第3話 魔王スナックへ行く
お読みいただきありがとうございます。
まだまだ拙い部分も多いですが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
肩の力を抜いて読んでもらえたらと思います。
よろしくお願いいたします。
魔王が、身分を隠しお忍びで訪れる場所がある。
魔領域のはずれ、人間界に程近い場所にひっそりと佇むその名も《スナック 魔女っ子倶楽部》だ。
そこで、くだをまく。そんな一時が魔王の楽しみとなっている。
魔王
「……それで、わしは言ってやったんじゃ、『我は、必ず復活し破滅をもたらさん』とな」
魔女ママ
「大きく出たね。大きいのは好きだよ。いろんな意味でね、ひっひっひっひ」
魔女ママは齢900の魔女。
声はだみ声、下ネタは一級品。
常連たちはそれを愛していた。
チリンチリン
謎の男
「ママさんやってる?」
魔女ママ
「やってるよ。あら、いい男じゃないか」
謎の男
「初めて来たんだが大丈夫かい?」
魔女ママ
「大丈夫だよ、初めては大好物」
謎の男
「おっと、強烈な先制パンチだな」
魔女ママ・謎の男「ハハハハ」
謎の中年男性と、齢900才のしわくちゃババアの小粋なトークだった。
魔王
「…ただの、下ネタじゃのぉ…」
魔女ママ
「あんた注文はどうする?」
謎の男
「ウイスキーロックで」
魔女ママ
「はいよ」
魔王
「お主名前はなんと、言うんじゃ?」
謎の男
「俺は、サイ…サイトーて言うんだ」
魔王
「珍しい名前じゃな。」
サイトー
「あんたは?」
魔王
「わしは、まっちゃんじゃ」
サイトー
「よろしくな、まっちゃん。それで、まっちゃんはここによく来るのかい?」
魔王
「うむ、そうじゃ」
サイトー
「仕事は何をしてるんだい?」
魔王
「わしは、会社経営…のようなものじゃ」
サイトー
「へー、凄いじゃないか」
魔王
「部下に手を妬いて大変じゃがの。舌打ちしてくる若手社員もおるし、露出狂いの女性社員、2才児の社員もいるんじゃ。まぁ、みんないい奴らじゃがの」
サイトー
「2才児!?すごいな」
魔王
「多様性じゃ。お主は?」
サイトー
「俺は弟子をとって育てている。ただ、一つ悩みがあってな」
魔王
「なんじゃ?」
サイトー
「俺は、人に何か教えることがめちゃくちゃ苦手なんだ…」
魔王
「大変じゃのぉ。よし、わしが人材育成の極意を解いてしんぜよう」
サイトー
「何だって?」
魔王
「まずはこうして、こうしてこうするんじゃ……」
サイトー
「ふむふむ、なるほど」
魔王
「それでこうするじゃろ」
サイトー
「なるほど!悪魔的、いや魔王の如き発想力だ!」
魔王
「そうじゃろ、そうじゃろ」
サイトー
「あぁ、明日から早速試してみるよ。あぁ、今日は気分がいい。ママ、もう一杯だ!」
魔女ママ
「あいよ」
30分後ーーー
魔王・サイトー「ワハハハハ」
魔王
「サイちゃんは最高じゃのう」
サイトー
「まっちゃんこそ。」
魔女ママ
「あんた達仲良くなった記念にカラオケでデュエットでもどうだい?」
サイトー
「いいねぇ」
魔王
「ママ、いつもの曲を頼む」
魔女ママ
「はいよ」
その夜、夜空に名曲『酒と泪と勇者と魔王』が響いた。そして、名前も素性も分からない二人の友情が生まれた。
一週間後ーーー
悪魔魔道士
「魔王様、魔王様」
魔王
「何じゃ?」
悪魔魔道士
「偵察に出した、ビッグアイ君の報告なんですか、最近勇者が驚異的に成長しているそうなんです」
魔王
「なんじゃと!?何があったんじゃ」
ーーー一体何があったのかは誰にもわからない。ただ、分かっていることは魔王軍の世界征服がまた遅れてしまったことだけである
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!
更新の励みになりますので、
面白かったら応援をいただけると嬉しいです!
次回もよろしくお願いします!




