血筋
あれは小学三年生のとき。
図画工作で、お友達の絵を描きましょう、というテーマをもらったあの時。
仲良しのマキちゃんと私は、向かい合って絵を描き始めた。
お互い、じっくり、観察をして。
目の前のお友達を、描いてゆく。
絵を描くことに夢中になっていた私。
絵が得意だったので、そっくりに、描けた。
マキちゃんは、形を描くことは苦手だったけれど、観察力と、丁寧な描写が得意だった。
うん、私に、よく似てる。
ふと、私の似顔絵の髪の毛を見てみると。
白い筋が、一本。
「高ちゃん、白髪があるよ。」
私の若白髪が発見された、記念すべき日となった。
1本見つかったら1本抜いて。
5本見つかったら5本抜いて。
だんだん白髪が増えてゆく。
抜いても抜いても、増えてゆく。
増える白髪に、茶色い地毛。
明らかに、日本人離れをした、毛並み。
明らかに、人と違う、毛並み。
自分の血筋を、疑った。
黒い髪に、巻き毛の母親。
白い髪に、直毛の父親。
私は色の抜けた茶色に、白髪が混じる、直毛。
白髪は父親からの遺伝だろうか。
父親も、若いころから白髪が多かった。
好奇心から、自分の血筋を、父親に尋ねる。
「俺のひいじいさんは、怪しいんだ。」
…なんだか、不安になる言葉が出てきて、怯む。
「小さいころに一度会ったきりだけど、真っ白で、目玉が薄い色で、よく分からん言葉を話していて、恐ろしかった。」
真っ白?
よく分からん言葉?
そういえば、父親の瞳は、グレーだ。
もしかして、外国の血が、混じっていたり、するのかも?
調べたら、分かるかもしれない。
そう思いつつ、早○○年。
結局真実は、分からないまま。
私の髪は、ずいぶん白髪が増えて、ごく普通のおばあちゃんになった。
あんなにも、目立っていた、色が抜けた薄い茶色の髪。
白髪のほうが多くなって、茶色が濃く、見えるようになった。
今では、普通の年配者に紛れるように、なった。
ごくごく普通の、おばあちゃんになれた私。
血筋の確認は、もう、必要ない。