表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

第5話 魔王怒る

お読みいただきありがとうございます!


今回は、魔王がぶち切れるお話です。


ゆるっと読んでいただけると嬉しいです。

ある昼下がりーーー


魔王

「おーい……うーむ、みんなどこ行ったんじゃ……」


悪魔魔道士

「魔王様、どうかされましたか?」


魔王

「おぉ、悪魔魔道士、緊急会議を開こうと思うのじゃが、皆がおらんくってのぉ」


悪魔魔道士

「スライム君、有給ですよ」


魔王

「そうであったか。サキュバスちゃんはどこおるのじゃ?」


悪魔魔道士

「庭園で『男……』ってつぶやいて、黄昏れてましたよ。今日は仕事にならないんじゃないですかね」


魔王

「それは、一大事じゃな。確かにさっきの見た時、表情が虚ろじゃったからのぉ。」


悪魔魔道士

「はい、ちょっと心配です」


魔王

「ドラゴン君はどうじゃ」


悪魔魔道士

「魔王軍を裏切りました」


魔王

「何じゃと!?」


悪魔魔道士

「突然、『我が真名は《ホーリードラゴン》。我が身は在るべき場所へ』とか言って、飛んでいっちゃいました」


魔王

「ドラゴン君はたしか、めちゃくちゃ闇属性じゃったじゃろ」


悪魔魔道士

「はい。なんか勘違いしちゃったんじゃないですか? まだ2才ですし」


魔王

「まぁ、2才ならそういうこともあるのか。そのうち帰って来るじゃろ…。じゃあ、お主と二人か…仕方がない、では会議を始める…」


悪魔魔道士

「あっ私は、今からサキュバスちゃんを励ましに行かないといけないので。すみませーん」


魔王

「お、おい、悪魔魔道士君」

(何なんじゃ、揃いも揃って。今日はみんなつれんの…)


ゴゴ…


その瞬間、不穏な空気が魔界を覆ったーーー


魔王

「はぁ、わし人望ないんかのぉ…」


大カタツムリ

「魔王様!」


魔王

「誰もおらんのぉ…」


大カタツムリ

「魔王様!!」


魔王

「ん、おぉ大カタツムリ君じゃないか」


大カタツムリ

「会議でしたら私めがおります。いかがでしょうか?」


魔王

「…そ、そうじゃな。今日は二人会議じゃな」


大カタツムリ

「はっ!」


(会議室ーーー)


魔王

「では、始める。今日の議題は…」


大カタツムリ

「魔王様!」


魔王

「な、なんじゃ?」


大カタツムリ

「本日は私が議題を提案したいのですが、よろしいでしょうか?」


魔王

「やる気じゃの。うむ、認めよう」


大カタツムリ

「ありがとうございます。では、議題なのですが、《魔王軍、魔ーケティング戦略について》です」


魔王

「ん、魔ーケテ? なんじゃ」


大カタツムリ

「魔ーケティングです。魔王様、常識ですよ」


魔王

「そうなのか……」


ゴゴゴ…


大カタツムリ

「はい。つまりイメージ戦略で魔王軍のブランドエクイティを最大化し、セグメント別にファンベースをスケールさせるのです。カスタマーエクスペリエンスを最適化し、インベイジョン(侵略)のコンバージョンレートを爆上げしましょう」


魔王

「どういう、ことじゃ?」


大カタツムリ

「……」


魔王

「大カタツムリ君、どこを見ているんじゃ」


大カタツムリ

「あっ申し訳ありません。魔界蚊に気を取られてしまいました」


魔王

「…………」


ゴゴゴ…


大カタツムリ

「続けます。デビルサイドのアドバンテージを活かしたダークポジショニングによって、サステナブルな世界征服ロードマップを描くべきです。恐怖だけではエンゲージが弱く、ロイヤリティが育たず、カスタマージャーニーがナンタラカンタラウンタラカンタラ…」


魔王

「大カタツムリ君の話は難しいのぉ。簡単に要約してくれんか」


大カタツムリ

「ふっ、簡単にぃでございますか? その前に魔王様、一つよろしいでしょうか?」


魔王

「なんじゃ?」


大カタツムリ

「ククっ、鼻毛が出ております」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………ブチ


次の瞬間、閃光が走ると同時に会議室が消し飛んだ


魔王

「貴っ様ーーーーーーーーーーーーー!」


大カタツムリ

「ヌギャーーーーー!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


魔王の怒りが、空気を、大地を、震えさせた


魔王

「ワシはな……ワシはな……横文字がっ!苦手なんじゃーーーーーーーー!」


ズゴゴゴゴゴゴドカーン


大カタツムリ

「あばばばばばばばばばばば」


魔界中の魔火山が爆発噴火した。


魔王

「それにな………お前、なんかムカつくんじゃーーーーーーーーーーーーーー!」


ガーッビカーーーッ


大カタツムリ

「ひっ、ひぃーーーーーーーーーー」


空に浮かんだ雲が、全て蒸発した。


魔王

「うがーーーーーーーー」


???

「ちっ…………さま、魔王さま!」


魔王

「うがががが…が…が……ん? スライム君? それにサキュバスちゃん、悪魔魔道士君?」


悪魔魔道士

「魔王様…」


一同

「誕生日おめでとうございます!!!」


魔王

「えっ、お主ら?」


悪魔魔道士

「今日は魔王様のお誕生日ですよ」


魔王

「えっ?え?スライム君、有給じゃ?」


スライム

「ちっ、魔王様のバースデーケーキを買うための有給ですよ」


魔王

「サキュバスちゃんも、黄昏れてたのでは?」


サキュバス

「うふ、魔王様を驚かせたくって、悪魔魔道士さんと一芝居うったのよ。うふ、女はみんな女優なのよ」


魔王

「おぬしら……んっドラゴン君がおらんのじゃが……」


悪魔魔道士

「あっドラゴン君が裏切ったのは本当です」


魔王

「何!?うーむ、まぁ、ほっとけばいずれ帰って来るじゃろ」


悪魔魔道士

「そうですね」


魔王

「それにしても、おぬしら…ありがとう。ただ一つだけ言わせてくれんか……仕事をしてくれ」


魔王は、嬉しさと、そこはかとない憤りが、ない交ぜになった渾身の【魔王スマイル】でサプライズバースデーに応えたのだったーーー


大カタツムリ

「ふっ、愛があるねぇ」


大カタツムリの周辺が小刻みに震えていた



---


人間領 市街地ーーー


蒼い目の少年

「大丈夫ですか?」


町人

「あぁ、ありがとう。助かったよ。それにしても凄い地震だったな」


蒼い目の少年

「そうですね。また起きるかもしれません。気を付けて下さいね。」


町人

「ああ。君も気を付けて。旅の無事を祈ってるよ」


蒼い目の少年

「ありがとうございます。それでは」

(それにしてもさっきの地震…魔領域から感じた恐ろしい力に関係あるのか? それに……魔王の封印が弱まった? ……魔領域で何が起きているんだ? 力をつけなきゃ。みんなを守れる力を)


少年は知る由もなかった。全ての原因が、魔王のサプライズバースデーであることをーーーー

読了ありがとうございました!


魔王、怒ると魔界が大変なことになるようです。


良ければブクマ、感想、いいねなど励みになります!


引き続きどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ