+かくもしかくも+
こないだ妻が、買ってきたまだ産まれてない子供の下着を手に
「これがあなたの息子の下着よ。小さいでしょ」
と渡されたとき(´;ω;`)感動しました。
◆◇◇Step by 10◇◇◆
また、このフレーズだ。
『誰もが信じていることが違う。それは紛れも無い事実だ。』
そして、どこかでかみ合っていない――
「今更だけど、君の名前は?」
少しの沈黙と―――
「結城真理。あなたは?」
―――低い声。
「ロア」
呆れたかのように――
「あなたのほうこそ日本人でしょ」
彼女が脇腹を抑えて、初めて笑みを見せる。
「あなたが、ロアなら…
私は―――、マリオンね」
脇腹の手を腰に変えて、彼女がそう名乗り直した。僕も釣られて、彼女に笑い掛ける。
◆◇◇Step by 11◇◇◆
そう―――。
彼女さえ思い出せば二つの道が生まれるのだ。僕には、希望的観測しかなかった。僕らは、月が白い内にと帰路につく。
道中を、笑いながら過ごす。
(あの荷物重くない?)
(あなたひ弱ねー)
と僕らは、そんなたわいのない会話に花を咲かせた。
なにかが、刺の様に僕の心を締め付けていた。それの正体に、僕は気づいていいる。
正真正銘に僕は、『戻ってきても還れない』のだ。(2200年?)僕がいつを生きていたのかは知らないが、父も母も兄弟も紛れもなく生きていないのだ。事実は―――、きっとそうだと思っていたことでさえ残酷に刻んだ。
まるで小さい子が嘘を着くように、僕は笑顔でそこにいた。
低温睡眠で長く眠っていたという事は、つまりは…そう言うことなのだ。彼もまた、今を生きようと懸命だが、そこには親も無く、家族も無く、友達もまたいなかったのだ。息子を一人、低温睡眠につかせた両親はどんな言葉で送ったのだろう。
言葉として考えるには、その気持ちの深さに察するに余りあった。
『生きたい』
でも…、そこには親も無く、家族も無く、友達もいなかった。
読んでくださいましてありがとうございます
結城真理
(ライオンのように強くありたい。)
マリオン