ドカン、と恋に落ちました。
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しかし、あるときを境にロゼッタは現れなくなった。
これは、あまりにもリゲルたちに懐いたロゼッタをみて、王と王子が会えないように工作したからだったが、もちろんリゲルに知るよしはない。
リゲルは、「所詮お嬢様のお遊びだった」と忘れるように心がけていた。
そんな中での再会。
リゲルはまだロゼッタのことを忘れられてはいなかった。
しかしロゼッタは忘れていた。
それだけでなく、リゲルを見て悲鳴をあげたのだ。
リゲルの中で、何かがささやいた。
「復讐してやれ。」
と。
「お前に期待をさせ、簡単に裏切った相手に復讐するのだ。」
と。
リゲルの心は憎しみでいっぱいになり、目の前で腰を抜かすロゼッタの頬が赤く染まっていることに気づけなかった。
「ロゼッタ嬢、よろしければ一緒にパーティーに戻られませんか?」
リゲルは、ロゼッタに手を差し伸べた。
(獣人と共にいれば、いくらロゼッタでも悪評がつくだろう。)
そうやって復讐してやろうと考えた。
ロゼッタと王子の結婚を邪魔してやりたいと。
だが実際はどこかで、復讐心以外の心が動いていたーーー
ドキドキが止まらないロゼッタは、そっとリゲルの手を取った。
まさしく、一目惚れだった。
しなやかで硬い身体、ネコ科の耳に尻尾。
紳士的な話し方。
どれもがロゼッタの心を撃ち抜いていた。
ロゼッタは夢見心地でふわふわと歩いていた。
リゲルと繋いだ手に、全ての神経が集中していた。
会場に戻ったロゼッタに、すぐに男たちが群がってきた。
リゲルにあった後のロゼッタには、男たちは肉片にしか見えていなかった。
迫り来るハンバーグたち。
そんな気分だった。
「ロゼッタ、私と一曲。」
そんな猛者たちを押しのけて、一人の男がロゼッタの前に立ちはだかった。
王子だった。
王子は目線で、リゲルに「去れ」と命じた。
ロゼッタを連れてきたただの護衛としか思っておらず、周りの男もまさかリゲルがパートナーとしているなど、想像だにしていなかった。
ロゼッタは王子をみた。
王子を見るたびキュンとなっていた心は、今日はなんの音もたてていなかった。
ロゼッタの意識の全てが、リゲルに向いていた。
「ロゼッタ嬢、私と一曲。」
ロゼッタの前に立て膝をついたリゲル。
会場にいた全ての者が、ポカンとなった。
王子も、リゲルが何を言ったのか、すぐに理解ができなかった。
ロゼッタにだけは、リゲルの仕草が、優雅で麗しく映っていた。
ロゼッタは驚きつつも、「喜んで。」とリゲルの手を取った。
タイミング良く新しい曲が始まり、リゲルはロゼッタを連れて会場の中央へと進んだ。
他に踊っているものはいなかった。
みな、驚きで動きをとめた。
ロゼッタとリゲルだけが、優雅に踊っていた。
ロゼッタとリゲルの美しい踊りに目を奪われる一方、美しいロゼッタの相手が見目の悪いリゲルであることに目を見開いた。
「獣人がパーティーに出るなんてーー」
「しかも、相手はロゼッタ様じゃないか。」
「なんて恥知らずなーー」
「ロゼッタ様は王子の婚約者だぞーー」
などと、コソコソと不満の声があがった。
耳の良いリゲルには全て聞こえていたが、リゲルとのダンスにうっとりするロゼッタには全く聞こえていなかった。
ロゼッタに話をしようとする者や、リゲルを追い出そうとする者もいたが、皆失敗に終わった。
ロゼッタは浮き足立ち、その辺の男たちの話は耳を通り抜けたし、リゲルは身元がしっかりした王の騎士であり、もちろん追い出すこともできなかった。
辺りは異様な雰囲気に包まれていた。
そんなことに気づかず、ロゼッタはリゲルだけを見つめていた。
その後、ロゼッタは夢見心地で屋敷に帰った。