表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/42

第2話 スキル

 俺が今いるマップは世界都市トルーアの中にある、ふれあいの中央広場だ。

 世界都市トルーアというのは〈Fantasy Tale〉で最大級の都市であり多くのプレイヤーのホームタウンであるため毎日賑わっている場所だ。

 今も賑わっているといえば賑わっている。

 しかし、その声はゲームを楽しんでいる朗らかな声ではない。

 その場にいるプレイヤーたちは悲痛の声をあげている。

 現実世界に戻れない状況に陥ってしまったからだろう。それともレベル1に逆戻りしたから?


 俺と同じようにログインしたらしいプレイヤーたちが次々と出現し始めている。

 まさか全プレイヤーがここに出現するのだろうか?

 〈Fantasy Tale〉の人口は何十万人にも達する。

 そうなるとすぐにプレイヤー達で飽和状態になってしまうのではないだろうか?

 

 まずいな。近くの初心者用狩場は湧出するモンスターの取り合いになることが危惧される。

 HPがゼロになると死亡するのは怖いが、自己強化を図りステータスを上昇させて安心したいところだ。

 危険だが少し先の狩場へ行こう。

 そうなると北の架け橋の先にあるタタトス渓谷という狩場へ行こう。



 【Normal Monster】ウルフ Lv.5 アクティブ

  


 幸運なことにこのマップにはまだ他のプレイヤーは到達していないみたいだな。

 目の前には名前の通り狼のようなモンスターが。

 そのモンスターに目を凝らすと情報が表示され、HPゲージも可視化される。

 少し先の狩場のためレベルが5だ。

 だが、この程度のレベル差などはプレイヤースキルで無視することができる。

 〈Fantasy Tale〉での戦闘方法は職業によって様々だが、俺の職業のソードマンは近接戦闘特化型。

 全初期職業の中で圧倒的な火力を誇り、専用スキルでモンスターを屠り続けるのだが、現在習得しているスキルは一つだけ。

 初期のため仕方がない。


 「うおっと」


 ウルフが俊足で駆け俺に突進してきた。

 いつものように反射的に避けるが俺の動きが遅くダメージを受けてしまった。

 敏捷値が劇的に下がってしまったからだ。

 この落差には慣れるしかない。

 かすった程度なので大したことはないが。

 因みに俺の視界には戦闘時のみHPヒットポイントゲージとMPマジックポイントゲージが表示されている。

 HPゲージがゼロになった瞬間本当に死んでしまうのだろうか?

 どうなってしまうのか気になるが、そんな意気地などはない。


 さて、モンスターを倒すにはスキルだ。

 スキルの使い方なのだが至って簡単。


 「スラッシュ!」


 このように声に出すと身体がアシストされて自動的にスキルを発動してくれる。

 もしくはこうだ。

 スラッシュ!


 声に出すか念じることによりスキルは発動される。

 もしプレイヤーウィンドウからスキル発動のコマンドがあるとしたら不便で視界の邪魔にもなる。

 だからこそスムーズな戦闘が可能だ。

 因みに《スラッシュ》というのは左右どちらかに剣を振るうスキルだ。

 

 2度の《スラッシュ》を放ったが、ウルフのHPを削り切れなかった。これがレベルとステータスの違いによるものだ。

 《スラッシュ》を発動したいのだが消費MPが10のため、俺のMPゲージはゼロになっている。

 

 スキルが使えない場合は通常攻撃だ。

 通常攻撃はスキルより威力は低いが、技後硬直が無いため武器で敵の攻撃を弾くパリィというプレイヤースキルに応用できる。プレイヤースキルというのはシステムに依存しないプレイヤー自身の技量のことである。


 また突進してくるウルフ。

 俺は剣を横に薙ぎ払う。

 ガキィィィ!!とウルフの鋭利な牙に衝突しHPゲージがゼロに。ウルフは倒れ、煙のように消えていった。

 すると愉快なファンファーレが鳴り響いた。

 

 【Lv.2に到達しました。おめでとうございます! HP+3 MP+2 筋力値+3 敏捷値+2 幸運値+1 魔力値+1 】


 経験値が入りレベルが上がったことでログが流れた。

 これもまた懐かしいな。何百回と聞いたはずの音楽だが、俺のレベルはカンスト直前だったこともあり半年以上このレベルアップ時のファンファーレを聞いていなかった。


 俺のMPゲージはゼロ。回復するためにはポーションが必要だ。

 だが、今の戦闘で判明したのは通常攻撃でも効率よくレベリングできるということだ。

 HPゲージの方も問題はない。この程度の雑魚モンスターならば全てパリィで防ぎきれるためダメージは受けないだろう。


 普段戦っていた邪神のような巨大なモンスターと違ってウルフはかわいいもので、簡単に倒せてしまった。その中のウルフが何かアイテムをドロップしたようだ。見てみよう。



  [収集アイテム]ウルフの牙 レア度☆

  ウルフの牙です。とても尖ってます。



 俺がウルフを狩っていた理由はただレベルを上げるという目的だけではない。

 この収集アイテムであるウルフの牙は装備強化に使うことができるからだ。

 効率的にレベリングするのならば装備も常に更新し続けなければならない。

 大変なことだがひとつひとつの積み重ねが大事なのだ。


 必要量を集めるまでウルフを狩り続けよう。


 【Lv.3に到達しました。おめでとうございます! HP+4 MP+2 筋力値+3 敏捷値+3 幸運値+1 魔力値+1 】


 またもやレベルが上がった。

 このマップにまだ装備強化に必要なアイテムをドロップするモンスターがいたはずだ。

 探しに行こう。



 【Normal Monster】ブラウンウルフ Lv.8 アクティブ


 

 浅めの谷を歩いていくと目的のモンスターを発見した。

 ブラウンウルフはウルフよりも力が強い。

 レベル3の筋力値でパリィをすることは難しいのだが、てこの原理を使えばさほど力を入れずとも簡単にはじき返すことができる。とはいえ、このプレイヤースキルを完璧に会得するのに2年の歳月がかかってしまったが。パリィというのは反射神経や動体視力が重要な要素となってくる。正確に剣を振るというのも難しい。


 俺はその完璧に会得したパリィでブラウンウルフの攻撃を全て抑え、通常攻撃で倒した。

 そして目的のアイテムもドロップ。

 


 [収集アイテム]ブラウンウルフの毛皮 レア度☆

  ブラウンウルフの毛皮です。モフモフしてます。



 [収集アイテム]ブラウンウルフの牙 レア度☆

  ブラウンウルフの牙です。とても尖ってます。


  

 ブラウンウルフの毛皮は装備強化に必要ないためショップで売っておこう。

 ブラウンウルフの牙は必要量に達するまで狩り続けよう。


 【Lv.4に到達しました。おめでとうございます! HP+3 MP+3 筋力値+2 敏捷値+3 幸運値+3 魔力値+1 】


 アイテムも集めてレベルも上がったことだし一度トルーアに戻って装備を強化をしよう。

 ただひたすらレベルを上げることだけではなく、装備強化をするとステータスが上昇するため実質的にレベルアップとイコールだ。

 



 



--------------------------------------------------------------------------------

レイヤ 職業ソードマン Lv.4

【HP】40/40(+20)

【MP】27/27(+10)


【筋力値】9(+0)

【敏捷値】9(+0)

【幸運値】6(+0)

【魔力値】4(+0)


【攻撃力】10

【防御力】10

【回避率】0

【命中率】0


【装備追加効果】無し

【装備追加セット効果】無し

【装備追加スキル】無し


【称号】無し


【装備武器】初心者のダブルソード

【装備防具】初心者のシャツ 初心者のズボン

【装備ペット】無し


【習得スキル】スラッシュLv.1


【所持アイテム】ウルフの牙×10 ブラウンウルフの毛皮×6 ブラウンウルフの牙×10 回帰の結晶


【所持金】12049MIL




 

 

 


 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ