決心
戦いが終わった後、僕らは聖騎士の人たちと合流した。
そこに広がっていたのは残虐な光景だった。
もう動かなくなった訓練兵の屍が並んでいたのだ。
聖騎士の人に話を聞くと、各自の部屋の中にいた際に
魔物に襲われたのかもしれない、の事だった。
僕らが屍を見ていたら、一番見たくなかった屍があった。
ライが...ライが眠っていたのだ。
どんなに呼びかけても起きてくれない、屍だった。
その隣にはユカリ、その隣にはリナの屍。
そう、僕ら以外の訓練兵は皆殺しだったのだ。
「うぅっ...なんで...なんで...みんな..。」
「そんな...私たち以外...みんな死ぬなんて...そんな事が...あるの?」
泣くしかなかった。みんな死んでしまったのだから当然だ。
親友だって、友達だって死んでいるのに...僕たちだけのこのこと生き残ってしまったのだ。
「聖騎士も何人か死者が出ました。まさか...こんな大規模な魔物侵攻があるとは...とても...。」
いつのまにかルナさんがいた。
確かに、今回の侵攻は予測するなんてとても無理だ。
でも、聖騎士の人たちまでもが死ぬほどの魔物が...出たというのか?
「王都もかなりの被害がありましたし...貴方たちの村は相当な被害が出ているでしょう。最悪の場合、全滅もあり得ます。現在調査中ですが...覚悟はしておいてください。」
そうだ。僕らの村だって被害を受けている可能性があるし、聖騎士だって死ぬくらいなら村の人は...そんなこと考えたくない。
「ルナさん...ちょっと頼んでもいいですか?」
「?...まぁ、私が出来る事なら...」
「---------------。」
「!それは...貴方たちが悲しい目に合うのですよ?それでもいいのですか?」
「はい。せめてそれだけはさせてください。」
「......。分かりました。手配はしましょう。」
ーーーー数日後ーーーー
「着きましたよ。...本当に、いいのですね?
今から見る光景は、貴方たちにとって悲しいことしかないのですよ?」
「はい。大丈夫です。」
「覚悟はしています。」
「そう。其れなら、開けて。」
僕は馬車の扉を開けた。そこには絶望がひろがっていた。
家も農場も木々も、跡形もなくなった村がそこにはあった。
僕がルナさんに頼んだこと、其れは僕らの村に行かせてほしい。ということ。
死体は整理されていて見慣れた顔だっていくらでもいた。
そこには、僕らの親もいた。
村の人々も全滅していたらしい。
なぜ、僕らだけ生き残ったのか。そんなの分からない。
でも、僕は決めた。絶対にみんなの敵を取ろうって。
ワンパターンかもしれない。でも、僕の平凡な生活も戻る家もなくなったのに、
戦う以外の運命はないんだから。
この侵攻は後に「魔物達の天災」と呼ばれることとなる。
この侵攻で友も、親友も、親も、故郷も、すべてを失った。
それなら、兵役のために学んだこの槍術も使ってやる。
それが、僕のできることだから。