方だけだ。何で子供たちが焼け死んでいるのに笑っていられるんだ?何で罪のない人も巻き込んで殺して平然としていられるんだ?正直俺に力があったら皆で織田家を裏切りたい。でも俺や柴田殿たちが裏切っただけじゃ織田はまだ全然強い。だから絶対にあの人から離れることは出来ない。この時の俺は見えない束縛の綱があるような気がした。


~明智光秀視点~

これが信長様の戦…。でもこれぐらいのことをやる人が本当に天下を取るのかもしれない。私は決めた。信長様のやり方を信じよう。私が望んでいる世はこの方によってくるかもしれないからだ。戦がない世を義昭様や信長様と共に作っていこう。


~賦秀視点~

見たくない。何でこんなものを見せられなくちゃいけないんだ。信長様の考えはよくわからない。でも孫四郎の思いはよくわかった気がする。多分孫四郎は自分の命を守りつつ他人の命を守ろうとしている。それでも抵抗する勢力には容赦しない。という考えを持っている気がする。だからあの時は坂井様のことを挙げたんだ。確かに俺も柴田様が戦で死んだらやけくそになってこの間の孫四郎と同じ考えを持っていた気がする。なあ孫四郎。ようやくお前の考えがよく分かった気がするよ。俺は決めた。将来、織田信長とは違う覇王になって見せる。それを成し遂げるためには今は信長様に大人しく従っておこう。


~信長視点~

これでいいのだ。これで。


この時は誰も気が付いていなかった。珍しく信長が涙を流していたことに。

この作品での焼き討ちに関する登場人物の考えです。

孫四郎…相手が何を言っても聞かない時のみ賛成。

賦秀…反対。出来れば戦すらしたくない。

秀吉…反対。

信長…賛成(?)←先ほどの涙がどう影響するのかがポイントです。

光秀…中立。出来れば焼きたくないけどそれぐらいのことをやらないとこの国は統一できないと考えている。


次回も比叡山関係の話です。いよいよ孫四郎に家臣が出来るかも…。

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