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第2章 1話
「はぁ…はぁ…はぁ…」
暗い路地裏で
女は走っていた
これ以上走れば
肺が潰れそうな程
走っていた
止まる事は許されない
後ろから鬼が迫っているから
「はぁ…はぁ…?」
ふと女は後ろから
足音がしないのに気づく
もう鬼は諦めたのかもしれない
そう思い顔だけ
振り向き確認する
「ぐぎっ」
ザグウッ
鬼が投げたであろう槍が
女の胴体に突き刺さる
「あ…あぁあ゛」
ガシャアアン
女は周囲の物を巻き込みながら
無様に地面に倒れる
女はゆっくり上を見上げる
バキャッ
鬼は頭蓋骨など無いかのように
頭を踏み潰す
暗い路地裏に
人の型をした鬼がいた
鬼は足元の
つい数分前まで
人間として機能していた
肉片を見下ろす
「………」
当然肉片は語らない
無論動かない
鬼は静かにその場から
立ち去った




