諸 第12話「続姫」
「なにするん……キャァァアァ!」
『幻影魔法』の術者は裾を引っ張った方をみて再び、絶叫した。
「離して!離してぇぇ!」
そして、力尽くで俺のイル・グラッチモルヒューの手を振りほどこうとしたが、攻撃力のステータスの差で振りほどけなかった。
そう言えば、俺は喋れないから『幻影魔法』を辞めるように説得することが出来ないな。
そう俺が困っていると、丁度いいタイミングでシュカがきた。
「あっ!やっと見つけたよ、全く何でこんなことになっているの?」
[ああ、ちょと良いアイテムがないかと探していたらこうなったんだが、俺は喋れないから、なんとか説得してくれ。]
「この声!アダイブ様じゃないですか!!!」
『幻影魔法』の術者が歓喜の声をあげて、シュカに寄っていった。
アダイブって、誰の事だ?それ以外ないと思うが、シュカの事か?
「久しぶりですね!もう何年ぶりになるでしょうか!あの時は助けていだだきありがとうございました!あとイメチェンしましたね!」
先程まではあまり喋らなかった続姫が急に饒舌になった。
どうやら、シュカはアダイブと言う存在だったらしい。
「君、誰?」
「忘れてしまったんですか?それじゃあ、思い出せるように私の名前を言います、名は続姫です!これで思い出せますか?」
シュカは困った顔をし、言う。
「うん、そもそも僕は少し前まで、とってもスナックなワールドにずっと居たから、知らないんだけど?」
「一応、名前を伺っても?」
「カロン・アダイブロードのシュカだけど。」
「やはり!アダイブ様じゃないですか!それなら、ちょっと待っててください、お礼の品を差し上げますので。」
にしてもだが、当然ちゃ当然なんだか、俺の時と反応が違うな。
続姫は広い部屋の奥の方にお礼の品を取りに行った。
数十分後。
続姫が【玉手箱】と謎の真珠を持って、戻ってきた。
「お礼の品の1つ目は我が家の伝統のお礼の贈り物【玉手箱】と、2つ目のは使えばスキル『海魔法』を獲得できる真珠です。」
「だから、僕の名前はアダイブ単体じゃなくて、カロン・アダイブロードなんだかけど。」
「でも、貴方から懐かしいものを感じましたが?」
[シュカが『ロードモード』を使った時、何だか、口調もなんだか武士と王様がまざったみたいな?物に変わって、別人のようになっていたが、もしかして、本当にシュカがそのアダイブかもしれない。]
「え、そうなの?意識が無いからわからないけど、聞いてみる。」
そう、シュカが小声でいった。
「一様、聞きたいんだけど、アダイブ様っていうのは、どういう喋り方だったの?」
「アダイブ様は武士でしたので、それに準ずる喋り方をしていました。」
[ほぼ間違いない、シュカはそのアダイブ様だ。]
「ヤマトからの見解を聞いて、僕が持っているスキル『ロードモード』を使っている時が、そのアダイブ様にそっくりらしいんだけど。」
「兎にも角にも、私はあなたをアダイブ様だと思っているので、このお礼を受け取ってください。」
「うん、受け取るよ。」
シュカは2つのお礼の品を受け取って、アイテムポーチに入れた。
「よし、これで多少、恩が返せましたし、この城の案内をしましょう、まずですね……。」
「ああ、それはいいよ、ヤマトを見つける為に城中を探し回って覚えたし。」
「あの、アダイブ様が言う、ヤマトとは誰ですか?」
「そこにいる、怖い栗鼠型のモンスターだよ。」
そう言いながら、シュカは俺の方に視線を向けた。
「そのヤマトとはどういう関係なんですか?」
俺は呼び捨てなのか。
「ヤマトとは僕がカロン・ロードだった時に助けて貰った、命の恩人かな。」
そう言えば、あの時はお菓子作りが好きな魔女を倒して、【センシャライト】を錬金する素材を集めるために、そこら辺に大量に湧いてたコーラーを倒してたな。
「それは素敵な出会い方ですね!」
「うん、そうなんだ、というか、続姫はこの後どうするの?」
急に続姫がかしこまった顔になり答えた。
「乙姫と大量のギョギョサンに占拠された我が家を取り戻そうと思います。」
「大丈夫だよ、僕とヤマトが倒したから。」
「それはそれは、誠にありがとうございます、それならもう少し、お礼を足さないといけませんね。」
そう言い、またお礼の品を探しに奥の方にいった。
[シュカが、アダイブだという事がわかったが、これからどうする?]
「僕はヤマトについて行きつつ、両親を探すよ。」
[そうか、俺も一応言っておくが、俺はプレイヤーだった時の仲間を探す為に、神秘ナンタラマップのバルピアを目指している。]
「ヤマトも人を探しているだね、僕の両親が見つかるまでは取り敢えず一緒にでいようか。」
[そうだな。]
そう話していると、続姫が真珠で出来ているブレスレットを持ってきた。
「名前は偉大な母なる海です、どうぞ!」
「ありがとう。」
俺は偉大な母なる海のステータスを確認した。
偉大な母なる海
レア度:アルファ 体力:最大体力の10%+ 魔力:最大魔力の10%+
偉大な母なる大地と対になる装備、偉大な母なる海が生んだブレスレット、一分置きにパーティ全体に体力を10%回復させる。
お、かなり良いものだなシュカは異様に装備欄の装飾品装備欄がものすごく空いているし、丁度いいな。
「それでは、私はこの城を復興させないといけないので、そこら辺に地上へと出る通路があるのでそれを通って帰ってさい!」
「うん、ありがとう、またね。」
「こちらこそ、助けていただきありがとうございました。」
そう言い続姫は部屋から出ていった。
「色々あったけど、帰ろうか、ヤマト。」
[ああ。]
………………………………………………………………………………………………
「ヤマト!料理が出来たよ。」
「ああ、今行く。」
あの竜宮城ぽい城での出来事が終わった一日後、シュカは言った通りに俺に料理を作ってくれた。
今俺は君はまだ真の海を知らないマップの宿にいて、目の前にはシュカが作った、白身魚の漬け丼がある。
「さぁ、食べて。」
「いただきます。」
俺は手を合わせ、そこら辺の木の棒を加工した箸を持って白身魚の漬け丼を口の中にかきこんだ。
口の中に広がるのは白身魚の味をギリギリに感じられるように調整された砂糖醤油の味。
肝心の白身魚の味は、淡白ながらもきちんと油が乗っており、その油が程よく溶ける。
油の味は甘辛く、ツーンとくる感じで、その2つの味の相性はとても良く、俺の食欲を掻き立てた。
気づけば、丼の中は米粒一つ残さず綺麗さっぱりなくなっていた。
[ご馳走様でした。]
俺は手を合わせて言った。
「どうだった?」
シュカが少し顔色に不安の色を表しつつ訪ねてきた。
[美味しかった。]
「それは良かった。」
俺の言葉により、シュカの顔色に不安の色がなくなった。
「そう言えばだけど、ヤマトが前に言ってた魚の料理、食べてみたいなー、なんて。」
シュカが丼を洗いながらこちらをチラチラ見てくる。
[よし、こんな、美味しい物を食べさせてもらったから、お礼と言ったら何だが、今度鯱鏡のインゴの葉っぱで包んで蒸し焼いたやつをご馳走しよう。]
そう言うと、シュカが上機嫌になったのか、鼻歌を歌いだした。
そう言えば、シュカって男か女かわからないよな、見た目は女プレーヤーだが、それはあくまで見た目であって、本当の性別じゃない。
ちょっと、聞いて見るか。
[急で悪いが、シュカの性別ってどっちなんだ?]
俺が好奇心に負け、シュカの性別を聞いた時、場が一瞬凍った様な錯覚を覚えた。
「それは………秘密。」
だが、それは有耶無耶にする回答で場が元に戻った。
今回の事でシュカがアダイブと言う存在だということが分かった、が、まだまだシュカの謎が多いな。
性別の件、何故アダイブからカロン・ロードになったのか、最後にシュカの親、まあ、パーティとして付き合っていればそのうち知れるだろう。
そうして考えているとシュカが片付けを終え、こちらに話しかけてきた。
「ヤマトって、前世で結婚とかしてたの?」
[独身だったが、それがどうかしたのか?]
「ヤマトが意地悪な質問をした、仕返しと興味本位。」
[それはすまなかった。]
「別にいいよ、もう仕返しは終わっているし、これでチャラだよ。」
シュカはとても無邪気で可愛らしい笑みを浮かべた。
「そういえば、ヤマトが探している仲間の事聞いていなかったね、どんな仲間だったの?」
[一言で言えばみんな凄いと言う事だが、個別に話すと、弓使いのユイナ、刀使いのダンペイ、双鎌使いのエイス、念動拳使いのガンだな。]
「後半から個性的だね。」
俺達はその後、他愛の無い話で盛り上がった。
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種族:イル・グラッチモルヒュー
レベル:80
称号:【悪逆無道】
体力:232
攻撃力:210+35
知力:−20
魔力総量:0
防御力:72+15
速度:72
[専]怨力:326
[専]念力:558
スキル
『突進』『呪術10』『風幻情』『魔術2』『魔眼』
我流スキル
『水無月』『陸月』『怒雷装』『天翔蒼天』『武刃乱舞』『雷風幻情』
種族:カロン・アダイブロード
レベル:80
プレイヤーネーム:シュカ
ジョブ:星剣使い
称号:【番狂わせ】
体力:193+最大体力の10%
攻撃力:240+25
知力:240 +25
魔力総量:500+最大魔力の10%
防御力:127+5
速度:127
スキル
『可能性』『菓子魔法4』『星魔法7』『テイム』『星剣使い6』『ロードモード』『海魔法1』
次の更新は7月の23日です。




