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EP:3

「ところで恭平。あなた学校はどうしたの?まさかサボろうなんて野蛮なことを考えてないでしょうね?」

 やばい、このまま話していればごまかせると思っていたのに……

 オカアサマ?顔が鬼のようになっていますよ。

「あーなんていうか。うん」

 やばい……いいわけが出てこないこのままでは人の皮を被った鬼に食われてしまう……!

「もちろんちゃんと学校に行くんでしょうね……?」

「アハハハハ……なんかとっても学校に行きたくなってきたからいってきまーす!」

 僕はもう逃げた。今までこんなに走ったことがないってくらい逃げた。

 怒った時の母さんの恐ろしさは異常だ。親父が母さんを怒らせたときは親父は2週間も入院することになってしまった。

しかも父さんはその時のことを話そうとすると顔が青ざめてがくがくと身体が震えてしまうぐらいのトラウマになってしまっているようだ。

 しかし危なかった。僕は父さんの二の舞になりたくないからな。父さん、あんたの死は無駄にはしないよ。やすらかに眠っててくれ。

 あ、ちなみに僕の父さんはちゃんと生きてるぞ。変な誤解はしないでくれよ。

 そうして僕は学校までのながったるい道を一人で歩いていった。

 おそらく今の時間はまだ授業中か。今日の1時限目の授業はなんだったかな……

 なんだか思い出せないがまぁとりあえず行くしかないだろう。

 しかし本当にあの二人はなんだったんだ?地下のどっかからきた地底人と天空のどっかから来た天空人。なんでそんなやつらがほぼ同時に僕の前に姿をあらわすんだ?

まさかこれは誰かの陰謀なのか?だったらこれから色々気を付けなくてはいけないな。

 そんな感じで変なことを考えながら歩いているといつのまにやら我らが校舎の前に着いていた。

「遅刻したときって教室入るの気まずいんだよなぁ……」

 


 今は授業中なので校舎内は静まり返っている。まぁそれなりにまじめな学校なので当然だろう。

 そして僕は教室のドアを一気に開けて授業中の静寂を打ち破った。教室にいる全ての人間が僕を見ている。

「すいません。遅れました」

 僕はそれだけ言って席に着く。実はこうゆうの一回やってみたかったんだよね。でも今はやらなきゃ良かったって思ってる。なんかみんなからの視線が痛いし、先生も良い度胸じゃないか的な顔してるし。やっぱり慣れないことはするもんじゃないな。

 大人しく授業を聞こうとした瞬間僕の右側から声をかけられた。

「お前が遅刻なんて珍しいな。どうしたんだよいったい」

「別に。ちょっといろいろほっておけない事情があってさ」

「なんだそりゃ。ま、いいや。ちなみに長谷川怒ってたぜ」

 今話しかけてきたのは宮野内元貴。中学からずっとクラスが一緒の友人だ。顔はとても整っていて、女子からの評判はいい。まぁでも少し人見知りするから他の人とはそこまで仲が良くないようだ。

 ちなみに長谷川というのは僕のクラスの担任で色々と罰ゲームを与えたがる変な人だ。でも気さくに話しかけられて、話もおもしろかったりするのでみんなからとても慕われている。罰ゲームの種類はいろいろあって、基本は先生の手伝いとかだけどたまにみんなの前で一発ギャグをやれだとか無茶を言ってくるので油断は出来ない。





 時は流れてもう昼食の時間だ。授業の説明なんてめんどくさいし。ちなみに4時限目は担任の授業で、そのときに今日の罰ゲームの内容を言われた。

 内容は、昼休みに昼飯を食べずに裏庭の雑草抜きだそうだ。昼飯を食べずにってところがいやらしい。

 まぁ先生に逆らうのもなんだし僕は大人しく命令に従いひたすら草を抜いていた。

「あー腹減ったー。飯食べたいけど先生ちょくちょく見張ってたりするから食べれないし。はぁ……」

 一人黙々と草を抜いていると何だか一本だけとても重い草に遭遇した。

「なんだこの雑草は! 人間さまに逆らうとは良い度胸だな。俺の本気を見せてやる! うぉぉぉぉぉ!」

 僕はなんだかよくわからない独り言を言いながら思いっきり草を引っこ抜こうとした。こんなところ誰かに見られてたら死んでもいいな。

 思いっきり力を入れて引っこ抜くとさすがに雑草を抜くことができたが、僕は抜いたことを激しく後悔した。

「いったー……もう、いきなりなにすんのよ」

 草を抜くとそこには、アイがいた。なんだアイが草にしがみついてたのか……っておい!おかしいだろそれ!なんでこんなところにアイがっていうかなんで草を抜いたら出てくるんだ!?

「なんでアイがここにいる?」

「なんか恭平のお母さんにお弁当を届けるように言われたから届けに来たの。どう?偉いでしょ?」

 なんか弁当を届けに来ただけでなんだかとても勝ち誇ったような顔をしている。

「あー弁当持ってきてくれたのはとても嬉しいんだけど、僕は今弁当が食べれない状態なんだ」

「ん?なんで?」

「色々あったからさ。まぁそこは気にしないでくれ」

「ふーん?まぁでもちゃんと届けたからね」

「あぁとても助かっているが、これからどっか行くときに地面にもぐるのはやめといたほうがいいぞ。服が汚れすぎて大変だぞ」

 地面をもぐってきたアイの服装はとても泥で汚れていた。

「え?なんで?これぐらい平気だよ?」

「とりあえず普段は歩くようにしといたほうがいいぞ」

「うーん?まぁそうするけど……」

「弁当も受け取ったしもう用事は終わっただろ?大人しく帰るんだ」

 僕はめんどうに巻き込まれたくないのですぐに帰るように促した。

 だが、アイにそんなつもりは全くなく、学校内を少し見て回るという。

「別に回ってもいいが絶対誰にも見つかるなよ?あと僕と知り合いということを誰にも言うなよ」

 そういって念を押した後はアイを自由にしてやった。なんだか騒動を起こしそうだがその時は絶対に関わらないようにしなくては。

 そして昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。




 今は6時限目の授業中だ。今のところアイは誰にも見つかってないらしく騒ぎは今のところ何も起きていない。

 午後の授業最大の敵、睡魔との激戦を繰り広げている僕の目線にアイが見えてきた。なにやら廊下から僕に手を振っているようだ。僕は慌ててトイレに行くといって廊下に出た。

「お前こんなところで何してるんだよ! 誰かに見られてたらどうすんだよ」

なるべく小声で話しかける。

「ん?恭平を探してたんだーやっと見つかったよ。こんな変なところに隠れてるとは思わなかったなー」

「別に隠れてたわけじゃ……ってそんなのどうでもいいからもう帰りなさい!」

「えー」

 アイは不満そうな顔をしているが僕はむりやり家に帰した。これ以上散策されるといろいろとめんどくさそうなことが起こる気がするからね。



 そんなこんなで学校が終わった。そういえば弁当を届けに来たのはアイだけだったんだけどハルカさんはどうしたんだろう?家に帰ったら色々聞こうかな。

 このまま学校に残っていてもとくにすることがないので僕はまっすぐ帰ることにした。





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