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千切れた右手:加藤智宏


 二週間ぐらい前に僕のクラスの女子2人が青いコートの男に襲われた。


 幸いな事に2人の命に別状は無かったけど、委員長の羽斑は肩に切傷を追い、矢川はあろう事か左腕を切断されて持ち去られてしまったらしい。


 その前には斉藤が通り魔に鼻を削がれて持ち去られるという似たような事件が起きていた。


 だから嫌な予感がしていたんだ……自分も狙われる可能性があるんじゃないかと。周りがどんどんと騒がしくなって多くの人が僕の周りに集まってくる。ぼんやりと自分自身の失われた右手首を見つめているとそこから吹き出た血飛沫で僕の体は真っ赤に染まっていた。なんでこうなったんだっけ?確か、休日に家族と一緒に近くのデパートで買い物をした後、帰るために駐車場に出たところで眼帯をした女の子、羽斑に話しかけられたんだっけ。家族に先に車に乗り込んどくように言って何かを話した気がする。


 確か殺人鬼がどうのこうのと……僕が狙われているとか。現実感の無い忠告を無視して車に戻ろうとして……誰かとすれ違い様に右手首を切り落とされた。駐車場に居た羽斑が僕に駆け寄ってくれて流れ続ける僕の腕にバンドを巻いて血止の応急処置をしてくれる。僕の血に染まっていく委員長の可愛い横顔を見つめながら僕は眠たくなって彼女にもたれかかる。女の子の体の柔らかさに内心驚きながら、さっきデパートで買ってもらった携帯ゲーム機のソフトの事を思い出す。プレイするの結構楽しみにしてたんだけどな……右手が無きゃ出来ないな。多分死ぬけど。


 目を閉じた僕の近くで泣き叫ぶ羽斑の声が聞こえてくる。


 何度も何度も繰り返し僕にごめんねと謝っていた。君の忠告を無視した僕が悪いのにね。恐らく僕の右手首は青いコートの男に持ち去られたのだろう。

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