表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/62

世界の今井選手

麗は上西に車イスバスケットボールに使う車イスを2台ウェルキャブから持ってくる様に指示を出した。


車イスバスケットボール仕様の車イスは左右の車輪が八の字に拡がっていて、素早い動きに対応出来る様になっている。


当然1台の価格は非常に高価であるが、麗は練習用と試合用で計3台のバスケット用車イスを所持していた。


『これからバスケットボール部の公開紅白戦を行なう予定でしたが、ちょうど三中OBで車イスバスケットボールで今ブレイクしている今井選手が来られていますので、デモンストレーションをして戴く事になりました。』


水谷先生が体育館に集まった観客の前で案内した。


『車イスバスケットボールのルールは基本的には普通のバスケットと同じです。ゴールの高さも同じですから下半身が使えないシュートはかなり大変です。車イスを漕ぐ事をプッシュと言いますが、ボールを持って一度にプッシュ出来るのは2回までで3回プッシュしてしまうとトラベリングになります。では今井選手にやって戴きましょう。』


麗には4年前の事故直前まではこの場所で汗を流していた懐かしい体育館のコートである。


上西からパスを受け、ドリブルとプッシュを繰り返し敵陣のゴール前からくるりと回転して最初の位置に戻り、急停止した。


『早い~!』


『質問!ダブルドリブルしても良いんですか?』


観客からの質問に麗が答えた。


『普通のルールですと一度ドリブルを止め、再びドリブルをするとダブルドリブルとして反則ですが、車イスバスケットボールではそれはありませんわ。』


『次はシュートしてもらいましょう。』


麗は同じ位置から再びドリブルとプッシュをしてゴール下に止まり、鮮やかなシュートを決めると拍手が起こった。


『おお~!』


『それでは我がチームのセンターの萬田キャプテンに実際に車イスに乗ってシュートしてもらいます。』


萬田はもう1台の車イスに座り麗と同じ場所でボールを受け、ドリブルをするが車イスが邪魔で上手く出来ない。


ボールを膝に乗せて車イスをプッシュするが、麗と比べると遅くあまり進まないのが誰の目から見ても分かった。


ゴール下から萬田はシュートを放つが届かずにネットを揺らしただけだ。


『萬田はチームでも一番得点する選手ですが、普通に立った位置と比べるとお腹くらいの高さからジャンプもしないでゴールを決めるのはとても難しい事なのです。車イスバスケットボールは一人一人障害の程度でポイントが付き、1チーム15点以内なら健常者も一緒にプレイ出来ます。この機会にどうぞみなさんも興味を持って下さい。』


『良ければワタクシたちが帰る時間までこの車イスをお貸ししますわ。紅白戦の邪魔にならない様に自由に体験なさいませ。』


麗は頼子の助けを借り通常の車イスに乗り換え、体育館を後にした。


『上西さん、頼子さん。お二人はデートのお時間ですわ。別行動でゆっくりお楽しみ下さいませ。』


『畏まりました。お気を付けて下さい。』


どうやら最初から二人はこのみや知香が案内する前提で二人だけ別行動をして構わないと言われていた様であった。


このみが麗の車イスを押し、体育館を出た。


『いずみさん、バスケットボールの経験はありますの?』


麗はバスケットをやりたいと言ういずみに質問をした。


『体育の授業とたまに遊びでやるくらいです。中学から始めたのでは難しいですか?』


『そんな事はありませんわ。でも全くの初心者ですと練習に付いていくだけで大変でしょうからうちに来てワタクシのお手伝いをしながら練習をしませんか?』


『お姉さまのお手伝いっていずみさんにもメイドをやってもらうつもりなのでしょうか?』


今井家では既にこのみの後継者として遥がメイドとして働いているが、さらに増やすというのか?


『早とちりしないで下さいませ。ワタクシの練習のお手伝いですわ。いずみさんは中学でバスケ部に入られたらその様な時間はありませんでしょう?』


いずみのメイド姿を頭の中で想像したこのみのフライングだった。


『姉の様にメイド服も着てみたいです。』


『それは別の楽しみとしてお作り致しましょう。いずみさんのお姉さまとお揃いも宜しいですわね。』


いずみの姉ののぞみも上西たちの結婚式の際にメイド服を作ったのだ。


『ありがとうございます。』


いずみは中学に入学するまでの半年間、今井家で麗の練習相手をしながらバスケットボールの基礎を学ぶ事になった。


校内の見学をするには階段脇の車イス用の昇降機を使わなければならない。


麗が在学していた時は知香が職員室で昇降機の鍵を借り、麗を手助けしていた。


『借りてきましたよ。』


知香は既に鍵を持っている。


『相変わらず早いですわね。』


麗は知香の段取りの良さに感嘆した。


昇降機がゆっくり上がっていく。


『お姉さまは毎日こうしていたのですね。』


このみは昇降機が実際に使われているところを見た事がなかった。


『クラス展示も後ほど紹介しますが、文化部の展示も案内します。こちらへどうぞ。』


美術室ではまんが研究部の展示をしている。


『あら?知香さんやこのみさんがいっぱいですわ。』


まんが研究部の展示ではたくさんのこのみや知香、それに萌絵の似顔イラストが描かれてあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ