第23話 魔王軍解体新書盗難事件 ~ダンジョン編~
今回は、前後編の前編です。
ゆるく読んで頂けると嬉しいです
ある晩、魔王は自室に籠もり、ある書物を読みふけっていた―――
魔王
「なるほど、ドラゴン君は……うむうむ」
分厚い書物のページをめくりながら、魔王は一人頷いていた。
魔王
「フムフム……スライム君の弱点は……」
次第にその瞼は重くなっていった。
魔王
「ふわぁー……ちょっと眠くなってきたの……」
魔王は、日頃の激務に耐えかね、気絶するように眠りに落ちてしまった。
――ギィー
――ウゴ
――ゴソゴソ
魔王は、その音に気付くことは無かった。
明くる日。
魔王城の会議室には、いつものメンバーが集められていた。
魔王
「……皆のもの、急に呼び出してすまぬの……魔王軍の一大事じゃ」
悪魔魔道士
「何かあったんですか?」
スライム
「大丈夫ですか?」
ドラゴン
「何故……」
サキュバス
「そうなのね……」
大カタツムリ
「……」
謎のひょっとこ男
「何なんですかね~」
魔王
「……うむ」
一同が固唾を飲んだ。
魔王
「……結論から言う……魔王解体新書が盗まれた」
一同
「何だってー!?」
謎のひょっとこ男
「何だって~!?」
魔王解体新書――
それは魔王城の図面、魔物の特徴、魔王の好きな女性のタイプ、その他諸々、
魔王軍を丸裸にする的な情報が載っている、敵に渡ったら極めて危険な感じがする書物である。
その危険性ゆえ、普段は保管庫に置かれ、厳重っぽく管理されていたはずだった――
悪魔魔道士
「……魔王様、そのことにいつ気がついたんですか?」
魔王
「……朝、起きたらなくなっておった」
悪魔魔道士
「保管庫からですか?」
魔王
「…………まぁ、そんな感じじゃな」
悪魔魔道士
「魔王様、保管庫を見に行かれたんですか?」
魔王
「……う……うむ、定期巡回じゃ」
悪魔魔道士
「……そうですか」
悪魔魔道士は何かを察し、これ以上魔王を問い詰めることはしなかった。
魔王
「恐らく内部の犯行じゃ……敵に情報を流すためか…… クーデターか……あまり考えたくないがの……」
悪魔魔道士
「魔王様、なぜ内部の犯行だと?」
魔王
「それは……勘じゃ!」
勘だった。
悪魔魔道士
「……」
スライム
「でも、魔王様。内部の犯行だとしたら、もしかしてこの中に犯人が……」
魔王
「……いるやもしれねな」
悪魔魔道士
「……はぁ」
スライム
「ちっ、やっかいだぜ!」
ドラゴン
「裏切り者……」
サキュバス
「……恐いわ」
大カタツムリ
「……あっ、あのー……ケ……うーん」
謎のひょっとこ男
「全員怪しく見えてくるな~」
魔王
「情報が少ないからの…… このままでは迷宮入りじゃ……いや、ダンジョン入りじゃな…… 魔王軍だけに」
親父ギャグである。
思ったことを、すぐ口にしてしまう魔王の悪いところが出てしまった。
だが、次に魔王が口にした言葉は、全員を安心させる……
いや、犯人にとっては恐怖を与える言葉だったのかもしれない。
魔王
「皆よ……案ずるでない……
この事件は必ず解き明かす!
魔王の名にかけて!」
次回、解答編―――
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
次回は解答編です。
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