第4話 これからも幼馴染と幸せに生きていこうと思います
休み明けの月曜日。俺はこはると一緒に教室に入ると、生徒達はみんな同じ話題で話していた。
それは――暁龍児と西園寺愛羅が浮気をしたという事。
何故それがみんな知っているのかって? 俺が空手仲間に、あいつらが喧嘩している所を撮ってくれって事前に頼んでいたからだ。
それをみんなに拡散した結果、たった二日で広まってしまったという事だ。
西園寺は俺達が来ると、睨みつけてから鞄を持ってどこかに去っていった。
暁は周りに必死に弁明しているけど、まあ無駄だろうな。
思った以上に上手くいった。
あいつらが俺にしてきた仕打ちを考えると、もっと酷い目にあって欲しいけど、俺はただの高校生。大それた事など出来ない。
それに暁が逆恨みしてくる可能性もあるし、俺もより一層強くなってこはるを守らないといけない。
そして月日は流れ――季節は冬。
暁は居場所が無くなり、転校していった。西園寺は周りに浮気者のビッチと陰口を叩かれるようになり、いつの間にか不登校になっていた。
どうやら俺と同じ様に西園寺に弄ばれた男子や、暁に虐められていた人間が率先して悪評を広めたようだ。
まさに自業自得。あいつらにはお似合いの最後だ。
そして俺とこはるは、あれからもとても仲良く過ごしている。
今日も寄り道をして、楽しく遊んでから帰路についていた。
「う~……寒い~……」
「寒いなー」
「寄り道も良いけど、今度はまっすぐ帰って暖かいお家でのんびりしよう?」
「それもいいな」
小柄なこはるは更に体を小さくしていた。
確かに寒いけど、こはるとくっついてる腕の部分はポカポカしている。とても心地よい暖かさだ。
「あ……ここって……」
こはると楽しく話していると、俺達はあの踏切の所にやって来ていた。
ここで俺は死のうとして、こはるに助けられて。あの日から全てが変わったんだよな。
「今思うと、あの時にれんくんとここで再会したのって、運命だったのかもね」
「そうだな……」
運命、か。
あの時、こはるに助けられたから今の俺がある。
そして、こはるの為に変わろうとして、こはるの優しさに報いたくて……その一心だった。
そして、気付いたらこはるを好きになっていた――
こはるは俺にとっての運命の人だ。
伝えたい、俺の好きって気持ちを……!
「……こはる!」
「な、なに?」
「俺、こはるの事が好きだ! 俺と付き合ってくれないか!」
俺は自然とこはるへの想いを口にしてしまっていた。
……俺、なんでこんなムードもへったくれもない告白をしてしまったんだ? か、完全に舞い上がってた!!
「す、好き……? 本当に……?」
こはるは顔を真っ赤にしながら俯いてしまっていた。
緊張で心臓が爆発しそうだ。なんでこんな急に告白なんてしてしまったんだ。
後悔よりも、それ以上にこはるへの想いを抑えられない。ああ可愛い。抱きしめたい……!
「嬉しい……! よろしくお願いしますっ!」
「こはる……!!」
「きゃっ!」
目を潤ませながら大きく頷くこはるに、俺は我慢できなくなって強く抱きしめてしまった。
こはるも俺に応えるように、背中に両手を回してくれた。
「こはる……好きだ……!」
「私も大好き……小さい頃から、ずっと大好きだったんだよ……」
そうだったのか……随分と待たせてしまった。
「ごめんな、こんなに待たせちゃって……」
「いいの……こうして好きって言ってくれて……私、ここでれんくんにまた会えてよかった!」
「こはる……!」
「れんくん……!」
俺達は抱きしめ合いながら、互いの顔を見合わせると、どちらからともなく目をゆっくりと閉じる。
「れんくん……ちゅっ……」
そして、ゆっくりと互いの唇を重ねた。
俺を助けてくれてありがとう。
俺を支えてくれてありがとう。
俺を好きになってくれてありがとう。
こはる――一緒にもっと、もっと幸せになろうな。
こちらのお話はこれで完結となります。
一万文字に満たない短編でしたが、ここまでお付き合いいただいた方全てに感謝を述べさせていただきます。本当にありがとうございました!
二人が幸せになって良かったって方は下側にある【★★★★★】を押して星五個入れてください!あいつらざまぁって思った方も星五個入れてください!
え、どっちでもない?そんなあなたは星五個とブクマを入れてください!!
ではまた別の作品でお会いできる事を祈ってます。