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第42話 友達からの仲間への昇華

 俺は宝箱の鍵を壊すと後ろへ跳ぶ。

 「旧都ガリオンの宝物庫」のダンジョンボスである〈ガリオン王の亡霊〉がまず最初にデバフをかけることを知っていたからだ。


 すると閉じられていた宝箱が少し開き、紫色の霧が噴き出す。

 あのまま宝箱の前に立っていたら俺は毒状態になっていた。


 「出てきたぞ!」


 紫色の霧が消えると宝箱が完全に開き、中から青白い腕が伸びてボスが出てくる。



 【Dungeon Boss Monster】ガリオン王の亡霊 Lv.100 アクティブ



 〈ガリオン王の亡霊〉は元は赤色であっただろう薄汚れたローブを身にしており、頭には王冠が乗っている。

 右手には先端にダイヤのような結晶が付いたロッドを手にしている。おとぎの〈闇の石英〉が付いた杖と似ている。

 身体の大きさは普通の人間ほどでパサパサになっている白鬚をたくわえている。 


 レベルは100か。

 俺が思っていた通りHPが減少するだけで済むだろう。


 「あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”」


 ギルド王は呻く。

 このボスはアンデッド系のモンスターなのだ。


 「背中は頼んだぞ!皆!」


 俺はパーティーメンバーを信じてタゲを取る。

 タゲを取ったことでギルド王はぐるぐると回っていた目を俺に向けて杖をぐるりと捻る。

 それを抜くと、鋼が顔を見せた。

 仕込み刀だ。


 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」


 ギルド王が叫ぶと走り出して刀が白く光る。

 片手剣専用スキル《ホーリーセイバー》だ。

 アンデッド系モンスターなのに「ホーリー」というアンバランスさに俺は笑いを漏らしてしまう。

 いや、だがこんなことは多々あるのだ。

 頬のほころびを戻してギルド王の動作に集中する。


 「らぁ!」


 装備で加算された俺の筋力値でも、ギルド王の《ホーリーセイバー》の力強さは相当なものだった。

 だが、それは当然なのだ。

 「旧都ガリオンの宝物庫」に入ったプレイヤーのレベルによって〈ガリオン王の亡霊〉の強さが変化するからだ。


 だけど、俺はその方が嬉しい。

 

 「雑魚の相手なんてつまんねえからな」


 今度は俺の番だギルド王。


 そう思いながら、俺は攻撃を開始する。

 空中で一回転して衝撃波を与える《パワーウェーブ》を発動。

 俺が今習得している中で最も攻撃力が高いスキルだ。


 その攻撃はギルド王に直撃―――――しなかった。

 

 「あ”あ”ぁ”?」


 何がなにやら状態のギルド王。

 ギルド王は物理耐性が高いため物理攻撃は通りにくい。

 だが、俺は今回火力をできる限り上げている。

 本当ならばもっとダメージを与えられたのだ。

 なぜあまり効いていないのかというとギルド王は《物理バリア》というスキルを発動したからだ。

 《物理バリア》は物理攻撃を無効化するというぶっ壊れスキル。

 そのバリアによって直前で衝撃波が消え去ったのだ。


 「・・・今のが物理バリアかい!?」


 ギルド王とは初戦闘であるウルドが叫ぶ。


 「そうだ!だけど、言っていたようにあと2回しか使えない!」


 ギルド王は《物理バリア》を使うのはおおよそ強スキルを発動した時。

 《パワーウェーブ》をもう2回発動したいが、クールタイムが長い。

 しかし、それはギルド王も同じ。

 すぐに《物理バリア》を張るのは無理なのだ。


 「おおおお!」


 俺はスキルで連続してギルド王を斬る。

 ここでようやくダメージを与える。

 HPは全く減っていない。

 だが、俺の狙いはギルド王をノックバックさせること。

 ギルド王は後ろへとのけぞる。

 

 俺は一応ダメージディーラーの役割をしているが、今回の主役は俺ではない。

 唯一の魔法職であるおとぎだ。

 

 「ふふふ・・・。我が黒魔道の力を示す時だ。闇の火よ。漆黒の中で灯れ。そして燃え盛るのだ。ダークフレイム!」


 待ちに待ったという感じで闇属性魔法の《ダークフレイム》が放たれる。


 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」


 ギルド王の魔法耐性はゼロ。

 効果は絶大。

 ギルド王のHPゲージが6割減少。

 闇の石英によって攻撃力が2倍になっているのだ。


 その黒い炎を受けてギルド王は仕込み刀をしまう。

 使う武器を変更するのだ。

 それはおとぎと同じ杖なのだが、杖スキルではない。

 〈キングロッドスキル〉というギルド王だけが使える、ボスユニークスキルなのだ。


 「来るぞ!」


 俺がウルド達に伝えなくとも、既に行動を開始していた。

 ボス部屋に入る前に〈キングロッドスキル〉のことを教えていたからだ。


 「「「「「シールドバッシュ!」」」」」


 ギルド王は杖を振りかざすと金貨や宝石が空中に浮かび、俺たち8人に飛んでくる。

 しかし、これも伝えていたため壁戦士5人は《シールドバッシュ》で跳ね返す。

 

 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!」


 ギルド王は怒りからか吠える。

 そしてすぐに〈キングロッドスキル〉を使ってくる。

 正式なスキル名は知らないが、それは誰かが王の天国逃亡と呼んでいた。

 ギルド王は自爆するつもりなのだ。


 「くっ、予定変更!全力で当たれ!」


 自爆することも伝えていたが、もう少しHPを削ってからと思っていた。

 王の天国逃亡が発動されると宝物庫にいるプレイヤーは即死並みのダメージを受けてしまう。

 だが、溜めの時間が長いためその間にスタンさせるかHPをゼロにしたらよいのだ。


 「全然だ!」


 ウルドが攻撃しながら嘆く。

 

 「一度離れろ!」


 シールダーの火力ではギルド王の物理耐性の方が上回っているためダメージが一つも入らない。

 そのことをウルド達はわかっている。

 ウルド達が攻撃したのは《物理バリア》を誘発させるためだ。

 しかし、ギルド王は反応なし。


 だったらクールタイムが終了した《パワーウェーブ》を俺が使えばいい。

 

 「らぁっ!」


 衝撃波がギルド王の手前で消える。

 《物理バリア》が張られたのだ。


 「あくみん!」


 「アイシクルレイン!」


 王の天国逃亡を溜めているときギルド王は《クールタイム初期化》を使う。

 つまりすぐに《物理バリア》が使用可能になるのだ。

 だからあくみんは《アイシクルレイン》で氷の矢を降り注がせたのだ。


 「おとぎ!頼む!」


 「ダークフレイム!」


 今回ばかりは急を要するためおとぎはスキル名だけを言う。

 しかし―――


 「何!?」


 黒い炎が一瞬だけ発火し、消えてしまったのだ。

 俺は何が起きたのかはわからなかったが、あくみんは知っていた。


 「自爆するときは稀に魔法バリアを使います!」


 知らなかった。

 俺は次に何をしたらいいのか戸惑ったが、あくみんは正確に指示を出す。


 「次にまた金貨が飛んできます!ウルドさん達はまたシールドバッシュを!」


 「はい!」


 ウルドがあくみんに返事をする。

 ウルド達は金貨を盾で止める。

 俺は技後硬直が解かれてスキルを連発。

 ギルド王の残りHPは1割ほど。

 あと5秒ほどでギルド王は爆発する。

 おとぎは硬直しているため魔法は放てない。

 

 だが、俺は焦ってはいなかった。

 ウルド達を信じていたから。


 「「「「「カウンターシールド!」」」」」


 5人の壁戦士がギルド王の取り囲み、爆発した。

 黒煙が立ち込めて何も見えなくなる。

 そんな中でもHPは確認できる。いや、俺が今こうして生きていることでウルド達が生きていることはわかっているのだ。


 「コホッコホッ・・・!」


 黒煙からウルドがせき込みながら最初に出てきて、


 「いや~、すごかったね!」

 「・・・熱かった」

 「っべぇ~わ。っべぇ~わ」

 「疲れました」


 ミナミ、サピエンス、オーランド、クリストも出てくる。

 なぜ爆発を防げたのかと言うと《カウンターシールド》は攻撃を反射してしまうのだ。

 だが、反射する確率は低い。

 それなのに成功したのはシールダーが5人いたから。

 これを提案してきたのはウルドだ。

 

 「作戦通りだったね、レイヤ!」


 ウルドが嬉しそうに言ってくる。

 俺は《カウンターシールド》の使い方など知らなかったので、ウルドが取り囲むと反射率が上がると言ってきたのには驚いた。確実に反射するわけではなかったが、ウルドは「信じてくれ」と言った。ならば、俺は信じるしかない。

 実際に反射したわけなので信じたことは正しかったのだ。


 「ああ。でも予想外の事も起きてしまったけどな」


 俺はそう言ってあくみんに視線を向ける。

 どうして《魔法バリア》知っていたのか聞いているのだ。


 「超低確率のドロップ品が欲しくてここには時間があるときによく来ていたんですよ」


 あくみんも俺と同じことをしていたのか。

 だが、それでもどうして《魔法バリア》のことを知っているのだろうか?

 アーチャーは物理職なのに。


 しかし、俺はあくみんが今見ている人物でわかってしまった。

 姉妹のように仲が良かったころにおとぎとここに来ていたのだろう。

 おとぎはあくみんに背中を向けている。

 

 俺は二人については何も言わず、言葉をつなぐ。


 「さすがあくみんだな、だけど今日のMVPは俺以外全員だな」


 俺はダメージディーラーとしてはおとぎに劣っていたし、あくみんは予想外の事態に対応。

 ウルド達は重要な仕事をこなした。

 俺はほぼ何もしていない。


 「何言ってるんだよレイヤ。君が僕たちを信じてくれたから成功したんだよ」


 「はは、そう言ってもらえると嬉しいよ」


 俺がそう言い終えるとウルドが手を伸ばしてくる。


 「ねえ、レイヤ。君が良ければこれからも友達でいてくれるかい?もっとレイヤたちのことが知りたいし、力になりたいんだ」


 俺は迷うことは無かった。

 すぐにウルドの手を固く握ったのだ。


 「ああ、これからもよろしくな」


 いや、だけど違うぞ。友達なんかじゃない。

 ウルド、ミナミ、サピエンス、オーランド、クリスト。

 君たちは友達じゃなくて、仲間だ。


  

 




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レイヤ 職業ソードマン Lv.88

【HP】1174/1174(+905)

【MP】598/598(+150)


【筋力値】1443(+660)

【敏捷値】686(+235)

【幸運値】412(+35)

【魔力値】317(+35)


【攻撃力】580

【防御力】490

【回避率】44

【命中率】150


【装備追加効果】物理ダメージ+30%

【装備追加セット効果】無し

【装備追加スキル】識別Lv.1


【称号】無し


【装備武器】ドラグクレイモア

【装備防具】透明な魔法のゴーグル チタンプレート チタンクリップスズブーツ チタンガントレット チタンブーツ サファイアリング アダマンタイトイヤリング デビルペンダント シルバーウォッチ 

【装備ペット】無し


【習得スキル】スラッシュLv.43 バーティカルLv.43 スクエアLv.39 ホリゾンタルLv.36 ペネトレイトLv.35 ストライクLv.31 パワーウェーブLv.26 ダブルスラッシュLv.20 メテオスイングLv.20 スピードスターLv.17 ソードバーストLv.16 ビハインドエアLv.16 ダストストリームLv.13 シノハユLv.5 鍛冶Lv.8 錬金術Lv.5 細工術Lv.1 エンチャントLv.3 研磨Lv.2 料理Lv.3


【所持アイテム】薄い布の寝袋 銅色ハンマー ハニビー印の高級はちみつ 青色の小さなポーション×8 レッドドラゴンソード 回帰の結晶 


【所持金】10MIL



  

 


 

 

 

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