29 鬼?天使?いえ、人間です。
前回の続きです。幕間的な役割ですが意外に字数が多いんですよね。本編もこれぐらい頑張れとは言わないでください。
今日はたくさん投稿します。
この作品をランキング上位に載せたいです!
そのためには皆様のご協力が必要です。
評価・ブックマークをお願いします。
もし今日のランキングで上位に載ったら明日以降も毎日投稿を続けます。約束します。
どうか、どうかポイントをこの作品に下さい。
そうじゃないと今日で投稿が終わってしまうかもしれません…。(メンタル崩壊寸前)
「次は筒なしで的を狙ってもらいます。」
「え?いきなりですか?」
そんなに驚くかな?でも確かに急に支えの筒が無くなったら不安だよね。
「自信がない人はあの装置を残しておくので練習してからこちらに来てください。但し今日中に合格してくださいね。ど真ん中の点を撃ち抜いた人から順次帰ってもいいことにします。」
「…鬼ですね。でもやるしかないか。」
鬼?僕そんなに厳しいかな?
「あと、早めに終わっても一部の人にはやってもらいたいことがあるので残ってもらいますがいいですか?絶対に定時には間に合わせますから。」
「何をやるかはわかりませんがいいですよ。きっと大事なことなんでしょう?」
「はい。明日以降の練習に必要な装置の材料を仕入れてほしくて。」
「わかりました。では皆頑張るぞ!」
「はい!」
六兵衛さんが気合い入れ係になりつつあるな。さて一発で当てられる人は出てくるかな?
「当たらないだと…。」
「何でだ?撃ち方は間違っていないはず…。」
駄目だ、誰1人当たらない。…何で簡単なことに気づかないんだろう。しょうがない、僕が教えてあげるよ。
「風が吹いていますよね。これで多少ずれてしまうのでは?」
おっと。どうやら理解者がいるようだ。この声は茶吉さんだね。
「流石は茶吉さん。ではその対処法はわかりますか?」
「それは…。」
「わかった!こうすればいいんだ!」
六兵衛さんが何かひらめいたらしい。
「右にずれるんだったらその分左に歩けばいい!」
え?そういう感じ?確かに六兵衛さんが撃った弾は右に曲がっていき的を撃ち抜いた。
「当たった!これであってますか?」
「ま、まあそれも正解です。そっちの方が簡単かな。」
「では孫四郎様がやろうとしていたことはなんですか?」
「それは銃口を少しだけ左に向けて…。」
撃つ!そうすると最初は左の方へ飛んでいくけど段々風の影響を受けて最初に撃った場所からちょうど真正面に行く。的の穴がさらに大きく開いたけど見ずらいね。先に板を変えるべきだったね。
「なるほど。…ってそんなことできますかい!」
「確かに。六兵衛さんの考えの方が正しいですね。僕は思いつきませんでした。すごいです。」
「良かったな、六兵衛。褒められて。」
「あ、ありがとうございます。」
人は褒められると気が良くなる。この時代でも適用するんだね。
「さて皆さんは出来ますか?六兵衛さんがやったやり方でも難しいには変わりありませんからね。」
「でもこれが出来ないと最強とは言えないのでしょう?」
コクリと頷いた。後々伊達の騎馬鉄砲隊など恐ろしい鉄砲隊が出てくるからこれぐらいのことはできるようになってもらわないと困るのだ。
「ならばさっさと終わらせよう。今日中に必ず合格しよう。」
と黄二郎さんが言ったその時だった。急に銃声が聞こえた。え?
「何だ茶吉さんか。って習得早っ。」
茶吉さんは真正面に立っていた。つまり僕のやり方で撃ったんだね。的の穴をさらに大きく広げていた。
「誰かの真似は得意なんです。」
本当にすごい。前世にいたピンクの丸いゲームキャラクターぐらいすごい。
おっと、さらに銃声が聞こえるぞ?
「山武さん⁉」
「茶吉ができることは俺にも出来ますよ。」
本当だ。若干だが穴が広がっているのかな?
「俺も出来るはずだ!」「某にも出来ると思います!」
「待ってください!あの的では本当に当たっているかわかりませんので的を変えましょう。」
危ない危ない。これじゃあ本当に当たったかわからなくなるところだったからね。急いで的を変えないと。
149人合格。後1人は…。
「最後が松右衛門さんか。ではお願いします。」
松右衛門さんも綺麗に撃てるようになったね。昨日とは比べ物にならないぐらい腕が上がっている。最後まで向こうにいた山武さんが白旗を上げている。
「合格です!作業班の皆さんもお願いしていたもの出来ましたか?」
「はい!これを明日使うんですよね?」
「そうです。でもこれでは作動しないのでもうちょっと付け加えてから使えるようになります。」
「まさかこれからやるので?」
心配そうな顔で聞いてくれた。
「…はい。でも皆さんは今日はそのままお帰り下さい。きっと家族が心配していますよ。それに明日は体力がなければ結構つらい練習になりますから。」
「何か申し訳ないですね。」
「うちの息子と変わらないのに。」
しょうがないでしょ。信長様に命じられちゃったんだもん。姉川までには最強な鉄砲隊にしないといけないし。なんてことは口が裂けても言わない。
「ではお疲れ様でした。明日も同じ時間に集まってくださいね。」
ふう。ここからが本番だったりする。
「孫四郎さん!ご飯だよ!」
そうか。食事の時間だった。本当は今、行きたくない。でも行かないと…。
「わかりました。今から向かいます。」
「といっても今は手を離せないんでしょ?だからお弁当を持ってきたよ。」
「水筒も空だろ?お茶も持ってきたぞ。」
こんなに優しい友達がいるなんて僕は幸せ者だな。
「2人ともありがとうございます。」
「で、何をやればいい?」
え?何だって?
「賦秀さんいいの?今度戦じゃ―」
「俺の事よりも自分のことを心配した方がいい。最近のお前の作業はとんでもない重労働だ。」
そう?…確かにそうかもしれない。今まで気づかなかったけどこれ前職よりも辛いぞ。じゃあ指示を出しますか。
「ではそこにある筒を歯車にかけてください。その後の指示は後から出します。」
「全部言って。孫四郎さんの負担を少しでも減らしたいんだ。」
大丈夫かな。でも鉄砲隊の皆がやってくれたおかげでだいぶ楽にはなっているけど。
「ではかけた後に手回し器を一番右の歯車の穴に取り付けてください。それで回して上手く回れば的を縦にして均等な間隔に筒につけます。それで回れば完成です。」
「それは使い切り?それとも何度も使う?」
「何度も使います。なのでくれぐれも適当に付けないでくださいね。」
「…的は違うでしょ。なんとなくやろうとしていることが分かったよ。賦秀、やるよ。」
「はい。」
本当にわかっているのかな?あ、この目はきっとわかっている。僕も手伝いに向かわないと。とりあえず早めに食べ終わらないといけないかな。そうじゃないと2人に申し訳ない。
「あ、早食いは駄目だよ!」
バレテーラ。しょうがない。普通に食べますか。
一刻後
お、ようやくうまく回るようになった。
「これで大丈夫ですね。完成です!」
「絶対1人じゃできなかっただろ。」
そうですね。本当に2人には感謝しかないよ。
「流石に明日はなし―」
「はい。明日はないですよ。しばらくはこれを使った練習を主にやっていく予定です。」
この装置は恐ろしいぞ。きっと茶吉さんや山武さんでもクリア不可のはず。今のままなら僕も無理だもん。それと明日以降はもう1つの作業も同時進行しないとね。
翌朝
準備運動や軽いアップが終わったところで昨日作った装置の説明をする。
「これはクルクル回る的です。離れたところにある手回し器を誰か1人が回して別の誰かが全ての的に当てる装置です。60数えるまでに出来なかったら失敗で的を直してから列の最後に並んでもらう感じです。でもそれだと1周するのに一刻と四半刻かかってしまうのでその間に各自ができる練習をしてくださいね。」
そう言えば時間の数え方について誰からも習っていなかったね。今度久太郎さんに聞こう。
「的は何個あるんですか?」
「12個です。つまり5を数える間に1個壊さないと間に合いませんね。」
「そんなのできるんですか?」
「やってみなければわかりませんよ。それで最初に山武さんと才蔵さんにやってもらいたいんですがいいですか?」
「お、俺?」
「私は別に構いませんが…。」
「茶吉さん、回すのお願いします。」
「了解です。」
山武さんは8個、才蔵さんは5個壊して終わった。
「やっぱり無理か…。」
「山武でさえ8なんて…。」
「では皆さん後は自主練とします。成功したら庭の奥にいる私のもとに報告してください。山武さんと才蔵さんは作業を手伝ってもらいます。」
「作業ですか?また何か作るのですか?」
「それは内緒です。」
「あの、何で俺を呼んだんですか?山武さんは才能があるのでわかりますがとても俺には…。」
「才蔵さんの出身地ってどこでしたっけ?」
「国友ですが…。」
国友は日本史の教科書にも載っている重要な鉄砲の生産地だ。
「もしかして鉄砲の作り方を知っているんじゃないですか?」
「い、いえ。知りません。」
嘘だ。瞬きをしていないし言動もおかしい。そして、
「自己紹介の時にあなたの名字は鍛冶と言っていましたよね。これは鍛冶師じゃないとなかなかつけなかったはず。国友で鍛冶師をやっていて知らないはずがないでしょう?」
「…本当に9つですか?はい。私は元鍛冶師でした。ですが税の取り立てが厳しくなったので尾張の織田様の下で常備兵として雇ってもらった次第にございます。」
「その後やけに鉄砲に詳しいなと感じられた信長様に鉄砲隊への配属を命じられた。という風に伺っております。」
「完敗です。ごまかしきれなかったか…。」
いやいや。上官をだますとかいくら子供とはいえ舐めてるよね。
「ということで改めて2人にお願いしたいのは―」
この仕組みを言うと2人は目を見開いて驚いていた。
酉の刻半
「孫四郎様!当たりませんよ!」
「あれは絶対に無理です。」
とうとう文句を言ってきたね。…実は最初から誰もクリアしないと思ってたんだ。とは皆の顔からして言えない。
「それは何ですか?」
「これですか?これは…完成したら改めて皆さんに見せますからお待ちください。」
「せめて何かぐらい言ってくださいよ~。」
ここで教えたら感動が半減しちゃうからね。絶対にまだ駄目だ。
翌日 正午頃
分解して中に歯車を入れてもう一回組み立てるだけなのにめちゃくちゃ時間がかかった。後はここをねじで止めれば…。
「出来た。後は撃てるかですね。」
「これで連発できるとは思えないのですが…。」
「皆のところに行きましょう。そろそろ不満が爆発しますよ。」
そうだね。そろそろ戻りますか。
お、皆、頑張っているね。
「茶吉、お前また8個も当たったのか。」
「8個で満足しちゃだめですよ。早く9個、10個と当てていけるようにならなければ。…あっ。孫四郎様だ。」
「皆さんお疲れ様です。さて誰か9個以上壊すことができた人はいましたか?」
「いません。火薬を入れている間に時間が経ってしまうからです。」
「もう20回はやりましたよ!でも全然上がらなくて…。」
そこまで皆が真面目にやるとは思わなかった。ではここでご褒美と言う訳ではないけど秘密兵器を見せようか。
「ほう。なるほど。では私がやって見せましょう。」
皆、孫四郎様でも無理だと言っているけど、この鉄砲は見た目が同じなだけで中の構造が違うんだよ。先の手回し器のあたりを見ると山武さんがすでにスタンバイしていた。
「山武さん!回してください!」
的が回り始めた。よし。基本的な準備は終わった。
「才蔵さん、数え始めてください!」
「1,2―」
ダダダダダダダダン!
あっ。撃つ感覚が早すぎる。歯車の調整を間違えたね。
「一気に6つも…。」
「こんな銃見たことがない。」
すごい。もう半分終わった。もう一回火薬を詰めて撃てばいけるな。
ダダダダダダダダン!
ふうっ。これで完成だね。
「どうです?やってみたい人!」
皆わっと集まってきた。
「あ、やりたいのであればそこにある鉄砲を僕が持っているのと同じ中身に変えてからですよ。」
「ま、まさかその鉄砲を改造したので?」
「そうです。やり方は中の引き金の近くにこの歯車をつける。以上です。」
歯車の仕組みは結構複雑すぎて自分でも忘れた。火薬入れを8個に増やしてゴムを使ったところまでは覚えているんだけどね。
「外し方がわからないのであれば私に聞いてください。山武さんと才蔵さんはもう練習に行ってもらっていいですよ。」
「やった!早速行ってきます!」
あれ?誰も聞かないなって思ったら皆外し方わかるんだね。そして改造も早っ。僕らは何度も試行錯誤したのにこの人たちは僕の説明だけで理解している。あ、でも歯車を組み合わせる時間がないから早いのか。一番難しい工程が歯車を組み合わせるところだったからね。もしかしてここにいる人たちは皆、鉄砲について詳しい?この鉄砲だったら使い方がわかれば誰でも百発百中で撃てると思うよ。きっと。
その後、実際に1分以内に終わるかをチェックしたら大体1人当たり30秒ぐらいでクリアしていった。
「全員一発で合格しましたね。しかし孫四郎様。こうなるんだったら皆でやればよかったのではないですか?」
「初めに作っちゃったら敵の苦しみがわからないでしょ?」
「…あっ。そういうことか。浅井や朝倉は改造前の鉄砲だから連続して弾を打てない。その辛さを知らないとあちらの気持ちがわからなくなるということですかな?」
大分違う。まあいいや。説明するのめんどくさくなっちゃった。適当に頷いておこう。
「これで弓が真上から降ってこない限り負ける相手はいませんね。」
「まだですよ。戦う日が雨だったらどうするんですか?」
「あっ。」
「中の線を全て木綿で覆えばだいぶマシになりますよ。」
「才蔵さんの言う通りですね。でも木綿は今ないんですよ。多分もうすぐ…」
「孫四郎さん!木綿だよ!」
久太郎さんナイスタイミング!
「ほ、堀様…!」
「あ、紹介してなかったですね。私の上司の堀秀政さんです。今朝買ってきてもらうようにお願いしておいたんですよ。」
「普段は奉行職に追われていて滅多に来れないですが今日みたいにたまたま午前中に何もやることがなかった場合は孫四郎さんに何かしら言われてここに来ると思います。よろしくお願いします。」
「久太郎さんありがとうございます。さて才蔵さん、僕は説明下手なので代わりに指示をお願いします。いや、歯車とは違ってこれは説明いらないか。」
「一応お願いします。失敗したくないので。」
「わかりました。孫四郎様より上手く説明できるかはわかりませんが頑張ります。」
早いね。10分あれば余裕で終わっちゃったよ。これでこの鉄砲もだいぶ強くなった。
「後は自主練ですね。殺しあったりしなければ好きに練習をしてもらって構いません。」
そういうと皆すっと練習場へ向かって行った。本当にやる気があるんだね。これは信長様も驚くぞ。今度こっそり覗いて見てもらおうか。
戌の刻
疲れた。もうこれでしばらくはモノづくりをしなくて済むという安心感が来た瞬間にどっと疲れがたまってしまった。
「今日はお終いです。お疲れ様でした!」
「あの、孫四郎様。何でここまで我らによくしてくださるのですか?」
え?
「前にも聞きましたがあの理由だけではないと思うのですが…。」
困ったぞ。こちらからは最低限の差し入れとかのつもりなんだけどな。
「仲間に優しくするのは当然です。…疲れていてもう何も言葉が出てこないや。」
「そんな孫四郎様に今日は渡したいものがあります。これをどうぞ。」
えっ!いきなり何だろう?…白くて丸い。これって。
「これはお饅頭ですね。僕がもらっていいんですか?」
「いつものお礼です。…あれ?お饅頭好きなんですか?」
顔に出てたかもしれない。素直に答えよう。
「はい!僕にとってお饅頭は甘くて柔らかくて食べているだけで幸せになれるお菓子ですよ。」
前世からお饅頭は好きだった。お饅頭は幸せの象徴だと思う。
「ありがとうございます。あなた達と出会えて本当に良かったです。これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそ。…差し入れはお饅頭っと。」
ねえ松右衛門さん?それ、メモする必要ある?まあいいけど。お饅頭はたくさんあるから後で久太郎さんと一緒に食べよっと。
8連射式鉄砲の完成です。作り方の詳細はまた第3章が終わったあたりで出そうかなって考えてます。
今日はまだまだ投稿します。評価・ブックマーク・いいねをお願いします。




