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第28話 回顧

 ハニビーのレベルは20から28の間。

 血を流さず、HPが減るだけの場合どれほどのステータスが必要なのだろうか?

 関係しているのはおそらく防御力。

 闇の石英で倍加されたダークウルフの攻撃力は20レベル代のモンスターと同等で、装備により上昇した俺の防御力は30レベル後半ほどはある。

 

 そう考えると行けそうな気もするが、防御力ではなくレベル差も関係しているのかもしれない。

 ・・・考えても無駄だろう。不確定要素が多すぎる。

 検証しようにも、それではまるで人体実験のようになってしまう。

 この点は、直面している危機を乗り越えてから解決しよう。

 

 50匹以上のハニビーがいようと動きは単調であるのでダメージは受けない。

 問題は俺のスキルに広範囲技が無いこと。

 後衛の二人はそのことをわかっているはずなので、俺は回避をしてハニビーを誘導して一点に集中させる。そして、時を見計らった中二病が詠唱を開始する。


 「ふふふ・・・。血の盟約に従い黒魔道を開放する・・・。その無数の目を全て開眼せよ!一寸先の闇に誘ってやる!・・・来たるは夜を纏いし業火。始まりの紅炎から背いた漆黒の黒焔よ。その真価を我の前に示せ!ダークフレイム!」


 《ダークフレイム》は半径5m以内のモンスターを焼き尽くす広範囲スキルだ。

 黒い炎が舞い上がり、半分以上のハニビーがHPを全て削られた。

 残ったもう半分のハニビーは、火傷状態になったことで持続的なダメージを受けて消えていった。

 

 危機的状況にも関わらず臭いセリフを放ったおとぎを叱りつけたいところだが、それは俺の実力を認めているからでもあるだろう。

 せめて嫌味の一つでも言ってやりたいが、まだ終わってはいない。


 燃え盛る巣から伸びる針が打ち震え、バリバリと巣を破壊してひときわ大きな蜂が出てきた。



 【Normal Monster】クイーンハニビー Lv.30 アクティブ



 クイーンハニビーだ。

 頭の触角の間には黄金のティアラが光り、しなやかで細い女性のような腕の先には〈女王蜂のクイーンズスピア〉が握られている。

 〈女王蜂のクイーンズスピア〉はドロップ率1%のレアアイテムなのだが、他に優れた武器が手に入るため初心者プレイヤーに多く出回っていた。


 クイーンハニビーは従順な僕と我が家を壊されたことに怒り狂い、おとぎにターゲットを取る。

 

 「来るぞ!」


 「バードアロー!」


 女王蜂は槍を突き出して滑空してくる。

 しかし、あくみんが《バードアロー》で近寄らせない。


 「・・・ちっ。我にとっては造作も無き事なのに」


 おとぎは舌打ちして今の行動を恨めしく思う。

 そして一歩踏み出し―――

 

 「どくのだ。・・・もう一度黒魔道の力を。歴戦の戦士を統べる女王よ、僕に対する仁愛に免じて一瞬で焼いてやる。・・・ダークフレイム!」


 珍しいこともあるものだ。

 今のセリフは誉め言葉であるだろう。

 俺以外には大抵上から目線なのに。


 燃え上がったクイーンハニビーのHPは―――――


 陽炎により阻まれて確認できない。

 それなのにおとぎは倒したとでも思ったのか、背を向けて得意顔をしている。


 「おい!後ろ!」


 その声を聞いておとぎが振り向いた時、黒の炎が振り払われ、弾丸のように女王蜂が突進していった。

 まずい。このままだとおとぎが・・・。


 おとぎのHPが減少するだけかもしれなかったが、俺は飛び出していた。

 《パワーウェーブ》を発動して。


 ―――なりふり構わず仲間を守るために飛び出してみたものの、またこれか。

 女王蜂は槍を構えて捨て身の一撃をしようとしており、このままだと俺の首に突き刺さるだろう。

 〈草刈羊男爵〉に首を刈られた夢から醒める前の首の熱さを錯覚してしまう。


 俺よりもレベルが高い女王蜂の攻撃を受けてどうなってしまうのか興味はあるが、そんな度胸は無く、死ぬこともない。

 《パワーウェーブ》を発動したのは次のスキルに繋げるためだ。

  バーティカル!


 剣が垂直に振りあがり、女王蜂の槍を弾き返す。


 「フェニックスアロー!」


 あくみんが声をあげると《ファイヤーアロー》によく似たスキルが発動される。

 炎で形作られた不死鳥が女王蜂を襲い、残りわずかなHPを削り取る。


 空中で一回転して俺はしっかりと着地する。

 さすがにこのステータスには慣れたらしい。

 それにしても、この中二病―――――


 「ぶえええええええええええええええぇぇぇ!」


 余程怖かったのか、まるで恥を知らぬ幼稚園児のように泣き叫んでいる。

 これが高校生であるというのは事実であるから本当に困る。

 だけど、こんなおとぎは中二病に罹ってしまう前までしか見なかった。


 そんな無邪気なおとぎが懐かしく俺はあくみんと見合って笑いあう。

 愛想笑いなんかじゃない。

 今日初めて見せた心からの笑顔。

 そして、数年ぶりのよくしていたやり取り。


 「立てるか?」


 手を差し伸べるも腰が抜けているのか頭を横に振る。

 仕方のない奴だ。


 「ほら、俺の背中に乗れ」


 俺は軽い身体を引き上げて歩き出す。

 

 「えぐっ・・・えぐっ・・・ありがとレイヤ・・・」


 おぶっているおとぎは頑張って感謝を述べ、そのこと対して俺はまた笑みを浮かべる。


 できることなら過去に戻りたい。

 この世界に幽閉される前ではない。

 あの色褪せない楽しかった日々を。


 「あくみん、”また”しばらく頼むぞ」


 「はい!」


 

 【Lv.30に到達しました。おめでとうございます! HP+10 MP+10 筋力値+15 敏捷値+15 幸運値+10 魔力値+8 】

 【両手剣専用スキル バーティカルLv.23のスキルレベルがLv.24に上昇しました!】

 【両手剣専用スキル パワーウェーブLv.6のスキルレベルがLv.7に上昇しました!】

 

 


 



--------------------------------------------------------------------------------

レイヤ 職業ソードマン Lv.30

【HP】166/166(+20)

【MP】118/118(+10)


【筋力値】152(+25)

【敏捷値】247(+145)

【幸運値】88(+10)

【魔力値】54(+10)


【攻撃力】77

【防御力】88

【回避率】10

【命中率】15


【装備追加効果】無し

【装備追加セット効果】無し

【装備追加スキル】無し


【称号】無し


【装備武器】バスターツーハンドソード

【装備防具】初心者のシャツ 初心者のズボン スズガントレット スズブーツ 獣のリング+2 ライトイヤリング+2 ライトペンダント+2 シルバーウォッチ

【装備ペット】無し


【習得スキル】スラッシュLv.23 バーティカルLv.24 スクエアLv.20 ホリゾンタルLv.17 ペネトレイトLv.16 ストライクLv.12 パワーウェーブLv.7 鍛冶Lv.8 錬金術Lv.5 細工術Lv.1 エンチャントLv.1 研磨Lv.2 料理Lv.3


【所持アイテム】薄い布の寝袋 銅色ハンマー ローズガールの髪×4 ハニビーの毒針×24 ハニビー印の高級はちみつ 女王蜂のクイーンズスピア 回帰の結晶 


【所持金】43017MIL 


 

 


 

 

 

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