恋が動きはじめたら
翔太とあたしはいわゆるケンカ友達ってヤツでいつも一緒にいた。
遠足バスの中でカラオケを歌ったり、理科室にある実験用のアルコールランプでコーヒーを作っちゃって先生に怒られたこともあった。
でも一番の思いではやっぱり三年生のときいった修学旅行かなぁ?
あたしが想いを伝えようとしてダメだったあの日ー・・・
「いやっっほぉー!!!修学旅行いーん鎌倉~!」
四時間もバスに揺られて、やっと外の光を浴びた私はちょっと、いやかなり開放的になってしまい叫んでしまった。
ぽん
翔太があたしの頭に手をのせる
「るせーよっ。夏架!買い食いしすぎて太るなよ~?ますます豚女になるぞー。」
「は?な なによ、とんじょって?」
「豚に女で豚女!すごくね?俺。マジで天才~」
翔太ってば得意そうに言うの。そんなところもちょっと可愛かったり・・・。
「へ~?なるほどねー。・・・って!!!なにそれ!?あたしのことー!?」
「あったりめぇーだろ?夏架以外にだれがいんだよ。お~お~、怒るとますます豚にそっくり~!ってゴメン。夏架は豚女だったからもともと豚だよなぁー。アイムソーリ~。」
うううううう 。
確かに最近、食欲ありすぎてあたしぱくぱく食べてた・・・。昨日もご飯三杯食べたし・・・。
あたし・・・リアルに豚だ。
はずかしーよぉ~・・・
「・・・あのさぁ」
「な、なによ!どーせあたし豚女だし!豚とは話せないでしょ!・・・あぁそっか!あたしと話せるってことは翔太も豚だ!豚男!!!」
ああぁ~こんなこといいたくないのにぃー!
絶対翔太怒ってるよ!もう!
「・・・悪かったよ。別におまえ、豚女なんかじゃねーよ。それよりさぁーせーっかく鎌倉きたんだから、いっぱい遊んでいっぱい美味しいもの食べよーぜ!」
!
翔太があたしの手を引いて走りだした。
鎌倉の、ちょっと凛とした空気が気持ちいい。
あたし、翔太のそーゆーとこ、すごく好き。
いつも空気を軽くしてくれる。だからずっと一緒にいても全然あきない。
修学旅行
あたしは何回翔太のこと
「あぁ、好きだな」って
思えるのかな?
「ほぇ~!これが大仏かー。えらいでっかいなぁー。でも俺の心の広さにはかなわない・・・なんちて☆」
「ぎゃはははっ!ばっかじゃないの!?」
あたし爆笑。
それにしても、鎌倉っておもったよりつまんないなぁ・・・。もっとにぎやかな感じかと思ってた。
修学旅行でいくところはどこもお寺ばっかで正直つまんない。
あ、お土産みたいなぁ~。
「ねぇねぇ、翔太~。」
「ん~?」
「お土産屋さんみない?いっぱいあるよ~。」
「どれどれ?へ~結構品揃えいいじゃん。」
「・・・何様よアンタ・・・.。」
そのとき、ひとつのストラップがあたしの目に入る。
ー恋愛成就ー
・・・ほしい!もちろん翔太との仲を願って。色、五種類もあるんだ。ピンク、水色、黄色、緑に紫・・・。
どーしよう?
ピンクにしよっかな?
一番「恋」って感じがするもんね!
「ん?夏架そんなん買うの?」
「うん。だって好きな人いるし・・・っあっっ!」
やだ!!!!!
好きな人いるっていっちゃった!!!!!
・・・翔太どう思うかな?ヤキモチやいたり・・・なんて。
「へー・・・好きなヤツいるんだ。」
翔太があたしと同じピンクのストラップを手にとっていった。
珍しく真剣な顔。
と思ったら
「じゃ俺もかっちゃお~☆夏架はピンクだから俺は水色でいーや。」
・・・ガクッ・・・
なーんだ。まぁそーだよね。ヤキモチなんてやかないよね・・・。
分かっていても結構ショックっていうものはでっかいな。
まぁいっか!おそろいになったわけだし!
恋は前向きに、ポジティブに考えなきゃやってらんないよね!
「おーい!なつかー、いくぞ~!!」
「まってーしょーたーっ!」
翔太があたしの名前を呼ぶ。
あたしが翔太の名前を呼ぶ。
これだけで、嬉しい。
胸がときめく。
想いがあふれるー・・・
翔太
翔太
翔太
何回でも呼びたい。
きみがふりむいてくれるから。
翔太の
顔が
目が
髪が
声が
全部全部
あたしのものになれ。
でも、そう思っている今のあたしは、
「好き」の
一言さえいえないー・・・。
よんでくださりありがとうございます!
今回、中学生時代の修学旅行編です。
このはなしは翔太と夏架の恋はもちろん、
鎌倉の空気感を大事にしてかきました。
あたしも現役中学生として、夏架の気持ちを考えたりしました。
次回は修学旅行が終わってその後!嵐になる予感です。
またおつきあいくださいね☆