第19話 魔王軍慰安旅行
今回は、会議で決定した慰安旅行回です。
ゆるく読んで頂けると嬉しいです
魔王軍は、いつものメンバーで慰安旅行に来ていた
魔王
「ここが、地獄温泉か」
悪魔魔道士
「名前の割に風光明媚なところですね」
魔王
「うむ」
悪魔魔道士
「温泉の効能もたくさんありますね」
看板には、こうあった
【効能】
疲労回復、むくみ改善、血行増進、冷え性改善、肩こり改善、腰痛緩和、関節痛緩和、神経痛緩和、自律神経調整、ストレス軽減、精神安定、安眠、発汗作用、代謝促進、老廃物排出、免疫力向上、肌質改善、美肌効果、血色改善、巡り向上、活力回復、集中力向上、気分爽快、解放感増進、身体機能活性、性欲増進、勃⬛、⬛⬛⬛、⬛⬛⬛、⬛⬛⬛、⬛⬛⬛
魔王
「多過ぎじゃないか……それに……」
悪魔魔道士
「魔王様、それに何でしょうか?」
魔王
「エロ……いやなんでもない……では入るかの」
ガラガラ
扉を開けると、昔ながらの世界観が違う旅館風景が広がっていた。
魔女女将
「いらっしゃいませ。魔王軍一行様ですね、ひっひっひ」
魔王
(どこかで見たことある女将じゃな)
魔女女将
「魔女っ娘のママの姉です、ひっひっひ」
魔王
「うわ、何でわしが考えていることが!?」
魔女女将
「女将の勘です、ひっひっひ。女将は何でも分かるのです、ひっひっひ」
魔王
「なんて勘なんじゃ……」
魔女女将
「ささ、ここで話していても何ですし、お部屋へどうぞ。当旅館は温泉が自慢なので、是非とも堪能してくださいね。ひっひっひ」
一同
「はーい」
魔女女将
「あぁ、それと……お風呂は覗いちゃだめですからね……絶対覗いちゃダメですからね……ひっひっひ」
魔王
「……うむ」
魔女女将に案内され、魔王軍一行はそれぞれ部屋に荷物を置いた。
しばらくして。
魔王
「……さて、風呂に行くかの」
悪魔魔道士
「女将もオススメしてましたしね」
魔王
「……うむ」
悪魔魔道士
「魔王様? どうしたんですか?」
魔王
「……一回してみるか……覗きを」
魔王は、今まで見たことがないほど真剣な顔をしていた。
悪魔魔道士
「なに言ってんですか魔王様。コンプライアンス違反ですよ」
魔王
「そ、そうじゃな! 冗談じゃ、冗談。ははは」
悪魔魔道士
「まったく……行きますよ!」
魔王
「う、うむ」
一同は、浴場へと向かった。
男湯は岩造りで、湯気が立ち込めていた。
湯船は広く、赤黒い岩肌が露出している。
悪魔魔道士
「魔王様、中々いい温泉ですね。地獄温泉なのに、極楽みたいな? ははは」
魔王
「……うむ」
温泉にテンションが上がっている悪魔魔道士に反して、魔王は神妙な面持ちだった。
悪魔魔道士
「あ、スライム君がとろけてる」
魔王
「本当じゃのう……!? うっ!? これは!?」
かつてスライムだったものが、浴槽の脇にのぼせて横たわっていた。
そんな中、魔王は気が付く。
スライムだったものの一部が、不可解に隆起していることに。
スライム
「……魔王様……悪魔魔道士さん……温泉、気持ちいいですね」
悪魔魔道士
「とろけてますもんね。私たちは今からつかります」
ちゃぽ
悪魔魔道士
「あぁあ、気持ちぃぃ。魔王様どうですか?」
魔王
「……うむ」
悪魔魔道士
「なんなんですか。さっきから『うむ』しか言わないじゃないですか」
魔王
「すまん、すまん……悪魔魔道士君……サキュバスちゃん、さっき温泉入っていったの?」
悪魔魔道士
「……そうですが……何ですか?」
魔王
「……覗くか?……女子風呂」
悪魔魔道士
「何を言ってるんですか! サキュバスちゃん、いつも脱いでるから見慣れてますよね!?……それに……それに……とにかく駄目です!」
魔王
「まぁ、悪魔魔道士君、聞くんじゃ。女将が入口で言ったこと、覚えておるか?」
悪魔魔道士
「……『覗くなよ』と」
魔王
「……あれはな……『振り』じゃ。女将のな」
悪魔魔道士
「!?」
魔王
「そして、温泉という…これ以上のシチュエーションは…な…?」
悪魔魔道士
「…………い?」
魔王
「ふふ、それにな……わしらは魔族じゃ……魔族は欲望のままに……生き」
悪魔魔道士
「……る?」
魔王
「……つまり、覗きは? す……」
悪魔魔道士
「……る?」
魔王
「そうじゃ!」
悪魔魔道士
「そうですね! やりましょう!!!
……じゃないんですよ!!!! なに言ってるんですか!?」
魔王
「惜しいのぉ」
悪魔魔道士
「『惜しいのぉ』じゃないんですよ。大体、何でそんなに覗きたいんですか?」
魔王
「……実はの、ある日から、わしのわしがな……魔王としての威厳が……」
悪魔魔道士
「魔王様の魔王様が……(使うとき、ないじゃないか)」
魔王
「それでな、この地獄温泉の効能に目をつけたんじゃ……非日常×効能×シチュエーション=魔王復活という方程式じゃ……」
悪魔魔道士
「『握力×体重×スピード=破壊力』みたいな言い方しないでくださいよ……でも、それは確かに切実ですね」
魔王
「それに、見よ! スライム君を! あの隆起は……スライム君の漢立ちじゃ!……この温泉の効能は確かなんじゃ……チャンスは今日なんじゃ……今日しかないんじゃ!」
悲痛だった。
魔王は、魔王の魔王を、
魔王らしく魔王したかった……ただそれだけだった。
悪魔魔道士
「……魔王様。誰にも言えず、苦しんでたんですね」
ニコ
悪魔魔道士は、一呼吸間を置いて、慈愛の表情で魔王と向き合った。
魔王
「あ、悪魔魔道士君……許してくれるのか? 覗きを?」
悪魔魔道士
「駄目です」
駄目だった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。悪事は絶対駄目です。
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