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第32話 交渉

 仲間だと?

 俺を襲った黒衣の男がラスコッドの部下ではないのなら、俺の仲間に危害を加えることはないはずだ。

 そもそもむやみに恨みを買うような男ではない。

 今度は胸倉を掴むようなまねはしない。


 「仲間とはどういうことですか」


 「チミのお仲間の一人が既に私に協力しているのだよ」


 トルーアの警護の依頼を引き受けたこともあり、ラスコッドは「果てなき幻影」のメンバーの全員の顔を知っている。ということはあくみんとおとぎ以外のギルドメンバーの事だ。


 「それは誰の事で一体どこにいるんですか?」


 一刻も早く探したい衝動を抑えて情報を聞き出す。


 「名前は覚えていないのだがね、盾職の男だよ」


 ギルドメンバーに盾職は二人いるが、男か。

 最も防御力が高かった奴なので絶対に生きているとは思っていたが、ギルドメンバーを探さずに協力しているという事は何か事情でもあるのだろうか?


 「どこにいるのかと言うと、彼には私の部下と共にイグニスへ向かった。今ごろ浮遊城から降りてくるのではないかな?チミ達とは入れ違いということだねえ」


 ラスコッドはニタァと笑う。

 この男は俺がイグニスに行ったことを知っていた。

 ネネ花畑にいたプレイヤーはこいつの部下で、おそらくその中に俺の仲間がいたのだろう。

 

 「わざと俺の仲間と出会わないようにしたんですよね?俺がここに来るように」


 「悪く思わないでくれよ。チミの力が必要なのだよ。それに盾職の彼は自分の意志で行動しているのだからねえ」


 ラスコッドにうまく丸め込まれた可能性があるが、生きているだけで十分だ。


 「まあチミのお仲間がどこにいるのかはレイヤ君が協力してくれるのならば、その対価で教えよう」


 それではまるで人質を取って脅迫しているようなものじゃないか!とは言えない。

 俺はこの男の依頼を受けるとともに頼み事をしに来てもいる。

 機嫌を損なわせてはいけないのだ。


 「もちろん働きに見合った報酬も支払おう。だが、それ以上は何もない」


 ラスコッドはニヤニヤと俺の思考を読み取ったかのように嘲弄する。

 この男は俺の仲間一人の居場所とお金しか報酬として与えないと言ったのだ。

 それはつまり俺の頼みが一部叶わなくなったことを意味する。


 「・・・他の仲間が全員どこにいるか調べてはもらえませんか?」


 「それはもちろん、と言いたいのだがねえ、チミも知っているだろう?私が誰なのか」


 駄目だ。

 既にこの男が優位性を取ってしまった。

 いや最初からこの男が優位だったのだ。


 「知っていますよ。商会ギルドのボスですからね。・・・あなたの依頼で受け取れるお金全額で探すことはできませんか?」


 ラスコッドは自分に利益にならないことに対しては無関心だ。

 情などこの男には無い。

 だから俺は報酬で受け取るお金全てで仲間を探してくれると思ったのだが、甘かった。


 「くふふふ。それでは足りないねえ。何せ今はEWSNカンファレンスの総数は3万人ではなく、その半分ほどしかいない。こちらも人手不足なのだよ」


 つくづくイラつく奴だ。

 だが、ここでキレてラスコッドの依頼を断ってはいけない。

 この男の力が無ければ俺の仲間を見つけるには時間がかかるだろうし、俺にトルーアの警護を依頼してきた理由は他にもあるはずだ。


 俺のレベルは30。いくら俺がランキング一位だったとしてもレベル差に抗うことはできない。

 それならば俺よりレベルが高いと思われる奴に依頼すべきなのだ。

 それなのに俺に依頼してきたのは、俺が断れないとわかっているから。


 仲間の事もあるが、俺が危惧していた秩序の件だ。

 このままだとトルーアでPKが蔓延し続け、多くのプレイヤーがこの世界から脱出することを諦めることになるだろう。

 俺一人の力ではこの世界から脱出することはできないためそんなことになってはいけない。


 「これでは駄目ですか?」


 俺はプレイヤーウィンドウからドロップしていたレアアイテムを具現化。

 できれば俺の仲間に使ってほしかったが出し惜しみはしない。


 「ほほう、女王蜂のクイーンズスピアか。くふふふ。さすがレイヤ君だよ!もう既にそんなレアアイテムを手に入れているとは!フハハハハハ!!」


 ステータスが重要となった今の〈Fantasy Tale〉だ。

 序盤で手に入るレアアイテムにつく値段は、通常時の比ではない。


 「これでいいですか?」


 「もちろんだよ!むしろお釣りがくるほどだからこのアイテムだけで手を打とう!」

 

 この男が自らの利益を捨てるとは。

 だが、俺の頼みを受けてくれてよかった。

 運が良かったな。


 「契約成立だ、レイヤ君。詳細は明日話そう。他のお仲間も連れてくるのだよ」


 「わかりました。約束は忘れないでくださいよ」


 「もちろんだよ」


 ラスコッドは信用を失わないためにも約束は破らないはずなので、仲間の足取りはすぐに掴むだろう。ただ、依頼を達成しなければ教えてはくれない。

 少しばかり大変かもな。


 


 

 俺は酒場を後にして宿屋へ向かった。

 ラスコッドが言った通りPKが蔓延していたせいか外でプレイヤーにはほとんど出くわさなかった。

 だが、血濡れのデザインのマントを被ったプレイヤーを一人見かけた。

 「エリュシオン」のメンバーだと思われる。


 おそらくもっとどこかに潜んでいるはずだが、《潜伏》というスキルを使っているのだろう。

 大抵はモンスターに対して使うものだが、PKならばそうではない。

 

 「エリュシオン」のプレイヤーの一人を確認できたのは《潜伏》のスキルレベルが低かったからだろう。

 《潜伏》を使ったプレイヤーは見えにくくなるのだが、俺は何年もプレイしているので低レベルならば簡単に見破ってしまえる。プレイヤースキルだな。


 便利な《潜伏》であるが、万能と言うわけではなく《看破》というスキルがあればいともたやすく見破れる。取っておくべきかもしれないな。


 

 宿屋に到着。

 あくみんが自腹で3部屋も借りたらしく、今日はベッドで眠れることに。

 俺が寝袋で寝ていたことを気にしていたのだろうか?

 優しいあくみんだ。


 さすがに昨日と今日で疲れたらしく、俺はベッドに入るとすぐに眠ってしまった。







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レイヤ 職業ソードマン Lv.30

【HP】166/166(+20)

【MP】118/118(+10)


【筋力値】152(+25)

【敏捷値】247(+145)

【幸運値】88(+10)

【魔力値】54(+10)


【攻撃力】77

【防御力】88

【回避率】10

【命中率】15


【装備追加効果】無し

【装備追加セット効果】無し

【装備追加スキル】無し


【称号】無し


【装備武器】バスターツーハンドソード

【装備防具】初心者のシャツ 初心者のズボン スズガントレット スズブーツ 獣のリング+2 ライトイヤリング+2 ライトペンダント+2 シルバーウォッチ 

【装備ペット】無し


【習得スキル】スラッシュLv.23 バーティカルLv.24 スクエアLv.20 ホリゾンタルLv.17 ペネトレイトLv.16 ストライクLv.12 パワーウェーブLv.7 鍛冶Lv.8 錬金術Lv.5 細工術Lv.1 エンチャントLv.1 研磨Lv.2 料理Lv.3


【所持アイテム】薄い布の寝袋 銅色ハンマー ハニビー印の高級はちみつ 青色の小さなポーション×15 赤色の小さなポーション×3 鉄の仮面 回帰の結晶 


【所持金】37792MIL 


 

 

 

 

 


 

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