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招待状
【???:被害者遺族】
≪模造人体展覧会……傀儡師≫
その招待状は父が行方不明になってしばらくしてから家のポストに投函されていた。差出人欄の記載は無く私の名だけが宛名に書かれている。他に目の付くものと言えばコートを着込んだ可愛いらしいネズミのイラストと共に会場に至る簡単な地図が添えられていた。注意書の内容は指名者以外が来場する事への警告だけだ。それを守る為に警察にも届けず私は1人でこの場所までやって来た。
木々が生い茂る森で、目印として遠くからでも分かる様に長い十字架が地面に突き立てられていた。その上方の先端に蒼いコートと山高帽子を着せられたネズミの人形が大地に串刺しにされている。
薄暗い森の霊樹に囲まれ設営された大きな青いテント小屋。私はこの招待状が送られてきた時から覚悟は決めてきた。入口の暗幕をめくり、私は闇の中へとその一歩を踏み出した。父に呼ばれた様な気がしたからだ。