前世を思い出しました。
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そんなある日、ロゼッタはプリシラとエドガー王子が仲良くする悪夢をみた。
夢見が悪かったロゼッタは、そのまま広いベットから転げ落ち、角にガツンと頭を打ちつけた。
控えていたメイドは、その音に驚きロゼッタの部屋に入ったが、ロゼッタは眠ったままだった。
正確には意識を失っていた。
ロゼッタは頭をガツンと打ちつけた拍子に、前世の記憶というものが蘇っていたのである。
そこからロゼッタは三日三晩寝込んだ。
ジルフェブィア家の使用人たちはとても心配して、いるかいないか分からない魔女を探しにでたり、伝説の薬草を探したりと奇行に走った。
「ろ、ロゼッタお嬢様!?」
三日後、目を開けたロゼッタの前にはメイドがいた。その顔はやつれ、目の下にはクマができていた。
「メアリー?」
そのメイドはメアリーといった。
ロゼッタは辺りを見回した。
彼女はメアリー。
ここは私の部屋。
私は.....ロゼッタ。ロゼッタ・ジルフェブィア。
今のロゼッタは前世の記憶の影響が強く出ていた。
前世では18歳であったロゼッタは、今のようなお嬢様暮らしをしている訳がなく、刺激的な毎日を生きていた。
前世の記憶を取り戻してから、ロゼッタは今までの十数年が退屈な毎日だったのか気づくことになった。
礼儀作法の勉強が一通り終わっていたロゼッタは、家で刺繍をするか、どこかの家のパーティーに参加するか、しかすることがなかったのである。
そんな単調なロゼッタの記憶は、前世の記憶に勝てるはずがなく、ロゼッタの前世が今のロゼッタを乗っ取るような形になってしまったのである。
生まれ変わったロゼッタは、実は安心していた。
前世と比べて変わった世界ではあっても、平和な毎日を送っていたからだ。
違う世界で過酷な運命がわかっていれば、これからの人生を考え直す必要があっただろう。
「メアリー、お父様とお母様は?」
メアリーは、ハッとした顔をした。
ロゼッタの目が覚めたことに感動したメアリーは、ロゼッタの両親に伝えるということを失念していた。
「た、ただいま!すぐ!呼んで参ります!」
メアリーは部屋から駆け出して行ってしまった。
が、慌てたメアリーをみた使用人たちが、なにかあったのか?と騒いでいる。
(これは、私が行った方が早いのでは...?)
ロゼッタは部屋を出て下の階段へ降りた。
部屋の外もあまり見覚えがなかった。
しかし、ここがロゼッタの家で、この階段を降りれば食室に繋がることは頭が理解していた。
ロゼッタには見慣れぬ豪華な建物で、心を踊らせた。