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第16話 互いの許し

 不思議と歩みは軽快だった。

 何者かに押されるかのように前に歩いていくことができた。

 おじいさんの家に行く前に、ショップであるものを買っていた。

 それは取っ手がついた白い箱の中に入っており、俺の右手に握られている。


 おじいさんの家の前に着いた。

 ドアノブを掴んで、扉を開けようとしたが、重い。

 歩みとは対照的に重い。


 邪魔をするな。

 俺は仲間を守ると決めたのだ。

 だから、向かい側から扉を引くのをやめろ。

 あくみんが待っているのだ。


 ―――この!

 負けじと扉を手前へ引いて光が漏れだす。

 この機会を逃さずに一気に引くと均衡が破られて扉が開いた。


 あくみんはどこにいるのだろうか?

 ・・・いた。


 部屋の隅の方で身体を丸めて座っており、膝に顔をうずめている。

 泣いているのだろうか?

 心が苦しい。

 謝らないと。

 

 軽い扉を物音をさせないようゆっくりと閉め、あくみんのもとへ歩み寄る。

 歩くたびに床がギイギイと低く鳴るのだが、あくみんは依然として顔を下に向けている。

 

 俺が入ってきたことには気付いているはずだ。

 それなのに顔を上げないのは待っていたから。

 俺を待っていたからだ。

 逃げてしまって悪かった。


 あくみんの背後へ回り膝を下ろす。

 背中からは華奢な体格がよくわかり、艶のある奇麗な黒髪は2つに縛られているので、透明感のある色白なうなじに見入ってしまう。

 強く抱きしめたら折れてしまいそうな身体を優しく両腕で包み込むと、ほのかな体温を感じる。

 ヒクヒクと身体が動くため、やはり泣いている。

 俺は泣き止んでほしくて、そっとあくみんの耳元で囁いた。


 「・・・すまない、逃げたわけじゃないんだ。怖かった。表面上はいつもの俺を振る舞っていたのかもしれないが、こんなことになってしまって内心では怯えてた」


 俺の弁解をあくみんはそのまま黙って聞き入れる。


 「父さんや母さんにまだ親孝行をしていないのにこんなことになってしまったから、自分を騙して、直面している現実から目を背けていた」


 俺の声に震えが生じ始める。


 「それだけじゃない。自分が死んでしまう夢を見たんだ。それは夢ではなくて、本当に起きたことだと思った」


 目が熱い。


 「夢なのに本当のことだなんて矛盾してるけど、おかしくなってたみたいで事実を分別できなかった」


 頬がくすぐったい。


 「言い訳なのかもしれない。でも、許してほしい。あくみんを置いていくなんて決してできるわけがない」


 ―――――俺も


 「だから、だから・・・・・・・・・」


 泣いているのか。


 同じ過ちを繰り返さないために精一杯謝った。

 胸が一杯一杯で感情が揺さぶられたから涙が溢れてきたのだろうか?


 許してほしい。

 だから顔を上げてくれ。


言葉には出していないが、想いが伝わったのか下を向いていた頭が上を向き、あくみんの髪の毛が頬に触れる。

 頭が横に動いて、潤んでいる目と合った。


 「・・・私も、怖いです。どうしてこんなことになってしまったんですか?いつものように平日は学校に行って部活をして、放課後と休日は皆と一緒に遊びたいです。だけど、ここに閉じ込められてしまってそれが叶わないと思ったら怖いです・・・」


 すぐに君を見つけてあげればよかった。 


 「怖かったけれど、大好きな皆と会えれば安心できると思って一日中探していました。やっと昨日の夜レイヤさんを見つけたときは本当にホッとしました」

 

 不安にさせてしまってすまない。


 「でも、私はレイヤさんに頼ることしか考えていませんでした。レイヤさんがどうにかしてくれると思って勝手に一人で安心していました。だけど考えればわかることなのに、レイヤさんだってこんなことになってしまって落ち着いていられるわけがないですよね。私はただ慰めてもらっただけで、支えてあげることをしてあげられませんでした。レイヤさんは悪くありません・・・謝らなければいけないのは私の方です」


俺が謝るべきなのだ。


 「ごめんなさい」


 だけどそれで君の気が済むのなら。


 「・・・俺も悪かった。すまない」


 「・・・もう謝らなくてもいいですよ。これでもう終わりにしましょう」


 「ああ、わかった」


 俺の返事の後からは沈黙が続き、あくみんの暖かさからもやもやとした感情が溶かされていく気がした。

 どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。

 永遠に続いていたかのような錯覚だ。


 心が落ち着いた頃に、ふとあくみんが思い出したかのようにもじもじと言った。


 「あ、あの・・・ちょっと恥ずかしいです・・・・・・」


 現在俺はあくみんを後ろから抱きしめている状態になっており――――――


 「す、すまない。自然と身体が動いていた」


 速やかにあくみんから離れる。

 彼女でも何でもないが俺が過ぎたことをしてしまったようだ。


 恥じらっているあくみんは俯き、顔を赤くして何やらボソボソと呟いた。

 だが、それは俺の耳には届かなかった。


 「・・・・・・・・・別に嫌ではありませんのに」


 「何か言ったか?」


 「いえ、何でもないですよ」






 

 ―――――何であれ、許してくれてありがとう。







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レイヤ 職業ソードマン Lv.5

【HP】45/45(+20)

【MP】31/31(+10)


【筋力値】19(+5)

【敏捷値】18(+5)

【幸運値】9(+0)

【魔力値】5(+0)


【攻撃力】23

【防御力】43

【回避率】0

【命中率】7


【装備追加効果】無し

【装備追加セット効果】無し

【装備追加スキル】無し


【称号】無し


【装備武器】イルダブルソード

【装備防具】初心者のシャツ 初心者のズボン メタルガントレット メタルブーツ 獣のリング 

【装備ペット】無し


【習得スキル】スラッシュLv.2


【所持アイテム】青色の小さなポーション×6 ブラウンウルフの毛皮×2 ブラウンウルフの牙×3 

        バタークッキー×3 薄い布の寝袋 回帰の結晶 ベイクドチーズケーキ×3


【所持金】2741MIL


 


 



 

 

 



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