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129 明智家滅亡

光秀の死後~清州会議直前までの孫四郎の行動をまとめました。

字数は少なめです。なので今日は2話投稿します。

大津


「坂本城はもう少しですが…あれは、明智―」

「光秀の娘婿の秀満だね。…戦うしかないよね?」

「そうですが…何やら様子がおかしいです。」


相手に戦う様子は見えない。


「…吉継、僕についてきてくれるかい?」

「久しぶりですね。若様と2人で行動するなんて。」

「…早く行くよ。もしかしたら戦わずに済むかもしれない。」



「貴様、前田―」

「明智左馬助殿と話がしたい。会わせてくれるかな?」


そう言うと、奥から見覚えのある人が近づいてきた。


「…左馬助は私だ。」


日野で会った人と顔が一致した。…話が通じるかな?


「…すでにご存じかもしれませんが、昨日、十兵衛様は―」

「やはりか。だからお前たちは近江に来たのか。」

「…秀吉様から坂本城を落とすように言われましたので。」

「…戦う気はあるか?」

「正直のところ、ありませぬ。左馬助殿次第では無血開城とかも考えていましたが…。」

「それは出来ぬ。明智十兵衛の甥としてそれは出来ぬ。」

「でしたら―」

「だが、少し時間をくれないか。城内には後世に残すべき物がたくさんある。それを其方らに渡してから私は城と共に自害する。」


…それが一番いいのかな。横を見ると吉継も頷くべきだという目で僕のことを見ているし。


「…わかりました。では、後ほど、坂本城に向かいます。なので、今は攻撃をしないことを約束しましょう。」

「かたじけない。礼を言う。」


無駄な戦は減らしたい。これが、皆のため、そして秀吉様のためになるのだろう。



坂本城


~明智秀満視点~


…覚えていないのだろうな。孫四郎は義父上が守ってくれたあの日のことを。


『誰ぞある!孫四郎が重秀に撃たれた!』

『孫四郎殿が⁉…私に任せてください。絶対に死なせませぬ。左馬助!すぐに水を持ってくるのだ!』

『は、はい!すぐに持ってきます!』

『こんなところで死んではならぬぞ、孫四郎殿。上様のためにも、其方の夢のためにもここで死んではならぬ。』


あの時、止血をすぐにしなかったらきっと孫四郎は死んでいた。…そのことを仮に覚えていても恨みの方が強いから―


「秀満様、あれを!」

「…あれは。」


孫四郎?何で城門まで…十兵衛様の刀か。


「左馬助殿!聞こえますか!」

「…その刀、まさか!」

「十兵衛様が愛用していた刀です!」


どうして、どうしてそれを…。


「…本当は貰っちゃいけないことはわかっています。だけど、どうしてもあの日の思い出は忘れられなくて…。」


…聞きましたか、義父上。孫四郎は貴方との思い出は決して忘れていないようですよ。


「…その刀はお前が貰え、孫四郎!私はこの城と共に自害する!城門にこの城の宝をすべて集めておいた。だから―」

「…いえ、この刀は貴方と共に十兵衛様のところに―」


私は首を横に振る。


「義父上だったらきっとそんなことは願っていない。頼む。」

「…わかりました。宝と共に大事に、大事に保存しておきます。」


そう言って、孫四郎は城門へ駆けていった。


「さあ、行きましょうか、皆様。」



~孫四郎視点~


秀満殿、きっと悪い人じゃ無かったよね。…それを言ったら十兵衛様もか。


「おおっ、これはすごい量の宝ですな。…孫四郎様?」

「直政殿、悪とは一体何なのですか?」


何も考えず口にしてしまった。


「悪ですか。…何故?」

「十兵衛様も、左馬助殿も悪い人間には到底思えませんでした。十兵衛様は私の命を救ってくれた恩人だし、左馬助殿も本当は戦なんて望んでいないように感じました。だけど―」

「なるほど。…悪とは何か。ここまで35年生きてきて一度も考えたことがなかったからいきなり言われても上手くは言えませんが、人の裏の部分だと思います。」

「人の裏の部分?」

「孫四郎様も秀政様もそうですが普段は優しい御方が戦になると人が変わったように次々兵を殺していく。それと同じと言えばわかりますか?」


…十兵衛様も本当は優しい人だった。だけど上様の考えが理解できなくなって謀反を起こしてしまった。これも裏の部分なのかな?直政殿の考えも合っているかもしれないけど僕はそうとは思えないな。


「…おっと、城が燃え始めています。早く、回収して戻りましょう。」

「…そうですね。」


また、難しい問題が出てきてしまったみたいだ。この人生、いつ終わるかわからない。だけど、まだまだ気になることがたくさんある。一つでも多く、納得できる答えに導ければいいな。



その後、中川清秀殿、高山右近により、丹波亀山城も落城。光秀の嫡男も自害した。秀吉様も十六日までに近江を統一し、十七日には行方不明だった斎藤利三を堅田で発見し六条河原で処刑された。僕が日野で討った武田元明の正室だった京極竜子は高次殿が臣従の証として秀吉様に人質として送られた。これにて明智光秀の乱は幕を閉じたのであった。

次回から清州会議に入ります。


20時に投稿します。


恐らく年内は清州会議でストップします。


最初の1話目はそんなに重い話ではないですが2話目以降は…。

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