第16話 魔王軍健康診断 -結果編-
今回は、15話の結果発表です。
ゆるく読んで頂けると嬉しいです
悪魔魔道士は事務作業に追われていた。
健康診断結果を把握し、魔王軍の健康管理維持に努めなければいけない。その確認作業である…
悪魔魔道士
「さてと…、皆さんの健康診断の結果を確認しないといけませんね」
悪魔魔道士は、検査結果の最上部に置いてある結果から順に確認を行っていった
悪魔魔道士
「まずは、魔王からですね…フムフム。
あっ魔王様、封印がちょっと解けてるなぁ…ん?心臓が一つ止まっている?…くっ」
悪魔魔道士は、吹き出しそうになりながらも、仕事に対する責任感からなんとか耐えることに成功した。
悪魔魔道士
「『所見、心臓が…止まってますが…特に問題なし』…いや、普通に、あるでしょ、問題…ふふ」
悪魔魔道士はつい、声が漏れてしまった。
悪魔魔道士
「ふふふ…いかん、いかん、次は視力、視力と…ブッ」
検査結果には一言だけこう記されていた
『エロい』
悪魔魔道士
「ふふふふふ…視力…『エロい』…いや…なんで?数値じゃないんですか?…ふふふ…おい…医者…ふふ」
だめだった。
ツボにはまった悪魔魔道士は、笑いを我慢する事が出来ず、机に伏して小刻みに震えていた
悪魔魔道士
「はぁはぁ、し、身長体重は…おぉ、身長は伸びてますね、体重は…落ちてる…ぶふっ」
補足してあった。
『身長-3センチ、体重+5キロ ※浮遊していたため』
悪魔魔道士
「ぶはははは、魔王様…か、かわいい…気にしてたんだ…はははは…ちょっと、だめ…ですね。はぁはぁ、だめだ、魔王様は…後にしましょう…」
魔王の狂った検査結果に、価値観が崩壊しかけた悪魔魔道士は、ここで深追いするのは危険だと判断し、戦略的撤退を決めたのだった
悪魔魔道士
「ふぅ、次は…ドラゴン君と…大きくは…問題はないですね…ん、未受診?」
ドラゴン君の検査結果には、採血未受診とあった。
悪魔魔道士
「どうしたんだろう?何かあったんですかね…ぶっ」
『所見 ちゅうしゃこわかったね。来年もうちょっとお兄さんになったら、がんばろう!!』
悪魔魔道士
「ぶはっ…ふふふ…」
悪魔魔道士は思い出していた
ーーーー
悪魔魔道士
「ドラゴン君、健康診断に採血ありますけど注射大丈夫ですか?」
ドラゴン君
「我に、恐いものなどない」
ーーーーー
悪魔魔道士
「ぶははは…はは…はぁ…ドラゴン君、強がってたんですね…これは、笑っちゃだめだ。来年はマザードラゴンに付き添ってもらいましょうかね」
みんな、ドラゴン君には優しかった
悪魔魔道士
「次は、サキュバスさん…」ドキドキ
悪魔魔道士は、自分に言い聞かせた。これは仕事だと。
しかし、言葉とは裏腹に少しの好奇心と気まずさが、悪魔魔道士の心臓を襲った。
チラ
悪魔魔道士は、検査結果を何度もチラ見した。それは、自身に言い聞かせた言葉とは、矛盾する行動だった
チラチラ
悪魔魔道士
「身長…体重…ん?バスト?ウエスト?ヒップ?健康診断でなぜ?あっなるほど、サキュバスさん淫魔ですもんね」
スリーサイズは淫魔の健康診断における必須項目だった
ドキドキ
悪魔魔道士
「さぁ、これは仕事です。見て…しまいますよ」
身長………ひ⭐み⭐つ
体重………ひ⭐み⭐つ
バスト……ひ⭐み⭐つ
ウエスト…ひ⭐み⭐つ
ヒップ……ひ⭐み⭐つ
悪魔魔道士
「…」
悪魔魔道士は数分間だけ、動きを止め、おもむろに作業を進めた
悪魔魔道士
「…スライム君ですね。…特に異常はなさそうだけど…うん!?先生に恋の相談してる!?スライム君も恋してるんですか?しかも赤裸々だ…先生の所見もある…」
『所見、恋は不治の病です。治りません。ただ、唯一の処方箋があるとすればそれは勇気です。恋の病は悪化すると後悔に変わります。踏み出しましょう。』
悪魔魔道士
「…踏み出すか…私も」
もはや、健康診断の結果とは関係がなかった。
悪魔魔道士
「大カタツムリくんはと…………至って普通だ…面白くないですね」
悪魔魔道士の価値観は既に崩壊していた。
誰も悪くない。健康診断に面白味を見いだした悪魔魔道士も、検査結果が普通だった大カタツムリも…敢えて、悪を探すならそれはこの正しく狂った世界だろう
悪魔魔道士
「よし!最後にお楽しみ…ではない。後回しにしてた魔王様の残りの検査結果ですね」
悪魔魔道士は机の端に追いやっていた魔王の検査結果を、再び手に取った。
悪魔魔道士
「検査内容はレントゲンだけど…えっ?…重大な疾患の可能性あり?」
悪魔魔道士は体全体に、冷たい何かが走り抜ける感覚を覚えた。
悪魔魔道士
「…なるほど」
一瞬強ばった悪魔魔道士の表情だったが、医師の所見を読み進めるごとに緩んでいった。
悪魔魔道士
「暗黒物質に光…セイラさんの楔かな?うん、それなら大丈夫、問題ないでしょう…ふふ、やっぱり魔王様の検査結果は面白いですね」
検査結果は全員が問題なしだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。僕の健康診断は激悪でした。
皆さんも、ご健康でいて頂けたらうれしいです。
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