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第31話 商会ギルド

 「なっ!?」


 驚かずにはいられなかった。

 一日目に多くのプレイヤーが宿屋に泊まり所持金が少なくなったので、お金を得るためにマップに出たプレイヤーが死ぬとは思っていたが、殺されたのだ。モンスターではなくプレイヤーに。


 「プレイヤーを殺したらお金やアイテムがドロップするわけではないですよね?」


 「変更点は幾つかあるようだが、プレイヤーを殺しても何も落とすわけではないねえ」


 今の〈Fantasy Tale〉は以前と似てはいるもののチャットなどは制限されており、何か変わったと思って聞いたがドロップしないのか。


 「ではなぜですか?」


 「くふふふ。いやあ、私もさっぱりでねえ。もしレイヤ君が力を貸してくれるのならば思い出すかもしれないねえ」


 ラスコッドは含み笑いを響かせる。

 これは条件を提示しているのだ。

 今の発言でなぜ力を貸してほしいのか大体読めたが、元々この男に協力するつもりだったので首を縦に振る。


 「いいですよ。だから教えてください」


 だが、この腹黒メガネは真顔になり―――


 「いや、知らない」


 は?


 「そんな顔をされても知らないものは知らないよ。レイヤ君」


 俺はキョトンとした顔でもしていたのだろうか?

 

 「知らないことを思い出したのだよ。フハハハハハ!!」


 やられた。

 この男は一度言ったことを取り消すことをひどく嫌う。

 俺が力を貸さないと言えば、俺の頼みを聞いてくれないだろう。

 とてもイラつくメガネだ。


 「そうですか。その話は置いといてなぜ力を貸してほしいんですか?」


 殴って眼鏡を割ってやりたいほどだが、感情を押し殺さなければならない。

 この男はそこをつけこんでくるからだ。


 「何だい?もったいぶらないでくれ給えよ。ここまで言えばわかるだろう?前のようにトルーアを警護して欲しいのだよ」


 この男が言ったように俺はトルーアを警護していた。

 俺だけではなく、「果てなき幻影」のメンバー全員と、ラスコッドが創設したギルド「EWSNカンファレンス」と共同でだ。

 

 「EWSNカンファレンス」というのは〈Fantasy Tale〉の全人口数十万人のうち、およそ3万人が所属していた最大規模の商会ギルドだ。その活動範囲は多岐にわたり、ダンジョンの攻略はもちろん、鍛冶屋などのショップを展開したり、報酬を受け取ることでクエストの手伝いやPKを引き受けるなどギルドにとって利益になる商売を行っていた。


 「EWSNカンファレンス」が創設される前に元々大きな商会ギルドがあり、寡占的な商売を行っていたため商会ギルドを立ち上げるのは無謀と言われていたのだが、たったの3か月でその商会ギルドを崩壊にまで追いやってしまい、最大規模の商会ギルドにまで発展させたのはこの男―――ラスコッドなのだ。


 その手腕は驚異的なもので、トルーアのプレイヤーショップを全て買い取るなど常軌を逸した方法でつぶしたそうだ。


 邪魔をする商会ギルドがなくなったことで「EWSNカンファレンス」は3万人のギルドメンバーを抱える最大ギルドまで成長したが、俺はラスコッドと酒場の外にいる二人の大男以外の「EWSNカンファレンス」に属しているプレイヤーを知らない。

 確かに3万人のギルドメンバーがいるようだが、パーティーを組んだりしない限りどのギルドに属しているのか知る方法は無いため、誰が「EWSNカンファレンス」に所属しているのかはわからない。だが、カメラ機能によって「EWSNカンファレンス」のメンバーが結構晒されていたようだが。


 「果てなき幻影」は「EWSNカンファレンス」と共同でトルーアを警備していた理由だが、大手ギルドであるPK専門ギルド「エリュシオン」がトルーアで主に初心者などを襲って殺戮を行っていたからだ。その時は死ぬことは無いので許された行為だが、余りにもやりすぎて新規プレイヤーや中堅プレイヤーが〈Fantasy Tale〉を離れて行った。そのことで「EWSNカンファレンス」は利益が減ったらしく、ラスコッドは「果てなき幻影」にトルーアの警護をしてほしいと依頼してきた。


 「果てなき幻影」は仲間とゲームを楽しもうという普通のギルドだったので、何か依頼を受けるという事は無いのだが、さすがにこれはまずいということでその依頼を引き受けた。

 

 最初はPKは減らなかったのだが、地道にトルーアを巡回して「エリュシオン」に属するプレイヤーを倒していくといつしかPKは無くなっていた。

 その甲斐あってたくさんのプレイヤーが〈Fantasy Tale〉に戻ってきて「果てなき幻影」の役目は終わったのだが、ラスコッドはそんなプレイヤーなどどうでもよかったらしく、そのまま警護―――というよりは復讐を続けて「エリュシオン」というギルドを潰してしまった。

 本当に恐ろしい腹黒メガネだ。

 となると、この男がまた俺にトルーアを警護して欲しいと依頼したという事は―――


 「・・・エリュシオンが復活したんですか?」


 「ご名答。1000人殺されたことは知らないと言ったがね、その1000人のうちほとんどが私の部下なのだよ」


 全てがリセットされた今、「エリュシオン」が再結成して「EWSNカンファレンス」を潰そうというのは自然なことに見えるかもしれないが、前とは状況が違いすぎる。

 PKギルドとはいえ人間的な部分があると思っていたが、まさか殺すとは。

 なるほど、この男が焦りを見せたわけがわかった。

 

 「それなら力を貸します。ですが、今のレベルでは・・・」


 トルーアを警護していた時の俺のレベルは998。

 だが、今はたったの30だ。

 俺よりもレベルが高い奴はもう何百人もいるだろう。


 「確かにレイヤ君のレベルは〈Fantasy Tale〉で最高レベルではなくなった。だが、チミの腕前はワールドで3本の指に入ると思うのだよ。その実力を見込んで頼んでいるのだ。それとも怖気づいたのかね?ふふふ」


 レベルだけではなく、血を流して苦しんで死ぬ可能性があるのだ。

 そのことに対してなぜ笑った。

 まさか―――


 「イグニスに行く途中で見かけたプレイヤーですが、その人たちはあなたの部下なのでは?」


 「またもやご名答だよレイヤ君!フハハハハハ!!」


 なぜあれほどのプレイヤーが死の危険があるのにマップへ出たのか合点がいった。

 ラスコッドはまた笑う。


 「ふふふ。チミの考えていることがわかるよ。どうしてあれほどのプレイヤーが死の危険があるのにマップへ出たのか?それはレイヤ君も知っているのではないのかね?」


 やはり知っているのだこの男は。


 「遠回しではなくてハッキリ言ってください!」


 無意識に叫んでいた。

 不意に首が切断されて死んだ夢が頭をよぎったからだ。

 なんとなく首が熱い。

 だが、ラスコッドは驚きの顔は見せず真顔で俺を見つめているだけだ。

 くそ!冷静でいると決めたのに。

 深呼吸だ。


 「・・・すみません。突然大声を出してしまって」


 「いやいや、こちらも悪いことをしてしまったからねえ。そのお詫びと言っては何だが、どうして死の危険があるのに私の部下をマップへ出したのか教えてあげよう」


 ラスコッドは真顔から微笑んだような表情に変わる。


 「今の〈Fantasy Tale〉はモンスターやプレイヤーから攻撃を受けると血を流すのだがねえ、実はそうではないのだよ。どういうわけか防御力が高いと被攻撃時の赤色のライトエフェクトがかかってHPが減るだけ。まだ防御力が高いとそうなるとわかっているわけではないが、ステータスが高いとそのようになるらしい。どうしてレイヤ君がそのことを知っていることを私がわかっているかというと、部下が盗み見していたからだよ」


 「それはダークウルフにわざと噛ませた時の事ですか?」


 「その通りだよ。レイヤ君には申し訳ないと思ったが、チミの力が必要だからねえ。優秀な部下に尾行をさせていたのだよ。フハハハハハ!!」


 「サーチ」や「索敵」といったスキルはないため尾行されても気づかないのは普通ではあるが、少し悔しい。

 ・・・尾行?

 俺とあくみん、おとぎを殺そうとしてきた黒衣の男を思い出して頭に血が昇り、気づいた時にはラスコッドの胸倉に掴みかかって叫んでいた。


 「おい!ふざけるなよ!MPKもお前の指示か!?」


 ラスコッドは物怖じせず微笑みから表情が変わる。

 真顔ではなく、鋭い目つきで顔に血管が浮き上がる。


 「・・・放せ。何の事か知らないが、そんなことをしていいのか?」


 ラスコッドは殺意を感じさせるように静かに強く言った。

 その凄みは頭に血が昇っていなければ足がガタガタ揺れていただろうほどだ。

 足はすくみはしなかったが、頭の血は下がったようで冷静さを取り戻す。

 そして手を放してソファーに座る。

 そんなこととは何だろうか?


 「・・・すみません。どういうことですか」


 少しでも触れたら破れそうな血管が沈み、目つきだけ鋭いままになる。

 ラスコッドは怒っているのかよくわからない表情で嘲笑うかのように言った。


 「チミの仲間の事だよ」







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レイヤ 職業ソードマン Lv.30

【HP】166/166(+20)

【MP】118/118(+10)


【筋力値】152(+25)

【敏捷値】247(+145)

【幸運値】88(+10)

【魔力値】54(+10)


【攻撃力】77

【防御力】88

【回避率】10

【命中率】15


【装備追加効果】無し

【装備追加セット効果】無し

【装備追加スキル】無し


【称号】無し


【装備武器】バスターツーハンドソード

【装備防具】初心者のシャツ 初心者のズボン スズガントレット スズブーツ 獣のリング+2 ライトイヤリング+2 ライトペンダント+2 シルバーウォッチ 

【装備ペット】無し


【習得スキル】スラッシュLv.23 バーティカルLv.24 スクエアLv.20 ホリゾンタルLv.17 ペネトレイトLv.16 ストライクLv.12 パワーウェーブLv.7 鍛冶Lv.8 錬金術Lv.5 細工術Lv.1 エンチャントLv.1 研磨Lv.2 料理Lv.3


【所持アイテム】薄い布の寝袋 銅色ハンマー ハニビー印の高級はちみつ 女王蜂のクイーンズスピア 青色の小さなポーション×15 赤色の小さなポーション×3 鉄の仮面 回帰の結晶 


【所持金】37792MIL 


 

 

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