イケメンに囲まれる自分。そんな甘い話じゃありませんでした...
それから、数日が経ち、ロゼッタも家にこもることに飽きていた。
今までのロゼッタが行っていたところといえば、お城である。
お城。ファンタジー。
(行きたい!見てみたい!!)
ロゼッタは新しい生活に順応していた。
「お父様?お母様?もう大丈夫だからお城に行きたいわ!」
娘に甘い二人はすぐ了承してくれた。
予想通りである。
ガタンガタンと馬車に揺られること数分。
やっと王城に着いた。
馬車って快適で豪華なイメージがあったが、意外とそうでもない.....
車酔いがひどかったロゼッタだが、身体は馬車に慣れていた。
「顔色が悪いよ、私の可愛いロゼッタ、やっぱり帰ろうか?」
お父様が心配そうに私の顔を覗き込む。
「大丈夫よお父様。」
ちょっと顔色が悪いくらいで、お城に入るのをやめるなんて!
ちなみにお母様はお留守番です。
私に真っ白なドレスを選んだところで満足してしまったもよう。
(お母様!白は、白は膨張色なんですよ...!!!)
「やっぱり、ロゼッタにぴったり!」
と、嬉しそうに手を合わせたお母様。
(ぴっちり、の間違いでは?)
ロゼッタは、鏡に映る自分を直視できなかった。
城は壮大でした。
「おおおおお!」と心の中で叫びました。
想像以上の大きさです。
(広い!キラッキラしてる!お金かかってそう!)
ロゼッタには見慣れたものであったが、記憶の中にぼんやりと存在する城ではない本物の城は今のロゼッタを驚かせた。
どうやら国自体なかなか裕福なようだ。
パーティーは華やかだった。
「ロゼッタ嬢、私と一曲。」「いや、私と。」
なんてくだりが何度も行われた。
だが、人気あるロゼッタに近づくのは自分に自信ある男ばかりだった。
すなわち、爵位が高く、見目に自信のある男。
ロゼッタは混乱していた。
忘れていたのだ。
丸い自分がモテるということは、モテる男も丸いということを。
ロゼッタはすぐに壁の花となった。
しかし、壁の花になるには、ロゼッタの美しさは目立ちすぎていた。
ロゼッタはまたすぐ男たちに囲まれることになる。
少々体型が丸かろうと、母のようにパーツのみ見れば美形な者もいたし、すぐに慣れるだろうと思っていた。
しかし、その考えは甘かった。
ロゼッタに近づく者がみな同様に丸々と太り、ロゼッタに馴染みのないヨーロッパ系の顔立ちだったことから、だんだん皆同じに見えてきたのだ。
そもそも、肉のせいでパーツがはっきりしない。
だれもかれも肉の塊にみえていた。
人に会えば会うほど、見分けがつかなくなってくる。
(自信満々な肉...)
ロゼッタは人を避けるように庭へと降りた。
プリシラはそれを横目で見ていた。
エドガー王子は何度もロゼッタの方へ向かおうとしたが、「エドガー王子?」とプリシラに上目遣いで見られ、身動きがとれずにいた。
プリシラはエドガー王子をロゼッタに合わせる気がなかった。
エドガー王子はプリシラの中で、運命の相手となっていた。
初めてのパーティーで出会った王子様。
エドガー王子とプリシラの仲を引き裂こうとするロゼッタ。
という図がプリシラの中でできていた。
エドガー王子は、プリシラに慕われ喜ぶ反面、男たちに囲まれるロゼッタに独占欲が膨れ上がっていた。
エドガーだけのものだったロゼッタが、初めて他の男に誘われている様子をみて、不満が溜まっていた。
そんな様子も、エドガー王子に興味のなくなったロゼッタの視界にはなかった。