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16 観音寺

織田vs六角スタートです。

~信長視点~

さて誰に城攻めを任せようか。和田山城を守るやつは聞いたことがない。とすると近江のこともよく知っている稲葉が妥当か。観音寺城は脆いだろうが士気が高そうだ。だとすると同じく士気が高い権六と三左(森可成)が妥当だな。残りは俺と一緒に箕作城を落とすか。…そろそろ集め時だな。久太郎に呼んでもらうか。

「皆を集めよ。」

「わかりました。」


皆集まったな。じゃあ今回の戦法を発表するか。

「此度の戦は3つの城を同時に落とす。」

「ど、同時⁉」

皆驚いているな。だが異論は出ない。流石は俺の家臣。理解力がだいぶ付いてきたようだな。権六なんかは桶狭間の時に反対しかしなかったのに。なんて考えている場合じゃないな。まずは役割分担の発表だな。

「まずは稲葉。其方は和田山城を落とせ。」

「畏まりました。殿の期待に応えて見せましょう。」

稲葉は加入したばっかりだがここも異論は出ない。よし。

「次に権六と三左。お前たちは観音寺を落とすのだ。」

「お任せくだされ。」「了解しました。」

「五郎左と一益と秀吉は俺と一緒に箕作城を落とす。残りの皆は偏らないように好きな部隊につけ。」

珍しいだろう。他家では絶対にやらないことだ。俺は最後まで役を振り切らない。めんどくさいというのと自分と相性が合う上司を見つけてほしいという願いも兼ねてある。俺が全ての関係事情を知っているわけじゃないしな。

「はっ。」

「出陣は明日の早朝!皆準備を急げ!」

「おう!」

これでよし。俺は秀吉や五郎左たちと作戦を練りに行くか。


~利家視点~

俺は親父様についていくことにした。親父様は俺の命の恩人だ。まだまだ学び足りないし腕でも敵わない。もっともっと学んでいつかは親父様よりも広大な領土を手に入れたい。

「又左。今回はあまり学べぬと思うぞ。」

げっ。親父様。何でまだ親父様についていくと声では言ってないのに分かった?…ん?学べない?どういうことだ?

「と言いますと。」

「此度もまた猿が活躍するということよ。」

藤吉が?確かにあの場で直々に名前をかけてもらっていたな。最近のあいつの活躍は目に余るものだ。正直負けていて悔しい。

「わしは獅子奮迅ということしか考えていない。だがあの猿は知恵を使い被害を最低限で済ませられる。どちらの方が勉強になるかは明らかであろう?」

でも親父様。俺は藤吉には普段から仲良く接していますからあいつの考えは大体わかりますよ。

「そんなわけありません!」

この声は…厄介なやつ来たよ。

「私は親父様の方が勉強になると思います。場数は猿よりも親父様の方が踏んでいます。それに親父様は我らのことを家族のように扱ってくれます。猿は所詮成り上がり者。そんな奴に学ぶところなど何もありません!」

うるさいわ。藤吉の悪口ばかり言うでないわ。佐々成政め。

「な、犬?」

犬…!まだ俺のことを犬呼ばわりするのか。…落ち着け俺。ここでカッとなったらまた謹慎せざるを得なくなる。

「その呼び方やめろ。成政。それに俺の友を馬鹿にするな。」

「は?あんな猿と友達なの?」

こいつに付き合っていたら俺のやる気が下がる。親父様、何とか言ってやってください。

「成政!わぬしが猿に勝てるわけないだろうが!そんな口叩くのは猿より手柄を立ててからにせよ!」

あれ?親父様、もしかして藤吉の事買っている?確かに7年前の飲み会の時も藤吉のことを猿と言いつつも激励の言葉を送っていたな。もしかして柴田派と木下派が仲悪いのって成政のせい?

「そ、そんな馬鹿な。あの猿めに…。」

「行くぞ!」

「ちょ、ちょっと!」

親父様の号令で柴田陣に戻ることになった。成政、お前は藤吉を嫌うところ以外はいい男なんだけどな。


~秀吉視点~

おいらがこんな場にいていいのか?信長様。おいらは丹羽様、滝川様と並ぶほど何をしたと言うんだ?

「まず私が東の口を3000で攻め落とします。それと同時に藤吉郎にも2300で北の口を落としてもらいます。」

いきなり話が始まっていた。丹羽様、俺を一緒にしていいんですか?

「え、おいらが?」

うっかりおいらと言ってしまった。

「墨俣城攻め、西美濃三人衆の調略、それから竹中半兵衛の調略、どれも難しい指令だったのに全て成功している。そんなやつに任せない方がおかしいだろう?」

「秀吉、もう身分がどうとか関係ない。実力がある者が上の地位を取る。それが今の世の中だ。」

なるほど。そこまで言われたら自信を持てる。

「わかりました。ではすぐに準備をしてきます。」

「それで一益様と―」


軍議が終わったらすぐに小一郎たちを呼び寄せた。準備をしますって言ったんだけどな、俺だけでは考えられないこともあるんだ。

「と言う訳でおいらたちは北の口をまず落とす。」

「重要な任務じゃないか。よっぽど信頼されてなけりゃ任されないぞ。」

「秀吉殿の人柄がこのような任務に繋がるのでしょう。」

小六殿、半兵衛殿。照れるからやめてくれ。ええと何を言おうと思ったんだか忘れそうになったじゃないか。

「でだ。相手の大将は吉田重政っていうらしいんだが半兵衛殿、何か知っている情報はあるか?」

「弓の名手ですよ。かつては将軍様にもその腕を披露していたそうで。」

弓か。半兵衛殿が名手と言うんだ。本当にうまいんだな。

「なるほど。とすると厄介だな。」

「兄上、何が厄介で?」

小一郎、それ今からおいらが言おうと思っていているから間に入らないでくれ。

「この周りには大木が多くまた急な坂もある。つまり上っている最中に射抜かれたり木に隠れて弓で攻撃してきたりするかもしれないだろ?」

「殿!大変です!」

前野長康が走ってやってきた。

「長康!どうした?」

「丹羽様が突然攻撃を始めました!」

「な、何⁉…俺たちも行こう。」

即判断した。丹羽様のことだ。きっと何か動きがあったんだろう。

「ですが秀吉殿。先ほどあなたが言った通りで万が一兵が隠れていたりしたら…。」

「それで丹羽様を見捨てる気か?おいらには出来ない!仲間を失うのはあってはいけないことだ。」

「それに丹羽様が独断で動くとは到底思えませぬ。きっと動かなくてはならない何かを見つけたのでしょう?」

小一郎…俺と同じことを考えられるようになったな。

「…しょうがないですね。私も行きます。」

「俺も出よう。藤吉郎のことは俺に任せておけ。軍師殿。」

2人とも…ありがとう。

「皆すまない。でも俺は皆を死なせないと約束する!だからついてきてほしい!いいか?」

「おう!」

いちかばちかだ。でも必ず皆を死なせないことだけは忘れちゃいけない。。


いざ城に向かってみた。何も罠なんてないか…?

「織田軍が来たぞ!落としてやれ!」

え、あ、ああ!

「木が落ちてくるぞ!皆避けろ!」

小六殿の大声で皆、道の両端に避けた。まじか。大木はそういう使い方もあるのか。

「小六殿!何か落ちてくるものがあったらどんどん言ってくれ!」

「おうよ!あ、次は小石だ。当たっても死にはしないだろうが怪我をすると厄介だぞ!」

言うのが遅いよ。兜にどんどん当たる。痛い痛い痛い。兜だから怪我はしないけどそれでも痛い物に変わりはない。

「岩だ!逃げろ!」

何で岩が5つぐらい同時に落ちてくるの?信じられないんだが⁉


戦闘が始まって三刻半、全然決着がつかない。恐らく敵の攻撃も止んでいる今が後退できる好機だな。

「兄上。一旦引きましょう。後ろの見張りは私にお任せあれ。」

流石だ小一郎。小一郎は戦の最中は頭が回る。

「頼んだぞ小一郎。皆下がれ!」

ここで休息を取りつつ作戦を練り直そう。


幸いなことに敵も疲れているのか追ってはこなかった。水分を補給しながら小一郎に話しかける。

「さて小一郎。ようやく俺の真の作戦に気付けただろう?」

「はい。兄上が何も攻撃せずに撤退するわけないですから。ですが、本当に大丈夫でしょうか?あの―」

「大丈夫です。それと秀吉殿。念のためかがり火は置きっぱなしで行きましょう。もったいないですけれど。」

半兵衛殿の解答の早さには毎回驚かせられる。

「わかってるよ。これでこの戦いが終わるのであれば。」

さあ決着をつけよう。おいらたちの犠牲が出ないうちに。


捨て身の攻撃の準備はできた。

「準備は出来たか?じゃあ火を点けろ!木下隊、突撃!」

「おおっ!」

「お、おい!また攻めてきたぞ!」

「し、資材はもうない!逃げる支度をしろ!」

まさか敵も今夜襲してくるとは思わなかっただろう。三刻半も戦ったのにまだ来るとはな。

「に、にげ…ギャッ!」

「逃がした敵は放っておけ!城の制圧を第一優先とする。」

「ははっ。」

おいらの作戦が上手くいった。

「丹羽隊、突撃!」

丹羽様も助けに来てくれた。これで勝ちは確定。後は確実に城を落とすのみ。

「なあ。半兵衛殿。これで褒美はどれぐらい出るかな?」

うっかり途中なのに聞いてしまったわ。それぐらい余裕がある戦になった。

「それは城を落としてからにしましょう。」

「だな。」


「伝令!城内を制圧しました!」

夜襲開始から僅か四半刻。箕作城は落城した。

「よし!勝鬨を上げるぞ!エイエイオー!」

「エイエイオー。」

信長様、終わらせましたよ。


~信長視点~

「伝令!丹羽・木下両隊が箕作城を落とした模様。」

もう報告が来たか。

「早かったな。」

「さらに和田山城兵も報を聞き逃げたとのこと。」

「権六に伝えよ。すぐに援軍に参る故しばし待てと。」

秀吉、やっぱりお前は使えるやつだ。絶対に冷遇はしないからな。

「と、殿!観音寺城が落ちました!」

何だと。3城同時落城。本当に達成してしまった。

「誠か?」

「はい。六角義治らは甲賀に逃げたとのこと。どうします?」

「他の支城を落とすしかあるまい。まずは―」

「伝令!南近江の17の城が降伏!残る城は日野城のみとなりました。」

考える手間が無くなったな。

「よし。では日野城に向かおう。全軍、日野へ向かうように知らせよ!」

日野城もこの軍勢を見れば降伏するだろう。六角を滅ぼせる。京までは後ちょっとだ。

佐々成政が出てきました。この扱いじゃ佐久間と変わらないのでは?と思う人もいるかもしれませんがそんなことはありません。秀吉のことを嫌っているだけで成政自体は決して愚将ではありませんから。

今作では内蔵助とは呼ばせずに一環として佐々もしくは成政と呼ばせていただきます。(内蔵助と打つ度の変換する回数がめんどくさいという個人的な理由のためです)


次回、日野城を攻めるのかどうかは明日のお楽しみです。お待ちくださいませ。

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