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『ポンコツ魔王軍の世界征服は今日も進まない。』  作者: mikamikan
第一章 魔王と魔王軍の日常
22/41

幕間5 味気ないスープ

今回は、勇者パーティに仲間が加わります。


ゆるく読んで頂けると嬉しいです

干し肉のスープに湯気が立っていた。添えられたパンが並び、質素な食卓だった。


アポロ

「…」


エンキ

「…味気ねぇな」


アポロ

「…いつも通りさ」


エンキ

「答えも味気ねぇよ…なぁ、俺達お互いのこと何にも知らないよな?」


アポロ

「…」


エンキ

「…まぁ、いいや。勝手に話すけどな」


エンキは、干し肉のスープを一口すすって、顔をしかめた。


エンキ

「…俺さ、実は魔物に育てられたんだ」


アポロ

「……そうか」


アポロはスープに浮いた油を匙でよける。


アポロ

「…それで?」


エンキ

「興味で出たか?」


アポロ

「少しはね」


エンキ

「それは良かったよ。じゃあ続けるな。その魔物とは、俺がやっと剣が振るえるかって年頃までは一緒にいたんだ…ただ、ある事があってな」


アポロ

「…その魔物が、君の魔領域を目指す理由なんだね」


エンキ

「そんなところだ…お前は?なぜ魔領域を目指す?」


アポロ

「…僕は…魔を滅ぼす為」


その蒼い瞳は、エンキではない何かを見据えていた。


アポロ

「それは、使命だと思ってる」


エンキ

「使命?」


アポロ

「義務と言っていいかもしれない…力を持った者として」


エンキは訝しがりながら、疑問をぶつけた。


エンキ

「強い奴なら、他にもいるだろ?お前じゃなくても…」


アポロ

「啓示を受けたんだ…ある夜、夢の中でね」


エンキ

「…何て?」


アポロ

「…『導け』と…その日、僕は力に目覚めたんだ」


エンキ

「…なるほどね。聞いた事がある…王都で『魔を滅ぼす者』が目覚めたと…それがお前だったんだな」


アポロ

「…」


ガタガタ


二人が振り返ると、女が立っていた。

その姿は場違いな古ぼけた杖を携え、ローブの奥にあどけなさを隠していた。


???

「今のお話しは本当でしょうか?」


アポロ

「あっ、ああ。き、君は?」


???

「私はティアといいます。すみません、話を盗み聞きしてしまって…それで…」


エンキ

「ちょっと待って?聞いてたの!?」


ティア

「はい」


アポロとエンキは声を落とし、言葉を交わした。


エンキ

(ああいう話は、あんま人前でしない方がいいかもな…)


アポロ

(別に、いいよ。みんな知っている)


エンキ

(いや、色々面倒くさい事が…うーん、まぁいいか…)


アポロ

「それで、どうしたんだい?」


ティア

「私も、旅同行させて頂けないでしょうか?」


エンキ

「ええ?…薮から棒だな。うーん、理由だけ聞かせてもらえるか?」


ティア

「はい。私、ずっと勇者様に憧れていたんです。啓示を受け立ち上がった子がいるって。同じような年頃なのに、世界を救おうとしている子がいるって…魔王に挑もうとしている子がいるって…凄い子だなって」


アポロ

「…」


ティア

「そんな中、勇者様が旅立たれたと聞いて。私、いても立ってもいられず…」


エンキ

「で、今に至ると」


ティア

「私、魔法が使えます。攻撃魔法も。回復魔法も…変わった魔法だと、こんなのも…」


ティアは、干し肉のスープに杖を向け、祈った。


ティア

「…味変です」


エンキ

「はは、変わった子だな。アポロ、どうする?」


アポロ

「…僕は、構わない」


ティア

「えっ?」


アポロ

「ただ…僕は、君の思うような人間じゃないかもしれないよ」


ティア

「私は大丈夫です。全て、私の意思で決めたことです」


アポロ

「…」


エンキ

「よし、じゃあ決まりだな」


ティアとの出会いは、何気ない食堂での、何気ない会話から生まれた。


干し肉のスープは、独特の風味があるが、どこか温かみのある味に変わっていた。

それは、ティアが味を変えたからだろうかーーーー


エンキ

「…アポロ、一つ聞いていいか?」


アポロ

「なんだい?」


エンキ

「俺の親父は、魔物だと言ったよな。もし、出会ったら…お前は、殺すのか?」


アポロ

「…」


その問いに、アポロは答える事はなかった


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


次回は通常回です。


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