表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/62

偽娘このみの台北観光

ホテルは館内も広く柱もカーペットも赤に統一されている。


『さすがですわね。』


ちょっとの事では驚かない麗も息を飲んだ。


『レストランは7時に予約してあるからそれまで部屋で休んでいなさい。』


源一郎と康子、麗とこのみはそれぞれの部屋に入る。


部屋もクラシックな中華風でバルコニーからは夕暮れの台北が一望出来る。


『良い眺めです。』


5月の風が気持ち良い。


『あれが台北101ですわね。』


遠くに青銅色の一際高いビルが見え、それが台北101と分かる。


その名の通り101階建ての高層ビルで、509メートルの高さを誇る。


ちなみに日本の建築物では東京スカイツリーの634メートルだが、ビルで一番高いのはあべのハルカスの300メートルで台北101はそれより200メートル以上高い(2022年、東京・港区に325メートルの高層ビルが完成予定)。


『このみさん、そろそろ行きますわよ。』


『はい、お姉さま。』


このみは明日からの観光が楽しみになってきた。



翌朝は本格的に観光に行く。


『最初は故宮博物院に行きます。』


故宮博物院はもともと中国大陸にあった美術品や文献の一部を、第2次大戦後の内戦で台湾に運びこみ、後に展示をしたものである。


『ここでの一番の展示品は翠玉白菜だ。』


翠玉白菜の展示コーナーには行列が出来ていた。


『翠玉というのはエメラルドの事で緑と白の色をそのまま生かして彫刻したと言われている。』


源一郎が康子、麗、このみに説明をする。


やっと順番となったが、20センチ足らずの白菜の彫刻があるだけでこのみには価値が今一つ分からない。


『肉形石も見ないとな。』


肉形石にも行列が出来ていたが、さらに小さい豚の角煮の彫刻でこのみは頭を捻った。


『これを見るだけのために並ぶって……?』


中学生にはまだ理解出来ない様だ。


故宮博物院を出て、忠烈祠を見学する。


忠烈祠は革命や戦争で故国のために戦った兵士を奉る祠があり、元は日本統治時代に護国神社があった場所だ。


『人形?』


門には二人の兵士が向かい合って台に立っているが全く動かず、時々顔から滴り落ちる汗を後ろの兵士がタオルで拭いている。


『これから衛兵交代式があります。』


交代の兵士がゆっくりとロボットの様に歩いてくる。


交代する兵士は今まで動かなかった兵士と向かいになり、持っていた銃剣を持ち換えたりして交代が完了すると動きを止め、今まで立っていた兵士がゆっくりロボットの動きで去っていった。


『これは選ばれた兵士のみしか出来ない仕事なんだ。』


衛兵は陸海空の兵士が交代で行なうが、身長体重にも規定があり、誰でもなれる訳ではない。


(やりたいとは思わないな……。)


点心の有名な店に入り昼ごはんを済ませた。


『このみ退屈ではない?』


ヤーリンが尋ねる。


『そんな事はないです。楽しいですよ。』


初めて訪れた場所で新鮮な気持ちはあるが、正直なところ退屈な感じはしていた。


『二人一緒に出掛けませんか?』


突然のヤーリンの誘いに困り源一郎たちの顔を伺うと源一郎たちは頷いている。


(最初からそのつもり?)


このみはヤーリンと一緒に別行動をとる事になった。


『どこに行くの?』


ヤーリンとこのみは駅のところで車を降りてここからは電車で移動するみたいだ。


『渋谷……秋葉原……原宿みたいなところ。』


電車は高架線を走り、途中で地下に潜る。


『人多いから迷子ならないでね。』


途中で一度乗り換えるが、両方とも乗客は多い。


西門という駅で降りると、アニメかゲームの大きな広告があり秋葉原みたいだったが、地上に出ると渋谷に似た街並みである。


『うわっ。』


これはうっかりすると迷子になりそうだ。


『あそこ、見て。』


ヤーリンは建物の上の看板を指差した。


『女…ぼく喫茶?』


看板には女僕喫茶と書いてある。


『僕違う、しもべ。メイド喫茶よ。』


女僕というから偽娘の別の言い方かと思ったがメイドの事だったのだ。


『このみ、メイドだったでしょ?行こう。』


ヤーリンは誰に聞いたかこのみの事をよく知っている様だ。


エレベーターを上がり、店の前に行くと可愛いメイドの絵や写真がある。


『先輩、ここで働いているの。』


道理で中学生なのに詳しいとこのみは思った。


少し緊張しながら店に入るとメイドの出迎えを受ける。


『お帰りなさいませ、お嬢さま。』


『日本語?』


最近はお嬢さまと言われ慣れてきたが、異国の地で突然言われると違和感がある。


席に案内され、メニューを見ると日本語が併記されている。


『お帰りなさいませ、お嬢さま。ご注文は決まりましたか?』


メイドの一人が注文を伺いに来た。


名札には美恵と書いてある。


『私の名前は美恵と書いてメイフェンと読みます。3月まで日本に留学していました。』


『ワッフルとこのふわふわ魔法というの、お願いします。』


ふわふわ魔法は気にいったメイドが作る特製ドリンクである。


このみはメイフェンの事が気になりふわふわ魔法を注文してみた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ