第28話 セイラと悪魔魔道士
今回は、セイラと悪魔魔道士が出会回です。
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悪魔魔道士は魔王に呼び出されていた。いつものように事務的な指示だろう、そう思っていた。
コン、コン。
「入れ」
相変わらずの気怠げな声。しかし、悪魔魔道士にはいつもとは違って聞こえる気がした。
「失礼します」
少し緊張した面持ちで入室した悪魔魔道士は意外な光景に目を疑った。
困った表情で椅子に鎮座する魔王。
自分の体のサイズに見合わないベッドで眠る、一人の人間の姿。
悪魔魔道士は、その光景に一瞬言葉が詰まりそうになりながら魔王に問い掛けた。
「魔王様、如何様のお呼びでしたでしょうか?」
「……その人間に部屋と仕事を用意して貰えるか?わしには扱いがわからん」
「この人間は夜伽の女では?」
「……そうだ……お主らは、とんでもない女を連れてきたな」
「し、失礼致しました。何かご無礼が?」
「はは、かまわぬよ。話し疲れて寝ておる。起きたら、城を案内してやれ」
「わ、わかりました」
「後は任せる」
「……それとな、もうわしの部屋に女を連れてこなくともよいぞ……また、その娘みたいな奴が来られてもたまらんからな」
そう言うと、魔王は立ち上がった。
「……わしは、少し風に当たる」
そして、足早に部屋を後にした。
「魔王様今日は穏やかだったな……そういえば、魔王様が笑ったのいつ以来だろう…」
悪魔魔道士は幸せそうに眠るセイラを横目にそう呟いた。
ーーーそして。
「……ん」
小さな声が、沈黙を破った。
瞳が開き、焦点が合うまでほんの数秒間。
ボサボサの寝癖頭をかきながら、セイラは言った。
「ふぁー……ん、ここは…………寝よ」
そう言うと、セイラは再び布団を引き寄せた。
「ちょっと、ちょっと! 寝ないで下さい!」
「えっ…あなた……誰?」
「私は、悪魔魔道士といいます。魔王様から、あなたのお世話をするように仰せつかっております」
「……お世話? 何の?」
「あなたの生活です」
「私の……あっそうか、私魔王軍に……」
「寝ぼけてるんですか? とりあえず、あなたに仕事を用意します。なにか得意なことありますか?」
セイラは腕を組み、深く考え込んだ。
「うーん……………………………………」
「ないんですね。わかりました……なんとかします、魔王様に任されましたからね」
「貴方…優しいね。魔物なのに」
「貴方は、人間なんだからもっと怖がるなり、警戒するなりして下さい」
「ふふ、ほら優しいじゃない」
「……あくまで業務です!」
「悪魔だけに?」
「…………」
悪魔魔道士は頭をかきながら言った。
「とりあえず、今日は部屋に案内します。明日から働いて貰いますからね」
「仕事……あっ世界征服は嫌よ。私、人間だから」
悪魔魔道士は遠い目をした。
「はぁ……魔王城の召使いですよ」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
過去回続きます。
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